さみしさを一人で抱えなくてもいい、「その子だけの本」で、きょうだい児も主役になれる社会へ

your book
さみしさを一人で抱えなくてもいい、「その子だけの本」で、きょうだい児も主役になれる社会へ
「誰のものでもないカメラ」が辿る旅路で、人と人との信頼を描きたい!
私たちは、カメラを媒介に人と人のつながりを誘発し、「信頼」の移り変わりを探ることを目指すプロジェクトです!
『utsuRe』は、カメラを主人公とするプロジェクトです。誰のものでもない、新しいカメラのあり方をデザインすることに挑戦しています。「ウツレカメラ」は、人の手から手へと旅をしながら、カメラを中心とした人間の信頼やつながりを実証していく自律型カメラです。私たちはこのカメラを通して、カメラが媒介となる新しいコミュニケーションの可能性を実験します。
小学生の時にサンタさんにDSを頼んだのにカメラがやってきてから、それが自分の長年の趣味になりました。
映像やメディアのあり方に関心を広げていく中で、カメラが時に暴力的な表現を後押ししたり、人を傷つけたりする可能性も知りました。そこから信頼関係こそがあたたかい映像表現の鍵なのではないかと考え、映像人類学を研究し始めました。その中で私は、カメラがカメラらしい姿のまま受け入れられてほしい、そして、カメラを中心としたコミュニケーションが大好きでもっと広めていきたいのだと気がつきました。
本プロジェクト『utsuRe』では、「写れ!」という気持ちを込めて、カメラを第三者に託します。人から人へとカメラが手渡されていく中で、カメラを中心に生まれる信頼関係の軌跡を、旅路の写真記録を通じて追いかけたいと考えています。
ウツレカメラは、誰にも所有されないカメラです。シャッターを押すと、写真は専用のマップサイトに自動でアップロードされます。「一枚撮ったら次の人に渡す」というルールのもと、ものを中心につながりが宿ると仮説を立て、その可視化を目指しています。
途中で壊れるかもしれないし、捨てられるかもしれない。それでも、機械としての弱さすら、人と人との信頼で乗り越えることができるのか。このカメラは、どこまで旅を続けられるのか。そんな問いを持って私たちはこの実験に取り組んでいます。
複数台のカメラ製作とユーザー視点からシステム全体を再考したいです。
具体的には、「意思を持たないウツレカメラ」と「意思を持つウツレカメラ」2台の開発、そして実装実験を行いたいです。
・「意思を持たないウツレカメラ」では、「渡したい人に渡してください」という一文だけが添えられたカメラを身近な人や第三者に手渡すことでプロジェクトを始めます。人の手を介してカメラが辿る旅路を観察します。
・「意思を持つウツレカメラ」では、目的地を設定し、遠隔からカメラに意思を示しながら、出会う人々の協力を得ながらカメラを回してもらい、目的地に辿り着けるかを実験します。例えば、「富士山の頂上からの景色を見てみたいけど、現実的に叶わない」というおばあちゃんのために、人々の手を借りながらウツレカメラがヒッチハイクのように目的を遂行するチャレンジをします。
誰もがスマホを持って撮影し、自分の視点を広めていく時代に、誰のものでもないカメラがあったらどうなるのかという問いを検証したいです。また、人間中心の設計が主流な中、機械を中心に人のつながりや信頼は見えてくるのかを実験し、カメラを通した信頼関係の形を探りたいです。
どれだけ画質の良いスマートフォンが広まったとしても、一眼レフのような「ザ・カメラ」の見た目を持つカメラが、これからも存在し続けてほしいと思います。カメラが人の意識を変えられる、「場」をつくり続ける存在であってほしいのです。
先日写真館のカメラマンの方とお話しした際に、「一眼レフを前にすると、ちゃんとしようと意識が変わる人が多い」と伺いました。誰もがスマホを持ち、無意識に写真や動画を撮るようになった現代。でもいざ一眼レフのレンズを向けられると、緊張します。カメラの見た目がつくりだす、あのオンリーワンの「場」を100年後の世界でも感じられていてほしいと願っています。
また、自分自身が祖父のフィルムカメラを掘り起こして、まだ使えた時の喜びや、二眼レフに残っていたフィルムを現像して先祖の記憶がよみがえった時の感動。そうしたカメラがもたらすワクワク感や感動を、これからの時代に継承していきたいです。
utsuRe リーダー稲垣凜
愛知県名古屋市出身。立教大学現代心理学部映像身体学科在学中。サンタにDSを頼んだのにカメラがやってきてから大好きな長年の趣味である一方、ときに囚われている。高校1年生の時に-40度のカナダの極寒地で一から関係性をつくったことをきっかけに、「結局は人間同士」という価値観を持つ。大学ではErasmus University Rotterdam に留学し、映像とメディアコミュニケーションの観点からカメラを通した信頼関係の構築を考えている。オレンジジュースで元気になる。
utsuRe アーキテクト杉山真悠
愛知県名古屋市出身。豊田工業高等専門学校卒業 建築学科卒業。卒業研究ではアール・ヌーヴォーの装飾美を研究した。建築の固いところが好き。utsuReの工学デザイン担当。
utsuRe グラフィックデザイナー大平萌乃
神奈川県横浜市出身。立教大学現代心理学映像身体学科休学中、東京デザインプレックス研究所でグラフィックデザインを学ぶ。高校時代から独学でアニメーションMVを制作し、大学ではイラスト・デザイン・インスタレーションアートの創作活動に励む。自主制作では自身が理想とする奇妙でかわいい世界観を探求する。