• イベントレポート

100年先の未来を描く8プロジェクトが登壇 2023年8月 GARAGE Program実験報告会

100BANCHで毎月開催している、若者たちが試行錯誤を重ねながら取り組んできた“未来に向けた実験”を広くシェアするイベント「実験報告会」。

これからの100年をつくるU35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」を終えたプロジェクトによる100BANCHでの活動報告や、100BANCHでの挑戦を経て、プロジェクトを拡大・成長させた先輩プロジェクトによるナビゲータートークを実施しています。

2023年8月24日に開催した実験報告会では、傘のシェアリングサービスを展開し、使い捨てビニール傘がもたらす環境負荷の軽減に取り組むGARAGE Program 17期生「iKasa」の丸川照司(株式会社Nature Innovation Group 代表)をナビゲーターとし、GARAGE Programの計8プロジェクトが活動を報告しました。

本レポートでは、GARAGE Programの8プロジェクトの発表内容をお伝えします。

NYACKTAIL

猫たちは方円の問いに随う?〜にゃくてるアートでつくる問いのカクテル〜

登壇者:長廻くるみ

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/nyacktail

「NYACKTAIL」は、「ねこは液体?」という研究から着想を得た、猫とカクテルを合わせた「にゃくてる」というキャラクターをきっかけに、日常に潜むさりげない問いや疑問に気づき、調べたり、語り合うことを楽しむ機会を増やすプロジェクトです。

長廻:1ヶ月目には下北沢のバー兼カフェで作品を展示して実際にお客さんの反応をみたり、お客さんに「問い」を書いてもらったりして、「問い」を生むことを楽しんでもらえる場作りを行いました。同時にオンラインワークショップを開催し、ノベルティカードや「問い」を記録できるNFCカードをつくりました。アプリ化も検討しましたが、採算が合わないため断念しました。また、都立大泉高校附属中学の生徒たちから、探究学習で「にゃくてる」を使いたいという申し出があり、コラボプロジェクトも進めています。9月の学園祭で発表予定です。ここまで行ってきた展示は「かわいい」と好評で、100BANCH界隈でも面白そうと反応がありました。しかし、一般のお客さんからは「かわいいだけでいいじゃん。問いって必要?」といった辛辣な反応もあり、煮詰まってしまいました。そこで、作り手の目線や、バーの空間についてインプットしようと思い、バーテンダーのカクテルコンペの見学に行ってみました。それをきっかけに、少しずつ詳しくなってきています。現在、銀座のバーでアルバイトをさせていただき、現場のインプットをしている最中です。

「今後の展開は模索中ですが、問いの見せ方のブラッシュアップや、他団体とのコラボなどをやっていきたいです。現状は煮詰まり気味なので、マネタイズやビジネス面の得意な方がいたらメンバーに入って欲しいです。」と長廻は話しました。

 

Qlay

生成AIの力で人間の創造性を解放

登壇者:中田智文

プロジェクト詳細: https://100banch.com/projects/qlay

「Qlay」は、生成AIツールを活用して消費財の新商品企画プロセスを加速化させることを目指すプロジェクトです。

中田:我々は生成系AIを使ってAmazonのクチコミやTwitter(X)などから商品のデータを抽出して可視化し、アウトプットして資料化する仕組みを開発しています。それにより、商品企画やマーケティング企画の前段階であるリサーチプロセスがすごく短くなり、競合よりも商品を早くローンチできるなど、トレンドの先取りができるようになります。活動報告としては、国内の「TAKEOFF tokyo」というピッチコンテストに参加をしましたが、2回戦で敗退しました。また、6月の後半にルクセンブルクで1番大きなテックカンファレンス「ICT Spring」のピッチコンテストにも参加をしましたが、1回戦で敗退という結果に終わりました。しかし、ここでヨーロッパの企業パートナーさんができたので、一緒にPOCを回しながら頑張っていこうと思っています。

「今後は、日本のお客さんともPOCを回しながら、早い段階で北米市場に行きたいです。元々ぼくがずっとアメリカにいたこともあり、サンフランシスコやニューヨークなどのアクセラレータープログラムに無事採択いただくことができました。来月後半からアメリカに行ってきます。そこで現地のビジネスパートナーや投資家と仲良くなりながら、北米市場でなんとか生き残っていきたいです。」と中田は話しました。

 

