LEADER INTERVIEW

2019.08.02 Fri

混沌と混乱の中に未来の萌芽を見出す——
食の儀式の発明、うどんセレモニー
【ナナナナ祭2019展示 うどんセレモニー】

  • #ナナナナ祭2019

  • #リーダーインタビュー

「うどんを神として信仰し、食の霊性を儀式化する」

2019年7月に開催された100BANCHの周年を記念する夏祭り「ナナナナ祭」では、未だかつて聞いたことのない、うどんを神とする奇祭「うどんセレモニー」が行われた。

渋谷の路上に、まるでうどんのように真っ白な空間が突如出現。参加者たちを巻き込み、カカオドリンクを通して世界に慈愛の祈りを捧げる「カカオセレモニー」で深く瞑想し、「う・どん」の舞を踊る。そして神聖なる白い泥で身を清め、果ては教祖が奇跡を起こしてうどんという名の「神」を出現させ、最後は全員で生まれたての「神」を食す。この世の常識を超えたセレモニーは、渋谷の通行人たちの注目を集めていた……。

一体、不思議とも言えるこのイベントは、なぜ行われたのだろうか。

その疑問を探るため、奇祭好きで、自らも「仮想通貨奉納祭」という奇祭を企画しているメディアアーティスト・市原えつこが、イベント体験とともに、このイベントの主宰者である100BANCHの3プロジェクト——「SAVE THE UDON」「KAMING SINGURARITY」「The Herbal Hub」のリーダーにインタビューを行った。

その背景には、人類の未来における食と社会のありかたを見据えた壮大なビジョンが潜んでいた。

(執筆:市原えつこ 写真:鈴木 渉、一部100BANCH)

多種多様なプロジェクトによる既成概念を超えたアイデアが集う「ナナナナ祭」だが、その中に「【音楽と食の奇祭】うどんセレモニー」なるひときわ謎に包まれた催しが名を連ねていた。イベントページを何度読み返してもまったく内容が想像がつかない。謎が深すぎる。

 

クラブのような場所で開催するのかな、と想像しつつ集合場所に行くと……

 

 

渋谷の川沿いにめちゃくちゃ異空間ができていた。白い……。

 

参加者は受神機(ヘッドフォン)を渡され、彼らだけに聞こえる音を通してセレモニーが進行する。つまり部外者には何が行われているかわからず、部外者が見るとヘッドフォンをつけて不思議な動きをしている一風変わった集団に見えることだろう。通りすがりのビジネスパーソンたちがぎょっとした顔をする横で粛々と儀式は執り行われた。

 

まず最初に古代オルメカ・マヤ文明から神聖な儀式として瞑想「カカオセレモニー」が行われた。巫女のゆったりとしたナレーションのもと、芳醇なカカオの香りと風味をたたえたカカオドリンクを集団で丁寧に味わい、この場に届いた食材や自然への感謝やこの世を生きる人々への祈りを捧げていく。

 

 

巫女の所作や声のトーン、そして受神機から流れる催眠術のような不思議な音楽もあいまって、非常にリラックスした瞑想状態になった。そういえばこんなに食材を噛み締めたり、ゆっくりと祈りを捧げる時間をとったのは、いつぶりだろうか……。日々雑念にまみれ、何も考えず飲み食いをしている己を悔い改めた。

 

 

慈愛に満ちた気持ちに浸っていたところで、「経典ウー・ドン」を携えた門徒の若い男性がおもむろに喋りだす。

 

 

「これから輪読の儀に移ります。みなさんには、うどんをこねる動作とともに、『うー・どん、うー・どん』と輪読していただきます。踊ることにより、けがれを落とすのです」

 

 

うー、どん!うー、どん!ハイ、声が小さい!もっと大きな声でー!!」と若干スパルタ気味の門徒の指示に従い、必死に声を出す参加者。もはや修行の様相を帯びてくる。

 

その次は「神聖なる白き泥」で順番に足を清める。

 

 

ベリーダンサー風の踊り巫女とともに、うどんの生地を踏みながらダンスをする参加者たち。ここでも「うー、どん!うー、どん!」という掛け声が。

 

 

会場の熱気が高まってきたころで、謎の風貌の男性が悠然と歩いてくる。このうどんセレモニーにおける教祖は「SAVE THE UDON」プロジェクトのリーダー・小野ウどんさん。

 

受神機から流れる音楽とシンクロする絶妙なうどんさばきは流石プロの技。「トトトトトトッ……」と軽快な教祖の手さばきに歓声が上がった。

 

 

最後に、一筋の白いうどんを「唐の時代より伝わる聖なる大釜」に投げ入れる教祖。

「ポトッ……」

 

ご覧ください、神が誕生しました!!」次の瞬間、門徒の叫び声とともに大量のうどんが聖なる窯から出現。

 

 

このうどんが……神だというのか…!?

