「研究×情緒」で大衆的な科学コミュニケーションをつくりたい。
Academimic(旧:Sci-Cology)
「研究×情緒」で大衆的な科学コミュニケーションをつくりたい。
Academimic(旧:Sci-Cology)浅井順也 【20日目】
こんにちは、Academimicの浅井です。
学術研究をポップに表現するというプロジェクトで100BANCHに入居していました。
意気揚々とアドベントカレンダーに立候補したもののある問題に気がついた。
カメラロールをいくら遡っても入居中の活気に満ちた写真がないのである。
クリエイターと研究者とのやりとりなどオンライン作業が主だったので全てが画面の中だ。
これは困った。
何かいい感じの資料はないだろうか。
「あ、あった。」
僕には絶大な信頼を置いている馬場というクリエイターがいる。
彼とは新卒で出会い、数々の無理難題を共にして今でも仲良く制作活動を行なっている。
そんな彼とのロゴ制作のひと夏の軌跡を勝手に辿り、100banchの思い出とさせていただきたい。
まずこれを見てほしい。
リターントリップエフェクトという「往路よりも復路の時間のほうが短く感じる」という心理現象を楽曲化したプロジェクトである。
シティポップの曲調がこの現象のエモさを演出できているように思う。
僕は彼にこのプロジェクトのロゴ化を依頼した。
科学現象のロゴ化はおそらくこれまでやったことのない作業だと思うが彼は快く受け入れてくれた。
シティポップの情緒を出したいとは思いながら、どういうロゴにしようか探り探りだった僕のオーダーは、
「カジュアルなバーのカウンターにありそうなネオンサイン的なロゴ」。
今思い返すとわかるようでわからないオーダーである。
しかし汲み取ってくれるのが彼だ。
彼のアイデアがふんだんに入ったアウトプットに助けを乞う。
心待ちにしていたところ、ロゴ案が出てきた。
めっちゃ検討してくれていた。
初手でここまで出してくれるのは本当に心強い。
ただ少々近未来感が強く、手書きはインパクトが弱いと感じた。
そのお戻しの結果出てきたのがこちら。
いい。。
しかしどことなくトロピカルな感じがする。
トロピカルが悪さをしているかわからないがなんとなくトロピカル感を消したい。
上記含めたお戻しを丁重にした結果、ものの数時間で出てきたのがこちら。
浅井「違う、そうじゃない、かもしれないので一旦電話していい?」
どれだけ気の置けない間柄でやってもミスコミュニケーションは出てくる。
メッセージではなく直接話して気になるところをブラッシュアップしていく。
そして数時間後出てきたのがこちら。
馬場氏
「一応、上の矢印(行き)は、見たことない景色(ビルとか街並み)とかを新鮮に感じるのもあって、矢印のラインが長くなってて、下の矢印(帰り)は景色も見慣れたものになってるから、体感的にも短く感じるのに合わせて、矢印ラインが短くなっているって感じ」
これだ。これ以上があろうか。
なんと見事に科学現象をしっかりとロゴに落とし込んでいる。
想像を上回る最高なアウトプットを生み出してくれた。
僕の拙い言葉を元に彼のアイデアでワクワクするものができていく。
このひりひりする感覚が彼との作業がやめられない所以である。
その後細い方がエモさあるかなどなど議論を経てロゴが完成した。
こう見ると壮観である。
100BANCH入居期間中、馬場氏以外ともたくさんの共同作業を行なってきた。
仕事やプライベート問わず、共同制作する上で関係性を中心とした「いかに進めるか」という要素がとても大事だと思う。
例えば、ディレクションするには初めから出来上がったものが頭にあったほうがいいという人がいる。
一方で、一緒に少しずつ作っていくことこそが共同制作という人もいる、
他にも興味ドリブンで参加してもらうのか、
お金を払ってプロとしてお願いするのか。
正解はない。
また、自分のディレクションミスの場合でも「違う、そうじゃない」と言わなければならない時もある。
その時、軌道修正以上にきちんと双方が納得して前に進められるかどうかにかかっている。
ゴタゴタ述べたが実際のところ共同制作はどれだけ楽しめるかと、どれだけ対等でいられるかが重要なのではと思っている。
でも違うそうじゃないかもしれない。
共同製作者との関わり方もアップデートしながら、この先もたくさんの人と創作していきたいと思う。
この記事は100BANCHにまつわる様々なストーリーをメンバーやスタッフが紹介するリレーエッセイ企画です。他の記事はこちらのリンクからご覧下さい。
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