Hydrogen to x

水素エネルギーと身近なものを掛け合わせて、地域に楽しく実装したい

登壇者:重政海都

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/hydrogen-to-x

「Hydrogen to x」は、水素と身近なものを組み合わせて、日常生活での水素の普及拡大を目指すプロジェクトです。

重政:この3ヶ月、水素がどういった領域で使えるかを日々考えてきました。主に、ドローン産業で水素をどう使うか、キッチンカーにどうやって実装できるか、2050年、70年までに水素がどのような形で使われるか、という3つです。ドローンは水素のポテンシャルを高く引き出せる領域だと考え、スタートアップの会社に訪問して、一緒にプレゼンをさせてもらい、3日間で約300名の方に発表を聞いてもらいました。会場で水素ドローンに対してのイメージをヒアリングしたのですが、水素がクリーンエネルギーだと知らない人が半分ぐらいいました。改めて実装にはなかなか程遠く、告知やPRが必要だと痛感します。また、水素で動くキッチンカーは、実装する上でどういう要素が必要か、メンバー間でワークショップを行い考えました。環境へのインパクトだけでなく、キッチンカー自体の面白さ、おいしい食べ物、カンタンにアクセスできることなど、キッチンカーとしての魅力を突き詰めていく必要があると結論がでました。また、水素が2050年にはどういった形で使われるか、というテーマで、JH2A(水素バリューチェーン推進協議会)の方たちと一緒にワークショップを行いました。下北ガレッジに住む高校生・大学生も巻き込み、水素の未来について考え、最終的には水素は電力よりも優位では、とアウトプットを持ちました。しかし、JH2Aの方からのインプットありきでワークショップが進んだこともあり、この3ヶ月は100BANCHをフルに活用できなかったと反省も残りました。 

「今後、活動を続けていくにあたり、使ってみて面白い・楽しいといったフェスのような要素を盛り込んでエネルギーのあり方を模索しながら、関連企業を巻き込んで水素社会の実装に取り組んでいきたいです。 」と重政は話しました。

 

MORINOEBI

次世代の海老、モリノエビで昆虫食のおいしさを再定義する

登壇者:若林快卓

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/morinoebi

「MORINOEBI」は、「次世代の海老、モリノエビ(森の海老)」というネーミング、概念を通じて、昆虫が苦手な人でも食べられるよう、昆虫食のおいしさを再定義するプロジェクトです。

若林:昆虫食をニュースでみたとき、嫌々食べるアナウンサーの顔から、これは本当にサステナブルなのだろうかと疑問を抱きました。どうにかおいしく食べられるようにしたいというところからはじめました。まず、モリノエビという絵本とキャラクター化したお菓子を組み合わせて、その世界観を楽しむことでおいしく食べられるんじゃないかと仮説を立てました。海にいるエビが森にやってきてモリノエビに変身したというストーリーです。ニューヨークで明太子が売り出されたとき、最初は「タラの卵」というネーミングで、なかなか受け入れられなかったそうですが、「スパイシーキャビア」という名前に変えたところ、おいしさが受け入れられ、売れるようになった、という記事を読み、それを参考に考えました。

100BANCHでは、実際にモリノエビを食べてもらうイベントを開催して実験しました。まずは、エビを食べてもらい、その後に絵本とモリノエビチップスを出しました。モリノエビチップスは、エビパウダー入りのものとコオロギパウダー入りのものの2種類を用意して、好みに合わせて選べるようにしました。その結果、昆虫食が初めての方からも「コオロギだと言われなければおいしく食べられる」「コオロギバージョンの方がおいしい」「味を比べられるのが面白い」との声をいただきました。昆虫食が苦手な人においしく食べてもらうには、昆虫食自体を目的としないこと、好みの食べ物と関連付けてあげる、ことがポイントだと思います。おいしさを届けたいという気持ちや想いがあれば、受け入れてもらえると考えています。

「今後の展望は仲良しな世界を実現することです。これまで実験してきた中で、これが自分のやりたいことだと見つけました。ラグビーのノーサイドの精神がいいと思っていて、国を超え世界の発展と平和に貢献する、これがモリノエビの世界なのかなと思います。」と若林は話しました。

 

DEW

線香花火のような照明DEWを世界に届けたい

登壇者:高橋良爾

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/dew/

「DEW」は部屋に置くだけで日本庭園を持っているかのように感じられる、線香花火のような照明DEWを設計・製造し、一般販売を行うプロジェクトです。

高橋:ナナナナ祭に向けて、DEWの価値がどこにあるのかを確定する上で、プロトタイプをつくりました。メンターの小川さんにパナソニックの方と繋いでいただいて、協力してくださる方が見つかりました。ぼく自身は要件定義や設計などができなかったので、過去につくった動画をガイドとしてエンジニアさんにつくっていただきながら進めました。「どういうLEDを使った方が良いか」「漏水したときに壊れないようにするにはどうしたらよいか」などの設計を検証していきました。東京都の「TokyoものづくりMovement」に採択され1,000万円の支援をしていただいたので、それを試作費としてどんどん進めている状況です。ナナナナ祭の展示では三色LED をつくったり、土台の色も3つ準備したりしたのですが、床に映る光の輪に一番、価値を感じてもらえると絞り込めたので、大事に量産設計を進めています。

