• イベントレポート

「今日から君も発明家!」~病院内の“あったらいいな”を考える~ Sparkle Ways Project こども発明ワークショップ開催

学生団体・Sparkle Ways Projectは、「こどもたちの”ワクワク”は生きるエネルギーである」をモットーに、子どもたちの声を社会に届け、地域や社会と共につくる小児医療の架け橋となることを目指して様々な活動を行っています。

同プロジェクトは活動の一環として、2021年5月23日にオンラインイベント「こども発明ワークショップ」を開催しました。

大学生を対象として行った、入院中の子どもたちがワクワクできる「秘密道具」を発明するワークショップの様子をプロジェクトリーダーの猪村がレポートします。

入院中の子どもたちの“ワクワク”ってなんだろう

コロナ禍において奇しくも「入院」がいくばくか身近になりました。闘病中の子どもたちは、何に不自由を感じているのでしょうか。病院の外で暮らす他の子どもたちとは何が違うのでしょうか。

例えば「遊ぶ場所 」。入院中の遊び場は病院内に限られます。廊下は走っちゃいけないし、迷惑になるから部屋で大きく体を動かすのもダメかもしれません。大声も出せないかもしれません。

でもそこで、かけるだけで無限の遊び場が湧き出てくる「魔法のゴーグル」があれば…! もっと大胆に、病院の壁中がプロジェクターでバーチャルゲームとして使えれば病院内の方が楽しいくらいになるかもしれない!!

そんなポジティブで、少しばかり現実味の外をいくような「ワクワク」の溢れる発明を、子どもたちと、そして大人たちにも体験してほしい。そしてその中で、まるで自分がその状況にいるようにイメージして問題を見つけ、前向きに解決しようと考える楽しさを見つけてほしい。

そんな想いから、本ワークショップを開催しています!

前回の開催では子どもを対象に、今回のワークショップでは大学生を対象にオンラインで開催しました。

前置きが長くなりましたが、本番の風景をお届けします!

 

童心に帰るのはまず自分たちから

まずは、参加者の皆様と自己紹介を行います。今回は大学生として参加するのではなく、「入院経験のある子ども」になりきってイベントを進めていきます。

初対面の皆様と明るく楽しく話し合える雰囲気を作るために、名前や年齢などの基本情報から好きな食べ物や歌、一番大切なものについても共有し合いました。


参加者が入院経験のある子どもになりきって自己紹介

 

アイデアの種を考える

次に、アイデアの種を考えます。自由な発想がどうしたら思い浮かぶかを練習問題で体験します。最初は「看護師さんに怒られたことがある人」「病院の中で鬼ごっこやかくれんぼをしたことがある人」など、「はい・いいえ」で答えることができる簡単な質問から考えていきます。

さらに具体的に考えていきます。

まずは運営側がいくつか例を紹介します。例えば「部屋の色んなところに絵を描きたかった…。そんな時にどんな秘密道具があったらいいでしょうか?」。運営側が考えたのは…名付けて「どこでもクレヨン」です! このクレヨンの凄い所は、大人には描いたものが見えない所です。好きな所に描き放題! 怒られません。

次は参加者の皆様に練習問題を体験してもらいます。

例えば、「大好きな看護師さんに毎回来てほしい…。そんな時にボタンがあったらどんな秘密道具が思い浮かぶでしょうか?」。正解は名付けて「指定の看護師さん呼べますボタン」です! そのボタンを押して、大好きな看護師さんの好きな音楽が流れるようにしたら、看護師さんが飛んできてくれることでしょう。

もう一つご紹介します。

例えば「病院の中を気持ちよく走りたい…。そんな時にマントがあったらどんな秘密道具が思い浮かぶでしょうか?」。正解は名付けて「見えないマント」です! そのマントを着用したら自分の姿は見えなくなります。気が済むまで走り回れてしまいます。

 

自分のアイデアを考える

問題に慣れてきたところで、今度は参会者が実際に考える番です!

必要なのは、想像力と鉛筆と紙の3つだけです。最初は自分がなりきる子どもの名前を決めます。

名前が決まったら、入院中にあったことや困っていたことを長期療養児の視点に立って考えます。考えがまとまってきたら、ワークシートに沿ってアイデアを考えて記入します。


参加者とワークシートに書いた内容を話す

アイデアを具体的にしていくと、だんだんとワクワクしてくるはずです!

次は楽しく絵を描きます。先ほど考えたアイデアを実際の形で表現します。事前に運営側で行ったリハーサルでは、紙にシャーペンで絵を描きましたが、本番の大学生は色を付けたり、中にはパソコンに描いていた方も居ました。何を使用して描くかという選択から、発明は始まっていると言えるかもしれません! アイデア表現はどんな形でもオーケーです!

 

アイデアを共有する

そろそろワークショップも終盤。皆んなでアイデアを発表し合います!

自分では想像することすら無かったようなアイデアがたくさんシェアされました! これこそが参加型ワークショップの醍醐味といえるのではないでしょうか。それぞれのアイデアをシェアすることによって、自分とは違った視点を理解することにつながり、結果的に一人で考えるよりも想像力豊かになることができるのです。

アイデアの共有の様子

ある参加者は、デザインを自由に変えることができ、声が外に漏れないカーテンを考えてくれました。これで病室でも自由におしゃべりしたり歌ったりできますね!

他にも、病室のベッドの上から世界中のカブトムシを観察できる携帯電話や、病院にいても家のものを取ることができるマジックハンド、好きな絵本の世界に入ることができるボタンなど、たくさんの“あったらいいな”という、ひみつ道具が挙がりました!

どのアイデアもベッドの上で過ごしていたとしても、思い切り自分の好きなことができるということは子どものワクワクにつながりますね。

ある参加者からは「子どもになりきることで、“子どもの頃の自分だったらどう思うだろう”と、より具体的に入院生活について考えることができた」という感想をもらいました。

「入院中の子ども」と聞くとどのような生活を送っているのかイメージすることは難しいかもしれませんが、今回のイベントのように入院中の「あったらいいな」を考えることによって、子どもが病院で過ごしている生活をより具体的に想像することができたのではないでしょうか。

また、「久しぶりに子どものときのように楽しく考えることができた」という感想もありました。年を重ねるごとに自由に発想する機会は減っていきますが、「秘密道具」を発明することを通して自分の好きなことを自由に考えることができました。

今後はより多くの大学生、そして闘病中の子どもたちや入院経験のある子どもたちと一緒に、ワクワクできるアイデアを考えていきたいと思います。

オンラインイベントにご参加いただいた皆様、ご協力いただいた皆様ありがとうございました!

最後は記念撮影! お疲れ様でした!!

 

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