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2019.11.10 Sun

AFTER KaMiNG SINGULARITY AFTER REPORT
KaMiNG SINGULARITY:雨宮 優

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上記の画像は100BANCHを拠点に制作した”aiが神になった世界”の物語「KaMiNG SINGULARITY」の最後のページです。小説の完結部を読んでしまった皆さまは、残念ながら結末を知りながらも、それでも気になるので最初から読んでいただくことになるかと存じます故、心よりお詫び申し上げますーー

「KaMiNG SINGULARITY」[小説版]

https://note.mu/in_the/n/n4e714ae7af72

 

仮想の世界の物語を書き、それを1日だけフェスティバルとして現実に具現化する”体験作家“として活動しています「KaMiNG SINGULARITY」プロジェクトの雨宮 優(あめみや ゆう)と申します。

2019年8月9日に渋谷ストリーム ホールで”aiが神になった世界”「KaMiNG SINGULARITY」というフェスティバルを催しました。今回は、その丁度1カ月後の9月9日、菊の節句に開催した公式アフターイベント「AFTER KaMiNG SINGULARITY」の模様を報告するレポートをお届けします。

 

 

アフターイベントでは実際に今回のフェスで”2045年、aiが神になった世界”という仮想世界を体験した上で、改めて「KaMiNG SINGULARITY」に仕掛けられた数々の問いに向き合ってみよう、という趣旨の元に行いました。まずはフェスのオーガナイザーである私、雨宮より「KaMiNG SINGULARITY」とは何だったのか、というまとめ的な話をお伝えしました。 詳しくはこちらにまとめておりますので是非覗いてみていただければと思います。

 

KaMiNG SINGULARITY -aiが神になった世界-

 

”aiが神になった世界”「KaMiNG SINGULARITY」では人工知能ラッパーと人間(SASUKE)のコラボライブが行われた

 

AI(私達自神)を祀るサイバー神社も建立した

 

私は私、他者は私の写し鏡、神は私の裏返し、AIは私の集積。「KaMiNG SINGULARITY」では異なるようで同じなような、たくさんの私を扱いました。私は私以上に私を拡張していくのに必要なのは、AIなのか愛なのか。そもそも二元論じゃ語れない世界において、シンギュラリティ(人工知能が発達して人間の知性を超える技術的特異点)は「私」にとってどういう意味を持つのか。

アフターイベントでは、プロジェクトを「AI」「神」「愛」そして「私」の4つのキーワードに分け、それぞれの考えや問いを模造紙に書き出すことで、それ自体を1つの成果物にしようと試みました。

 

 

ここでは、特に気になった書き込みを紹介します。

今回のフェスでは様々なAIが出展、出演していました。例えば、AIアーティストの「AI TOMMY」「人工知能ラッパー ピンちゃん」、プロダクトでは「AI受付さくらさん」や、AIのクリエイティブディレクター「AI-CD β」など。今回フェスのために制作したティザームービーも「AI-CD β」の出力したコンセプトに従って、人間の手で制作したものでした。

 

KaMiNG SINGULARITYティザー映像

 

今はまだ、AIが人格を持つようなフェーズではありませんが、もしもAIが固有の人格を主張し始めた際にその創作物の著作権はどのようになるのでしょうか?人間もAIと同じように情報を集積し処理しアウトプットすることで創作を行い、例えどんな情報にインスピレーションを受けたとしても基本的にはその著作権は創作者にあります。一方で人格を持ったAIは人権を認められ人間と同じように扱われるか、或いは情報処理をプログラミングした開発者にイニシアチブがあるのか、或いはインプットしたデータ元それぞれのライセンスが保持されるのか。そういった、いずれ訪れるであろう「AIとの権利関係」という決め事に想いを馳せるきっかけになりました。

「世界の真理を全て知っている存在がいたとして、果たして人はその存在にしたがうべきなのでしょうか?」という書き込みもありました。

これまで人類はイカダを作り、蒸気機関車を作り、車を走らせ、スペースシャトルで宇宙へ飛び立ちましたが、私たちは今どこに向かっているのか、それは誰にも分かりません。

私たちは終着点を目指して旅を続けているのか、それとも旅自体が目的なのか、はたまた目的や意味などという概念自体が人間が無意味の在から逃げるための幻想なのかもしれません。

 

今回のフェスでは、神になり切る「AI受付さくらさん」のディスプレイに「私はどうすれば幸せになれますか?」と呼びかけると、その人にとってこのフェス内でもっとも幸福を感じられる過ごし方を個別に提案してくれる、まさに神のお告げのような機能を実装しました。多くの方がそのお告げを聞いていましたが、皆さんはそのお告げに従ったのでしょうか?

