- イベントレポート
100年先の未来を描く9プロジェクトが登壇 2023年9月 GARAGE Program実験報告会
電力インフラに依存しない
デジタルクリエイションのプラットフォームを構築したい
電力自給型&低消費電力なNFTビューア機能を兼ねたハードウェアウォレットを開発する。同環境上で製作されたデジタル作品はNFTとしてミントすることができ、ウォレットアドレス登録者のビューア上で表示させる。
我々が暮らすこの情報化社会は、3.11からこの10年程の間で数多くのエネルギー問題に直面した。デジタル領域で活動する我々DATSUは、デジタル表現の根源的なパワーソースのDATSU中央集権化に挑むこととなった。更に、情報化が進む現代においては、多くの営みがエネルギーに依存している。デジタルクリエイションのみでなく、より広い視点で情報化社会のエネルギー依存問題に取り組むことを目指し、プラットフォーム化を企画した。
テクノロジーの要素技術を文化的に社会実装することで、特定の分野に依存しない需要を生み出し、技術革新が促進されることがある。本プロジェクトでは、カルチャーの拡散要素を場(共有性)、自己表現(拡散性)、メソッド(複製性)の3つに要素分解し、先に開発したファッションアイテムと、この度開発するアートプロダクトが同じプロトコルに準拠していることで、文化的なプロセスが進行していくと考える。それにより、本プロジェクトで活用しているエナジーハーベスティングや低消費電力機器と共に人々のエネルギー意識を醸成することを目指す。 ブロックチェーンの活用に期待する効果を以下に示す。
・自己電力で活動する本プロダクトと同様、永続的なデータベースとして文化のアーカイブに寄与出来ないか
・サーバに依存しないコミュニケーションプロトコルとしての側面を見出だせないか
・情報の定量化を得意とするため、実態の掴みにくいエネルギーを表現出来ないか
エネルギーインフラを前提としないデジタルクリエイションプラットフォームのプロトタイピングとして
メディウム(ウォレットデバイス) 開発
DApp(ミドルウェア) 開発
自給電力活動可能なデバイスの開発とシステムの検証 ファッションアイテムとしてのプロトタイプ製作と発表 インスタレーション作品のプロトタイプ製作と発表
政治システムや社会構造、電力という前提に依存せず、デジタルクリエイターが自立的に表現活動をし続け、それらを自立的に受け取ることができる仕組みが用意されているDATSU依存型未来
プロジェクトリーダー上妻 優生
1989年生まれ。エンジニア。チームラボ在籍。2020年、不規則な現象との共存を目的としたアート作品をSXSWに出展。2021年、ブラウザ上で生態系を育むことができるインターネットアートをメディア芸術祭に出展。また同年、茅野市民館で上演されたマルチメディアパフォーマンス「MIROIRS」のアートワークを担当。
鈴木 由信
映像、広告コンテンツ制作の下積み後、2009年よりスペースシャワーTVにて映像ディレクターを務める。 2011年よりIAMAS(岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)にてテクノロジーを用いた創作活動を開始。 2013年より日本科学未来館にて、テクニカルディレクター。2017年よりシンガポール国立大学にて、エンジニア。2019年より映像制作会社808にてクリエイティブディレクターを務める。 2020年よりデジタルハリウッド大学にてエネルギーをメディウムとしたデジタル表現手法を研究する。 2022年より「DAOを取り巻く技術の実践的勉強会 The4444th」を立ち上げ、ブロックチェーを用いたエネルギーの実存性の探究を行っている。
山本 恭輔
文化的野良仕事に従事
世界株式会社 / CEKAI 共同代表加藤晃央
武蔵野美術大学4年在学中にクリエイティブマネジメントカンパニーである株式会社モーフィングを設立。美大生やクリエイター向けメディアの立ち上げや、企業との共創によるプロジェクトマネジメントを行う。2013年、独立した個が集結できるアソシエーションCEKAIおよび世界株式会社を共同設立。日米を拠点としてグローバルに活動する組織において、自律分散的な仕組みづくりや場づくりに従事。クリエイターの可能性を高め、繋げ、拡張させることをミッションとし、究極の裏方を目指す。
プロジェクトの歩み