中実な立体物を編む「ソリッド編み」によって、デジタルなものづくりを実現する

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Solidknit

プロジェクト概要

糸を、編み目という構造によって1目という単位に分割して扱う編み物は、まさしくデジタルなものづくりだと言えます。この編み構造で中実な立体物をつくることで、「かたいもの」に編み物のデジタル性を付与します。

TAG

  • #プロダクト

動機

ペンやテープといった日用品は、だれが最初に発明したのか気にしたこともないほどあたりまえのものであり、だからこそ日常生活において欠かせないものだと言える。もう少し最近の例で言えば、PCやインターネットといったものも、20年ほど前は目新しかったがすでにあたりまえのものになっている。このような、未来のあたりまえとなる発明を残したいという思いが人生の目標としてあり、ソリッド編みが自分の「持ちネタ」のなかでそれに該当する可能性がもっとも高いと考え、このPJを始めた。

仮説

3Dプリンタやレーザ加工機はデジタルなものづくりの代名詞として紹介されるものの、それらは駆動軸がデジタルに移動しているだけで、加工する材料自体はアナログだという指摘がある。
こうした考え方を背景としてデジタルマテリアルの研究が行われている。これは、2次元画像をピクセルに分割してデジタルな表現ができるようになったのと同じように、3次元形状を分割して構成することができるブロックのようなものをつくり、それを材料として、本当の意味でのデジタルなものづくりを実現しようという試みである。これにより、ものづくりにおいてもundoやcopyを行うことが可能になりうる。
しかしこのデジタルなものづくりは、編み物という「工作法」によって実は何百年も前に達成されていたのではないだろうか?形状を1目1目に分割することにより、編み物は、まちがえたら編み目をほどいて元の状態に戻す可逆性や、編み図という「ソースコード」によってだれでもコピーできる複製可能性を得ている。
糸という材料自体はアナログであるものの、編みという構造によって、編み物はデジタル性を獲得しているのである。 ただし現在の編み物の対象は面だけであり、中実な立体物を造形することはできない。編み物のなかに綿などを詰めることはあっても、編み物自体の中身が詰まっているという状態は、従来の編み物ではありえなかった。 この中身の詰まった編み物を容易に造形することができる機械をつくることができれば、本当の意味でのデジタルなものづくりを実現する一つの方法として、世の中に発信できると考える。

実験
  • ソリッド編み機の開発
  • ソリッド編み機の応用例のブレインストーミング
目標

ソリッド編みで単純な直方体を出力できる試作機を完成させる。

未来

切削加工や鋳造といった製造方法のカテゴリに、その一種として3Dプリンティングが加わりつつあるように、そのなかにソリッド編みが加わっている未来をめざす。

リーダーインタビュー
  1. 「あなたはどんな風に育ちましたか?」
    - ここに書けるようなおもしろエピソードもなく、わりとふつうにぬくぬくと育ったと思います。その反動からか、遠方の大学に行った友人や周囲の上京してきた人たちの自立した姿に憧れ、会社員時代の4年半は東京を離れ静岡県浜松市で働きました。今回久しぶりの東京ということでもっとワクワクするかと思っていましたが、浜松を離れることが寂しすぎてまだそういう気分になれません…。

  2. 「渋谷の街のエピソードは?」
    ー 小さいころ母親と渋谷に来たときに変なにおいがして、それからずっと「渋谷はくさい」というイメージがあり、好んで来る街ではありませんでした。大学院時代に渋谷のFabCafeでアルバイトをしたことで、以前より抵抗がなくなりました。でもハンズに行くだけならいまでも新宿に行ってしまうかもしれません。

  3. 「メンバーたちの意外な一面は?」
    ー 替え歌が得意です。FabCafeアルバイト仲間のさがらさんが退職する際は、「さくら(独唱)」の替え歌「さがら(独唱)」を制作し、道玄坂ピアを爆笑の渦に巻き込みました。その笑い声が大きな振動となり、隣の「俺の塩らーめん」ではお客さんのチャーシューがテーブルに落ちたというのは、ただの噂ではないでしょう。

  4. 「意気込みをお願いします!」
    ー 仕事を辞めてきているので、ふつうにがんばります!

PROJECT TEAM

廣瀬 悠一

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。 会社員時代は静岡県浜松市にて機械系エンジニアとして3次元切削機の開発を行う傍ら、週末はファブラボ浜松で趣味のものづくりに勤む。 現在は大学院在籍時に自ら考案した、3次元データから中実な立体物を編む「ソリッド編み」を自動化すべく奮闘中。

mentor大嶋 光昭

パナソニック株式会社 元 理事・技監、京都大学 特命教授、(公財)京都高度技術研究所 フェロー

パナソニックの家電・デバイス・B2B事業分野における基本特許の発明を行い、この技術の開発と事業化を数多く成功させている多分野型発明家。シリアルイノベーターと称されている。有効な登録特許の件数は海外を含めると1,300件。発明した技術を事業化した事業の累積営業利益は3,000億円。現在も研究開発・事業化活動を続けるとともに、社内で大嶋塾と呼ばれる発明塾を主催し、若手研究者を育成するとともに、大学でも後進の指導にあたる。本人が発明し事業化した技術:ジャイロセンサ、手振れ補正、デジタルTV放送方式(日米欧規格)、BCA(ダビング10に採用)、海賊盤防止技術(任天堂Wiiに採用)、光IDなど10件。

受章・受賞:2004年紫綬褒章受章、2003年恩賜発明賞、2007年大河内記念生産賞、2008年経済産業大臣発明賞、2012年市村産業賞貢献賞など。

著書:大嶋光昭「「ひらめき力」の育て方」(亜紀書房, 2010)