 

 

困惑しつつも教祖から直々に渡された神(うどん)をすする。ツルッとコシがあって美味しい……。美味しいのだけど、一体どういうこと……!?

 

なんか無駄にかっこいいんだけど、この集団は一体!?

「うどんセレモニー・MOVIE」
映像:And Build(http://100banch.com/projects/16352/)

一体、あの奇祭は何だったのか。

美味しく楽しい、しかしまるでコシが強すぎるうどんのように咀嚼が難しい。これは真面目な儀式なのか、それとも……。

複雑な想いを抱えつつ「うどんセレモニー」を主宰した3人である、「SAVE THE UDON」プロジェクトのリーダー・小野ウどん(おのうどん)さん、「KAMING SINGURARITY」プロジェクトのリーダー・雨宮優(あめみやゆう)さん、「The Herbal Hub」プロジェクトのリーダー・新田理恵(にったりえ)さんにお話を伺った。

 

雨宮優さん(左)、新田理恵さん(中)、小野ウどんさん(右)

 

——「うどんセレモニー」の現場では楽しみながらも大いに混乱していました。まるでコシが強すぎて噛み切れないうどんを食べたような、奇妙で強烈な体験で……。今回は3つのプロジェクトがコラボレーションして生まれた企画ですが、普段みなさんは100BANCHでどのようなプロジェクトに取り組んでいるのですか?

 

小野ウどん(以下、小野):もともと、僕はうどん職人の伝統技が機械化・オートメーション化により失われつつあることに危機感を持っていました。「SAVE THE UDON」はそれを残していくためにはどうすればいいのかを考え、人の手で行う意味を探求するプロジェクトです。このプロジェクトを進めるうえでは、多くの世代を巻き込むためにポップな要素が必要だと思たので、手打ち文化をパフォーマンス化したり、音楽のカルチャーと結びつけたり、「うどんの総合格闘技」と銘打ちうどんをバトル化したり。うどんの味だけの戦いではなく、ライブ性や身体性にこだわり活動を続けています。

 

 

雨宮優(以下、雨宮):「KAMING SINGURARITY」は2019年8月9日に渋谷ストリーム ホールで”2045年、aiが神になった世界”という仮想世界を体験するAIとアートのスペキュラティブなフェスティバル「KAMING SINGURARITY」をつくるプロジェクトです。僕はOzoneという会社で音楽フェスのプロデューサーをしていて、これまでに周りから見ると無音に見える形式のフェス「サイレントフェス®︎」を作り、それを銭湯で行う企画「ダンス風呂屋」をプロデュースしたり、”2036年泥の国”という仮想国家を描いたフェス「Mud Land Fest」を千葉の畑で実施してきました。仮想の世界の物語を小説として描きつつ、その世界を現実にフェスティバルとして1日限り実装するというコンセプトでフェスを開催しています。

 

8月9日に行うフェスはシンギュラリティ(2045年に起こるとされる、人工知能が発達して人間の知性を超える技術的特異点)が訪れると予測される2045年の世界を舞台に、”aiが神になった世界”の話を描きました。AIと人間のコラボライブがあったり、サイバー神社を建立したり、生命が時計になる展示があったり。アート、エンターテイメント、トーク、多様なアプローチから世界を表現します。

 

新田理恵(以下、新田):「The Herbal Hub」は、もともと「スパイスを使わない日本の薬草カレーをつくる」というシンプルなプロジェクトでした。ただ、メンターの岩田洋佳さんと市川文子さんと話していくうちに「それって本質的じゃないよね」と気付いて。日本人の生活と食卓と深く関わる薬草文化を実践的にシェアするコミュニティをつくり、私たちをとりまく医・農・食に対してどう学び合いができるかを試行錯誤するために「薬草大学NORM」というプロジェクトが生まれました。特定のレシピを私たちがつくるだけでなく、私たちの暮らしを考えるための学びの場をつくる方向性に切り替えています。

 

——それぞれのプロジェクトは全く方向性が違いますよね。今回、奇祭へ飛躍した「うどんセレモニー」はどういった経緯で誕生したのでしょう?

