- イベントレポート
楽曲で素粒子「ミューオン」に想いを馳せる
「研究×情緒」で大衆的な科学コミュニケーションをつくりたい。
研究者が提供したテーマをもとにクリエイターが作品を作って公開し、科学とは縁遠い一般の方々に科学の一端が触れる仕組みを作る試み。
人生の文脈に沿った科学に救われたから。
”科学”を標榜しているので勘違いされやすいのですが、
私は中学、高校の成績は最下位に近く一般的な科学好きのイメージの優等生からは遠くかけ離れた人間でした(今もそうです。)
当時、勉強の不出来だけでなく、学校の人間関係や生活面で幼いながら多くの悩みを抱えており、自分では精一杯してるつもりなのに、考えてもうまくいかない頭の不出来を責めていました。
その時に出会ったのが偶然手にとった雑誌に書いてあったリベットの自由意志実験でした。自由意志実験とは「やろう」という意思より前に脳内で神経活動が起こっていることが示唆された実験です。
それはただの知識でしたが自分の人生に置き換えた時に衝撃を受けました。意思は後付けでしかなく、コントロールできない反射で生きている。この解釈は人によって良くも悪くもありますが、こう考えた時に視界が開かれた気がしました。
何よりもフィクションではなく実験という現実の舞台で議論されており、誰かの思想ではないということが大きかったと思います。
これは一種の科学とのコミュニケーションだったと思います。自分の人生に影響を与えたように、科学を生活に還元できる形にして、広い入り口を作りたいと思いこのプロジェクトを立ち上げました。
昨今科学館などで行われる科学コミュニケーションは前提として科学に関心のある人に向けたものが多く、ある程度の土壌がある人に向けてのものが多いと考える。また披露される実験自体も知識として楽しむが、興味が続かずその場で終わってしまっている可能性が指摘されている。
生活に地続きの科学の側面を強調することで、多くの人に対して物語性を持った情報を訴求できると考える。
今回科学を端的にそして印象強く届けるためにキャッチコピーという広告の手法を用いて表現する方法を模索する。
① 分解/体系化
最前線の科学知見を噛み砕くノウハウの体系化
② 各所交渉
・渋谷区内の大学や企業の研究室に掛け合い、
①を踏まえて科学コミュニケーションの協力を得る。
・コピーコミュニティに掛け合い制作体制を準備。
③ 表現
研究をキャッチコピー化
④ 効果検証
コピーに触れて研究にどれほど関心を持ったかアンケート調査
・大衆的科学コミュニケーションのメソッドを築く
・大学/企業に対して新しい科学コミュニケーションの可能性を感じてもらう
・各所とのリレーションを構築
将来的に研究者に専属の作家がつく未来を描く。
広告会社でCDとADが組むように、メーカーでデザイナーとエンジニアと組むように、科学界にも研究を深める役割とそれをわかりやすく広める役割が必要だと考える。
ポップカルチャーの融合によって科学=自分の生活の見方を変えるエンタメ(≠学問)として普及させていきたい。
Academimicプロジェクト 代表/プランナー浅井順也
大阪大学大学院にて脳神経科学を専攻。
魚が鏡を見て自分と認識できるか、ヒトの背後の音源定位の能否など空間認知機能を研究。
広告会社に入社後PR業務と並行して遺伝子をカセットテープで表現するアート作品等制作。
WIRED Creative Hack Award ,Circular Creativity Labアワード 受賞等。
Academimicプロジェクト 副代表 |GARAGE Program59期生水山遼
大阪大学大学院にて神経科学を専攻。
緊張に伴い脳の機能発揮が変調するメカニズムを検討し研究成果が国際誌に掲載。
大手電気機器メーカー入社後、人と機械の協調・融和に関わる研究開発を行う。人を理解し可能性を引き出す卓球ロボット”FORHEUS”の開発チームにて人同士の共感・連携を高める機能を開発。
&Co.代表取締役/Tokyo Work Design Weekオーガナイザー横石 崇
多摩美術大学卒。2016年に&Co.を設立。”個育て”を軸にしたブランド開発や組織開発、社会変革を手がけるプロジェクトプロデューサー。アジア最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では3万人の動員に成功。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」や渋谷区発の起業家育成機関「渋谷スタートアップ大学(SSU)」、シェア型本屋「渋谷◯◯書店」などをプロデュース。法政大学キャリアデザイン学部兼任講師。著書に『これからの僕らの働き方』(早川書房)、『自己紹介2.0』(KADOKAWA)がある。
プロジェクトの歩み
入居開始
100年先の未来を描く5プロジェクトが登壇 2022年8月 GARAGE Program実験報告会
「異彩を、放て。ヘラルボニーが始まりの地で語る。」100BANCH実験報告会
違う、そうじゃない、~あるロゴに関するやり取りの記録~——アドベントカレンダー2022
100年先の未来を描く6プロジェクトが登壇 2022年11月 GARAGE Program実験報告会
「脳×SF」で新しい世界を創造するプロジェクト『Neu World』キックオフミーティング「テレパシーは使えるようになるのか?〜脳研究の最前線〜」
クリエイティブで研究を身近に。「Neu World」キックオフイベント開催レポート
ロンブンアートストリート
Science Fusion -科学とクリエイティブの融合-
新しくて面白い、の共有とは。「Science Fusion-科学とクリエイティブの融合-」─ナナナナ祭2023アーカイブ
論文アートが渋谷に溶け込んだ2日間。ロンブンアートストリート ─ナナナナ祭2023を終えて
[DESIGNART 2023] サイエンス×クリエイティブ #2
-センス・オブ・ワンダーを求めて-
実験的な表現に挑むクリエイターたちの作品をキュレートした「OPEN GARAGE」を開催──渋谷・100BANCHにて10/20(金)〜10/29(日)
サイエンス×クリエイティブの面白さを研究者やアーティストとともに探るイベント「センス・オブ・ワンダーを求めて」を開催──10月28日(土) @渋谷・100BANCH
研究とポップカルチャーの融合を目指す「Academimic」が内閣府のSFプロトタイピングプロジェクト『Neu World』 の公式WEBサイトを公開
DESIGNART TOKYO 2023に出展――領域を超えてつくりあげられた作品14点を紹介
Direct,Curate,Create —DESIGNART TOKYO 2023を終えて
研究とポップカルチャーの融合を掲げるAcademimicが、渋谷のアートイベント“DIG SHIBUYA”の連携プロジェクトに——1月12〜14日に展示開催
科学の根源にある面白さをわかちあうには——DESIGNART TOKYO 2023アーカイブ
AI時代の創造性とは
ずっとクライマックス ——2024年 今年の抱負!
画家が描くAI時代の創造性:Academimicプロデュース公演“Appendix”
渋谷のアートイベント「DIG SHIBUYA 2024」にAcademimicが出展——100BANCHコラボによる培養技術アートも
ミューオン~あなたを透過する素粒子の謎~
研究とポップカルチャーの融合を掲げるAcademimicがKEK/総研大の大谷将士助教のコミュニケーションパートナーに
楽曲で素粒子「ミューオン」に想いを馳せる
【Podcast】水槽を囲んで作戦会議
コンタクト