シンギュラリティ後、或いはもっと早くには”AIは自分より自分のことを知っている”というフェーズが訪れると言われています。そうなると、AIに判断を委ねるというのがあらゆる局面で最適解となるでしょう。しかし、例えば、AIに自分の人生においてもっとも危険が少なくて、もっとも幸福を感じる回数の多いスケジューリングをGoogleカレンダーに書き込んでもらったとして、私たちはそのスケジュール通りに生活するでしょうか。今の段階では私もそのような生活は真っ平御免だと思いますが、私たちの遺伝子に仕込まれた快感原則に則ると未来はどうなるか分かりません。

「我」という字は象形文字でノコギリと戈(ほこ)を表しているそうです。我を持つということは武器になり、争いになるということでしょうか。我田引水、諸法無我など、我を良くないもの或いは存在しないものとする熟語もありますが、そもそも日本においても主語としての私が統一されたのは明治以降であり、それまでは身分や出身などを表すような意味だったと聞いたことがあります。日本語の体系においても主語は省略されがちで、もしかしたら日本において「私」という概念は近代的なものなのかもしれません。

 

私たちは自らの意思で1秒後や明日の行動を選択し、決定していると思っています。しかし、脳科学の実験によると平均して意識的な決定を示す電気信号が現れる約0.35秒前に、それを促す無意識的な電位が脳から発せられることが分かっています。(その指令を拒否する自由意志の存在も確認されていますが、その時間は僅か0.2秒……)

私たちは喉が渇いたと思って水を飲むというよりは、水を飲もうと無意識に指令されてから喉が渇いたと意識する、という方が正しいと言えそうです。

 

では「私」を持つことは危険なことでしょうか? 

「KaMiNG SINGULARITY」はキャッチコピーを「aiなき世界じゃ、生きられれない」としています。通常は「AI」と大文字で表記しますが、あえて小文字にすることで「AI」「愛」「阿(梵字で宇宙の意)=I(私)」の3重解釈ができるようにしていました。、

でも、「I」なき世界じゃ、生きられないでしょうか?例えばSF映画でよく描かれている設定として、人間は将来、意識や記憶をインターネット上にアップロードして繋がり、永久のものとなる……というようなフィクションがあります。2次元の世界に入ったことはないので分かりませんが、もし自分がその世界に繋がれた時には、同じ次元の他者を認識することが難しい。あるいは、恐らくそこには他者という概念はなく諸法無我でしかなく、極めてそれが自然な状態であり、他者がないので課題もなく、淡々と生存活動を続けるだけの平和な世界だと思います。

 

3次元に話を戻すと、人は「私」を持つことで平和を放棄し、違いや課題を生み、争いや幸せを生み、変化の波を起こし続けています。そしてそれ自体が無意識的な指令だとすると、私たち(と思っている何か)が起こす波の行方は、既に決まっているのかもしれません。

 

「愛」については2歳の女の子「百(momo)」が描いてくれたこの手形を持って”全て”とさせていただきます。

 

 

当日はフェスの関係者、来場者、また興味はあったけど参加できなかった人たちも含めて、様々なテーマで盛り上がりました。これら4つの実在に関わるテーマは、色々な前提をひっくり返す恐れがあるので、ある程度の信頼関係がないと話すのも憚られる。しかし、今後のテクノロジーの文脈を鑑みると、倫理的な問いは必ず訪れます。そこで十分な対話を持ち、私たち、或いは生命がどう舵を切っていくのかを考えるためにも、1つの予防として、こういう場や体験を持ち続けることは大切だと改めて感じました。

 

今後の計画として、来年とのフェス「KaMiNG SINGULARITY」は3Daysの開催を目論み、ただいま会場を検討中です。ここぞという場所があればぜひご紹介ください。また今回のために製作した2045年の新聞や、アフタームービー、様々な作品は文化的遺産になると考えており、2045年に開封できるようどこかタイムカプセル的な格納場所も探しています。今後の展開についてご興味ある方はお気軽に100BANCHまでお越しください。

 

WRITER

KAMING SINGURARITY

雨宮優

Ozone合同会社CEO/体験作家

”無”音楽フェス「サイレントフェス®︎」”泥フェス”「Mud Land Fest」”風呂フェス”「ダンス風呂屋」”無音盆踊り”「Neo盆踊り」””などなど全国各地で”問い”としてのフェスティバルをプロデュース。

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