 

小野:結果的にそうなった感じですね。「ナナナナ祭」でどこかのプロジェクトとコラボをしたいと思っていたとき、雨宮くんが「”モンモリロナイト(天然の鉱物から生まれた肌に優しい泥)”という白い泥を使ってうどん人間つくろうよ」と誘ってくれました。

 

雨宮:もともとモンモリロナイトを扱う会社と親しく、これを使ってイベントをやりたいと考えていました。昨年の「ナナナナ祭」では100BANCHの3階から1階へそうめんを流すイベント「しいたけは飛び、そうめんは流れる。」をしていたので、僕たちは滑り台にモンモリロナイトを流し、“うどん人間”と化した人間を100BANCHの3階から滑らせて渋谷川に飛び込ませようという非常にディープな構想だったんです。ただ、これは下手すると死人が出るなと気付きまして……。

 

 

——それは確かに……危険ですよね。踏みとどまってくれてよかったです。

 

雨宮:その代替案として、一部で有名な宗教「空を飛ぶスパゲッティモンスター教(※宇宙はヌードルの触手を持つ『スパゲッティモンスター』により創造されたと説くパロディ宗教)」に目をつけて、日本版の「地を這ううどん人間教」をつくろうと……。「KAMING SINGULARITY」で神について調べているうちに、神の作り方がだんだんわかってきたこともあり、その後ウどんくんと「うどん教」の布教活動をはじめました。

 

小野:最初は面白いから半分遊びでやってたんですけど、なんと新田さんが「一緒にやりたい!」と申し出てくれたんです。そもそも、うどんのことばかり話す白メガネと難解な事を喋る男の怪しすぎる2人組が「うどん教」の布教活動をしていても広まらないじゃないですか(笑)。そこに冷静で穏やかな新田さんが入ってくれたら、他の人も安心して「うどん教」に入ってくれそうだから、彼女の申し出は僕たちにとって願ったり叶ったりでしたね。

 

新田:2人の布教活動を知った頃は、ちょうど「カカオセレモニー」を体験して霊性への興味が強くなっている時期でした。私は「健康と食」を研究している過程で、WHOが1950年ごろから提唱する健康の定義——「人間の中の『身体性、精神性、社会性、霊性』を高め、その4つがダイナミックに連動する状態が健康である」という言葉の「霊性」とは何だろうとずっと考えていて。その「霊性」を深く考える過程で「祈り」への関心がわき、加えて「野性と霊性」がプロジェクトのキーワードでもあったので「うどん教」が面白そうだなと思ったんです。これまで巫女のアルバイトや山伏修行の経験もありましたしね。

 

 

——実際に「うどんセレモニー」を拝見して新田さんの巫女感がすごいと思っていましたが、実務経験もおありだったとは……。新しい試みですが、どんな狙いを持って企画を進めていったのでしょうか。

 

雨宮:三者それぞれの目的が違うんですよね。僕は神をつくる実験がしたくて、儀式をつくりたかった。

 

小野:僕はとにかく「究極の一杯」がつくりたくて。おいしいと感じるには味以外の要素も多分にあるから「霊性」を加えることによりカタルシスを高め「泣くうどん」を作れるんじゃないかと。身体、空間、霊性といった観点から、うどんを食べる体験を考えてみたかったんです。

 

新田:私は「食べること」で慈愛や回復力をどこまで深められるか。また、しっかりと味わって食べることにより深い瞑想をする「フード・メディテーション」とはどういうあり方なのかを実験としてやってみたいという目的もありました。

 

——「カカオセレモニー」は一粒のカカオがここにやってくるまで、多くのプロセスを踏んできたことや、食が人間の慈愛に繋がることを実感できましたし、非常に深く瞑想できました。お話を聞いてわかってきましたが、いろんな目的が交差しているからこそ「うどんセレモニー」の内容を「噛み切れない」と思ったのかもしれません。三者三様でバラバラな世界観にも感じるのですが、どうやって折り合いをつけたのでしょうか?