「今後はクラウドファンディングを通じて、アート系の販路を開拓していきたいです。また、 『瞑る』をテーマに、DEW以外にも色々なプロダクトをつくっています。自然環境の一部を切り出して、家の中に持ってくる体験ができるようなブランドをつくりたいです。」と高橋は話しました。

 

A cultured energy drink

培養肉技術から生まれた、身体を育む培養液エナジードリンクをつくる

登壇者:田所直樹

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/a-cultured-energy-drink

「A cultured energydrink」は培養肉の技術とエナジードリンクをかけあわせた培養液エナジードリンクをつくり、飲んで健康になるだけでなく、その可能性を広めることでバイオ研究に興味をもってもらうなど、裾野を広げていくプロジェクトです。

田所:100BANCHでは植物からカラダに良いスパイスを抽出し、ひたすら調合、改良を重ねてエナジードリンクをつくりました。親しんでもらえるようなパッケージデザインをつくり、エナジードリンクをナナナナ祭で提供しました。そこでは、説明を聞かずとも飲んでみたいというギークな層もいれば、説明次第で飲みたいという層、やっぱり不安で飲みたくない層、といったいろんな感想がありました。「効果効能を明確にしてスポーツドリンクのような安心感を出したほうが良い」という意見もあれば、「SFみたいなミステリアスな雰囲気の方が楽しい」という意見もあったりして、我々のアイデンティティは惑わされました。そこで、あらためて自分たちが大切にしたい想いを考えた結果、常識にとられずに誰でも大好きな研究ができる世界を創るという理念、産官学のお堅い世界に一般市民の観点から切り込んでいくという挑戦と、研究ギークなマッド研究者たちが自分の好きを詰め込んだプロダクトという夢、この3つの観点だと再認識しました。私たちが目指すのは、研究に人生を狂わされた研究ギークな人が喜ぶエナジードリンクをつくることです。

「今後、研究世界に沼れるエナドリ、というテーマで学会で発表予定です。また、今更ながらSNSの運用も開始しました。細胞にエナジードリンクを飲ませるとどうなるかを研究したり、みなさんの手元に届けられるように缶に充填したりしています。このエナジードリンクを飲んで、みんなで研究を楽しめる世界を目指して活躍していきたいと思います。」と田所は話しました。

 

OHITORI SAMA SMILE PROJECT

おひとりさまでも生きやすい社会をつくりたい

登壇者:山下愛香

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/ohitori-sama-smile-project

「OHITORI SAMA SMILE PROJECT」は、渋谷区の飲食店に「おひとりさま歓迎」と書いたステッカーを貼ってもらう活動を通じて、もっとひとりでも気軽にご飯や飲みに行ける、おひとりさまでも生きやすい社会をつくるプロジェクトです。

山下:この3ヶ月の歩みですが、ヒアリングをしていったところ、「1人で飲みに行って誰にも喋りかけられたくない」という需要もあったので、会話も楽しめるお店なのか、ソロっと1人で過ごせるお店なのか、ステッカーで意味がわかるようにしました。ところが、椎間板ヘルニアが悪化し、腰痛で2か月間ほぼ動けない、歩けないというアクシデントに見舞われてしまいました。そこで、動けずともできることをやろうと考え、コーダーさんに手伝ってもらいながら、ポータルサイトをつくりました。エリアやジャンルで検索ができるようになったり、せんべろ、ソロ活女子におすすめのお店、行ってみたい大人バーなどの特集を組んで見られるようにしました。また、前回の発表のときに、参加者の方から、飲食店以外にもボーリング場、キャンプ場など1人で楽しめる場所を追加していったら良いのではないかとアドバイスをいただいたので、そのような展開をしていく予定です。

「腰痛の際に、寝ながらでも動画編集はできたので、スキルがすごく上がりました。今後、YouTubeやTikTokなどで動画を配信していきます。今年いっぱいは渋谷区を中心に活動しますが、来年からは活動を全国に広げます。入院付き添いサービスもスタートさせ、依頼があった県に訪問する、夜はおひとりさまのお店を取材する、ということをやっていきます。」と山下は今後の展望を話しました。

