PROJECT REPORT

2018.02.26 Mon

SHIBUYA IN THE SKY活動報告:
無限の可能性が広がる場所
都会の「屋上」に新しい価値をつくる

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SHIBUYA IN THE SKYプロジェクトは、世界的に最もにぎわう都市のひとつ、渋谷の屋上などを活用し、「渋谷の天空を全て使い、誰も見た事のない新しい都市をつくろう」というプロジェクト。
たくさんの人やもの、建物が入り交じる渋谷の屋上は、室外機や電気設備が並ぶだけの風景が広がっています。広大で荒れ果てた大地にも似た渋谷の屋上や壁面を、価値ある空間に転換させ、空から眺めても豊かで魅力的な世界初の都市を目指しています。

リーダーの鈴木克哉が渋谷という地域に密着しながら活動してきたプロジェクトの道筋についてレポートします。

基となる考えは10年以上前からありました。お金が底をつき友人の家を転々としていた時期に、屋上や河川、高架下など、新しい住み方の可能性を考えていました。その考えが、この10年でどんどんアイデアへと膨らんでいくなか、渋谷区長の長谷部健さんが100BANCHのメンター陣にいることを目にしました。「長谷部さんにアドバイスをいただき、プロジェクトを達成したい」と100BANCHに応募し、プロジェクトを立ち上げました。参加後は、長谷部さんから渋谷駅周辺を担当する整備課の方をはじめ、様々な方を紹介していただいたお陰で、少しずつプロジェクトの道が開けました。

 

「渋谷」で活動しようと思ったいちばんのきっかけは、渋谷区長・長谷部健さんの柔軟な考えや行動に魅力を感じていたからです。長谷部さんであれば、私たちのプロジェクトを必ず理解していただけると思いました。他にも、横浜国立大学で建築家・西沢立衛さんから出題された、渋谷という「都市」を舞台にした課題に取り組んだ経験も大きかったですね。渋谷は都市に関する文献で頻繁に参照されているほど希少なエリアなので、他のエリアでは不可能なことを可能にする力があると感じています。

 

渋谷は「鍋」のようなイメージを持っています。どこからともなく多くのひとたちが集まり、いろいろな味を足していくようなイメージです。渋谷と関わるうちに、金王八幡を中心とする地元の方々の存在が鍋の「出汁」のような役割を果たしていると感じ、更に渋谷の深みを感じました。

私は渋谷で世界初の立体的な都市風景を形成したいと思っています。渋谷は1970年代まで日本の都市を牽引する形で劇的に変化していきました。しかし語り草になっている「渋谷パルコ公園通り」の登場以降、建築郡は郊外化し駅前が大きくなった程度で、都市風景は大幅には進化をしていない状況です。これからさらに世界中の都市が成熟を迎えるなか、渋谷が「新しい成熟の形」を先駆けて提示ですることで、世界中の都市がより良い方向に変化するのではないかと思います。

過去にラジオ出演で紹介した「天空防災キャンプ」は、大きな反響がありました。これは、都市型災害等で数多くの帰宅困難者が出た場合を想定し、「いかに楽しく避難生活を送れるか」に重きを置いた防災キャンプです。

 

参加者は避難経路を確認したあと、屋上にテントを組み立て、都市型キャンプを楽しみます。電気や水などのインフラが整わない屋上でアウトドアを体験することにより、都市災害時に何が必要で何が不要なのかを体感できます。特に冬場はサバイバルのような非日常感を体験でることも魅力です。

天空初日の出キャンプの様子

まずは、「天空防災キャンプ」の拡大化を目指します。私たちは、地方に行くことなく都会ならではのアウトドアを楽しむことを「都市型アウトドア」と呼んでいます。以前の都市環境では実現が難しかった「都市型アウトドア」ですが、少しずつ都市が成熟するにつれて、それらを可能にする土壌が整ってきているのではないかと思います。「天空防災キャンプ」が広まり、将来的にはアウトドアメーカーとコラボレーションをしたいですね。

 

また、それと並行して、屋上など工事が難しい場所に、設置するだけで周囲の雰囲気が向上するエクステリア家具シリーズ「天空家具~桜~」の制作を進めています。これらは桜の苗木を埋め込んでいることもポイントです。この家具が各地に設置され屋上の緑化が進むと、ヒートアイランドの抑制、よりよい空気の循環、雨水遅延によるゲリラ豪雨の抑制、断熱性の向上、騒音の低減が期待でき、都市への貢献は多大にあると考えています。3月30日の渋谷駅前桜丘エリアで開催される桜まつりの会場に「天空家具~桜~」を設置する予定ですので、ぜひご覧いただきたいです。

 

長年のフィールドワークを通じて、屋上はあまりに未開拓なエリアだと感じると同時に、地価が高く人口も過密な渋谷だからこそ、天空で新しいビジネスが成立する可能性があると考えます。「都市型アウトドア」や「天空家具~桜~」のプロジェクトの実現により、利用者が楽しむだけではなく、ビルオーナーなどの管理側にも経済的なメリットがあり、自治体やスポンサーが評価を受けるような仕組みをつくりたいと思います。

 

制作中の「天空家具~桜~」

一般的に建築のプロジェクトは1年以上の時間を要することが多く、都市のプロジェクトになると10年以上になることも珍しくはありません。このように、非常に時間のかかる試みですが、立ち上がる人が増えれば増えるほど、プロジェクトの実現に近づくと思いますので、ぜひご協力をお願いいたします。

使用していない屋上や外壁を活用してみたい人や、都市の屋外に興味がある人、都市を普段とはちがう視点で見たい人や環境問題に興味がある人は、ぜひプロジェクトに参加してもらいたいですね。

そして、CSRやCSVとして都市への還元をしたいと考えている企業の方々や、大小かまわずビルを所有されているオーナーの方々に、 ぜひご協力をいただけるとうれしいです!

WRITER

SHIBUYA IN THE SKYプロジェクト

鈴木克哉

szki architects株式会社一級建築士事務所代表、東新宿実験スペース「みせるま」代表。 設計事務所勤務後、szki architectsとして独立してからは建築設計・まちづくりを中心業務とし、海岸リノベ、公共施設改修、店舗設計、家具設計といった活動の中で、都市レベルの視点からDIYレベルの身体行為までをサポートしている。また設計事務所の東新宿オフィスとして実験スペース「みせるま」を開業し、各種イベントや祭囃子交流、ポップアップショップ開発など、ソフト部分の企画もおこなっている。

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