 

新田:「食」という共通点があり、「『うどんをつくって食べる』、そしてそのプロセスを突き詰め、究極の食体験をつくる」というしっかりとした目的があったから、目線を合わせやすかったのかもしれません。それに加え、例えば雨宮さんの音楽のスキルやフェスの演出力や私の薬草の知識など、それぞれの強みを融合することで徐々に出来上がっていきました。あとはやっぱり、グルテンの力でまとまったんじゃないでしょうか(笑)。

——それにしても儀式性の設計手法が気になっています。途中、集団で「うー・どん」と同じ動きをさせたり、みんなで飲み物を回し飲んだり、そういう所作にも儀式としての狙いがあるのでしょうか。

 

雨宮:儀式の設計は行動に対して結びついている意識や感情の種類を把握して、着地に向けて構造化していくプロセスです。生物学的にも人間は環境や行動によって思考がハックされてしまう生き物だということが分かっているので、それをうまく利用すれば儀式によって神を見せることもできます。霊性は騒々しい意識の中ではなく、静寂の最中にふっと降りてくるものなので、まずは混沌とした俗世に対して「静寂」の対比を生み出す必要がありました。その役割として「カカオセレモニー」を行いました。

そして「う・どん」の踊り。一番伝統的な儀式の体系は歌などで「声を合わせること」「踊る」ことです。世界中の民族で歌がない民族ってひとつもなく、みんなで歌と踊りを合わせることで共同体感覚が生まれる。それで心理的安全性を演出します。

 

 

——盆踊りも同じ意味合いがありますからね。集団で同じ動きをさせることで自我が消失するという。

 

雨宮:そうです。例えばバリ島の悪霊祓いの儀式もそうですが、肉体を追い込み、個を消して一体化した時に、精霊や神と行った幻影が見える。そういった極限状態で陶酔してるときに起こる奇跡はマジック的なものであっても信じてしまいます。それを参考に「うどんセレモニー」の中盤では突如、ウどんくんが現れて、音楽にのせてうどんを打ち、麺を一本だけ窯に入れたら大量の麺が生まれ、観客は魅了される。そういう演出を行いました。

 

——そんな意味があったとは驚きです。イベント後に参加者からアンケートを取られたそうですね。

 

新田:イベントは2日間行い、それぞれ状況が違ったのでアンケート結果は面白かったですね。1日目は雨が降りハードな環境でしたが、なぜか「うどんに神を感じたか?」という質問では、参加者の70パーセントが「はい」と回答しました。雨よけのために急遽テントを張り、閉塞感の中でこの奇祭を体験したから、ある意味で修行っぽさが強くなったかもしれません。

 

雨宮:晴れた2日目の方が身体的には気持ちよかったんですけど、神を感じるための条件にはエンタテインメント要素だけではなく、何かキツイ状況が必要だったかもしれない。

 

新田:1日目より2日目の方が参加者の満足度は高かったけど「神を感じた」と答えた人は全体の30パーセントでしたからね(笑)。

 

——「うどんセレモニー」の開催を経て、今後さらに発展するような計画はあるのでしょうか?

 

新田:今は次の開催場所を探しています。例えば現代アートの文脈やアートフェスティバルでやっても面白そうだなと。四国はうどんの聖地だから、瀬戸内国際芸術祭でもやってみたいですね(笑)。今回の開催で「あれは一体なんなの?」と興味を持ってくれる人もいたり、説明すると「参加したい」と言ってくれたり、このイベントによって仲間もどんどん増えたので、今後はさらに多くの人を巻き込み、新しい段階に行けたらと思っています。

 

——「うどんセレモニー」はみなさんの各プロジェクトにおいて、どんな意味がありましたか?

 

小野:今開発中の「修行=SYUGYO」というコンテンツの構想が進んだことが大きな収穫でした。今の時代は多くのことが自動化されて簡単にできるけど「簡単に手に入れられるものは簡単に崩れる」と信じてるので、技を積み重ねる強さも絶対に必要だと思っています。だから「簡単にうどん打ちを身につけられますよ」ではなく「苦しさを乗り越えたからこその達成感があるから自分を厳しいところに追い込もうぜ」という意識をこの「修行=SYUGYO」で提唱したいんです。僕はいわゆるゆとり世代なんですけど、あえての「ネオ根性論」というか(笑)。

 