 

Trash Lens

かざして探そう! モノの新たなスタートライン

登壇者:山本虎太郎

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/trash-lens

「Trash Lens」は、モノを手放そうとしている人が、そのモノをスマホで撮影するだけで処分・活用方法を提示するアプリを提供することで、適切な処分や活用法を調べるハードルを引き下げ、より良いモノのスタートラインを選べるようにするプロジェクトです。

山本:私たちはスマホでごみをかざすだけで、捨て方や活用法を提示するスマートフォンのアプリをつくっています。 手放したいモノを撮影するだけで、自治体での捨て方や地域のリサイクルショップなどを提示することによって、手放す人の満足度を最大化させる仕 `組みをつくろうとしています。これをみんなが使えば、すごく環境に良いのでは、と考えていましたが、分別がすぐできるだけだと、興味を持たれずにあまり使われないプロダクトになってしまいました。そんな中、1週間ほど前に、徳島県にある100BANCHが借りている田んぼに草むしりに行きました。田んぼがある場所の隣に上勝町という町があり、そこはリサイクル率が80%とすごく高い数字を誇っているのです。実際にその様子を見ていましたが、住民がごみの捨て方に迷っていると清掃員が駆けつけるのです。リサイクルできるものは分別したり、くるくるショップというリサイクルショップのようなお店に持っていってくれたりするんですね。この役割って、すごく大事だな、「Trash Lens」でやろうとしているのはまさにこれだなと感じました。現在は原点回帰をしているところです。また、先日のナナナナ祭では、ゴミ箱の口が手放すモノの未来の入口になっているという、ちょっと未来のゴミ箱を展示しました。 「生まれ変わる姿を見られるのは新鮮」「捨てるモノに対する認識が変わる」との感想だけでなく、「学校での教育に使えそう」「子供が初めてゴミ分別した」などの予想になかった感想をいただき、気付きがありました。 

「課題はまだまだ多いですが、ナナナナ祭での気付きのように、アプローチをいろいろと考えて、人に使ってもらったり、話を伺ったりしたいです。誰もが意識することなく、より良い資源活用を行える社会を目指して、今後も活動を続けたいと思います。」と山本は話しました。

 

実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。​​

NYACKTAIL https://youtu.be/dFJNyxlbqDo?feature=shared

Qlay https://youtu.be/ZwdggPvMFyE?feature=shared

Hydrogen to x https://youtu.be/xaDSRkkHHoE?feature=shared

MORINOEBI https://youtu.be/mE4UvxVhl1U?feature=shared

DEW https://youtu.be/DVjXlQXQtqs?feature=shared

A cultured energy drink https://youtu.be/niew_Ft8TX8?feature=shared

OHITORISAMA SMILE PROJECT https://youtu.be/cucMe_50lvU?feature=shared

Trash Lens https://youtu.be/Scx_afShsqg?feature=shared

次回の実験報告会は9月25日(月)に開催。ぜひご参加ください!

 

(撮影:鈴木 渉)

 

<次回実験報告会>

「民主主義のDXで、一人ひとりが影響力を発揮できる社会を」100BANCH実験報告会

【こんな方にオススメ】

  • 100BANCHや発表プロジェクトに興味のある方
  • GARAGE Programへの応募を検討されている方

【概要】

日程:9/25(月)

時間:19:00 – 21:30 (開場18:30)

会場:100BANCH 3F

参加費:無料(1ドリンク付き)

参加方法:Peatixでチケットをお申し込みの上、当日100BANCHへお越しください

詳細はこちらをご覧ください:https://100banch.com/events/53281/

  1. TOP
  2. MAGAZINE
  3. 100年先の未来を描く8プロジェクトが登壇 2023年8月 GARAGE Program実験報告会

100BANCH
で挑戦したい人へ

次の100年をつくる、百のプロジェクトを募集します。

これからの100年をつくるU35の若きリーダーのプロジェクトとその社会実験を推進するアクセラレーションプログラムが、GARAGE Programです。月に一度の審査会で採択されたチームは、プロジェクトスペースやイベントスペースを無償で利用可能。各分野のトップランナーたちと共に新たな価値の創造に挑戦してみませんか?

GARAGE Program
GARAGE Program エントリー受付中

6月入居の募集期間

3/26 Tue - 4/22 Mon

100BANCHを応援したい人へ

100BANCHでは同時多発的に様々なプロジェクトがうごめき、未来を模索し、実験を行っています。そんな野心的な若者たちとつながり、応援することで、100年先の未来を一緒につくっていきましょう。

応援方法・関わり方