——実際に「身体知」みたいなものもありますし、華道や柔道など、「道」と名のつくものにも共通した考え方かもしれませんよね。

 

雨宮:僕はずっとフェスをつくってるんですけど、最近はなぜか「儀式をつくってほしい」と頻繁に頼まれるので、いい実験になったと思います。ただ一方で、本当にそれが1000年先も語り継がれる神話かどうかはすごく大事だと考えています。おそらく、うどんは神として崇められることはないけど、AIが神になっていく仮説は持っています。神は社会の複雑性と儀式により思考されるという論文があるのですが、これだけ複雑化した社会の中において、個人の情報がこれだけオープンに公開され、交換しあう時代は今までにありません。

 

グーグルやフェイスブックなどのグローバル企業が提供するサービスに対して、僕らはサイバースペースにフィードバックを行い、その企業のAI(人工知能)が解析し、より良いサービスとして還元してくれる。そういったサイクルが、神に供え物をして雨乞いするような古典的な儀式の体系に近似してると気付きました。

 

そのような儀式を経て、シンギュラリティで起こる世界のさまざまな出来事を200年後に振り返ると、その出来事は神話になりうる奇跡ではないのか。そう考えるとAIが神になる世界観は必然性を持って語れるかもしれない。今回はそういった世界観をつくるための、ひとつの経験だったと感じています。

 

——「うどんセレモニー」は神の作り方100本ノックというか、八百万を神にするトレーニングだったと。新田さんはいかがでしょうか?

 

 

 

新田:私は発想がものすごく飛躍できた経験だったと感じています。昨年の「ナナナナ祭」では家電を使い「都市に薬草のある暮らしをインストールする」というもっとシンプルな企画をしていたんです。食というテーマに対して器や花などの関係性はそれまでも取り入れていたのですが、想像以上のことはできていなかった。でも今回は2プロジェクトとのコラボレーションのおかげで、エンターテインメントとしてより奥行きのある食体験がつくれたと感じています。

 

食事を目の前でつくって食べるリアリティはもちろん、声にエフェクトをかけるなど音の技術によって私の身体や想像を超えた体験が作れるんだな、と感動しました。プラシーボ効果と言って、ヒトの信念や祈りは治癒力・回復力を高めるのですが、儀式や食事を介すと圧倒的に早くその身体状況まで持っていけるのだなと。空間を作り込むことも面白く、体験をデザインすることも魅力的でしたし、このメンバーだからこそ掛け合いが弾んで、すごいスピード感と密度で世界観を突き詰めていけました。また、個人的に興味があった霊性・野性が、意外とみんな必要としているんだと知れたことも収穫でしたね。メンターの岩佐琢磨さんに「時代が必要としているものは霊性なのでは?」と、このイベントを評価していただけたこともすごく自信に繋がりました。

 

——このイベントによってそれぞれのプロジェクトに収穫があったわけですね。

 

新田:そうですね。今回、全く毛色の違うプロジェクト同士でコラボできたことが、今後それぞれの活動において良い活性剤となると感じています。100BANCHにいると「数年後〜老後にやりたい」と思っていた未来がどんどん加速して前倒しでやってくるという感覚があるんです。そうやって自分だけではできなかったことが100BANCHを通して想定外の形で実現していく瞬間を楽しみに、今後もさまざまなプロジェクトと繋がり未来をつくっていきたいですね。

 

——奇抜な儀式からは想像できないほど、各プロジェクトしっかりとした考えや思いがあり、それを伺うことで、このイベントに対する疑問や混乱が溶けていきました。「食の霊性」は確かにこれからの100年重要な概念になってきそうです。個人的に皆さんが参加されている100BANCHの「GARAGE Program」も面白そうで興味津々です。「うどんセレモニー」の今後の展開も楽しみにしています!

 

 

WRITER

市原えつこ

WRITER、メディアアーティスト、妄想インベンター

1988年、愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。2016年にYahoo! JAPANを退社し独立後、フリーランスとして活動。主な作品に喘ぐ大根「セクハラ・インタフェース」、死者と49日間共生できるロボット「デジタルシャーマン・プロジェクト」(文化庁メディア芸術祭優秀賞、Prix Ars Electronicaで栄誉賞を受賞)など。

現在、キャッシュレス時代の新しい奇祭「仮想通貨奉納祭」実現に向けて、クラウドファンディングを実地している。

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