令和のライフスタイルを定義する 「REIWA Fashion Week」
NOVA
令和のライフスタイルを定義する 「REIWA Fashion Week」
これからの100年をつくる、U35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」。3カ月目と活動期間終了のタイミングで、どのような実験を行ってきたかを発表する実験報告会とメンタートークを実施しています。
2021年10月の実験報告会には、メンタートークにライフイズテック株式会社 代表取締役CEOの水野雄介さんが登壇。プログラミング教育をはじめとする現在の活動やその思いについてのトークを展開。続いて4プロジェクトがそれぞれの活動について成果報告を行いました。
前半はメンターの水野さんが、現在取り組む活動をもとにトークを行いました。
メンターの水野さん
水野さんのプロフィール
1982年、北海道生まれ。慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒、同大学院修了。大学院在学中に、開成高等学校の物理非常勤講師を2年間務める。その後、株式会社ワイキューブを経て、2010年、 ライフイズテック株式会社を設立。14年に、同社がコンピューターサイエンスやICT教育の普及に貢献している組織に与えられる “Google RISE Awards ” に東アジアで初の授賞となるなど世界的な注目を浴びている。「日本のIT界にイチロー並みの人材を送り出す!」を目標に世界を駆け回る日々を送っている。
水野さんがCEOを務めるライフイズテック株式会社は中学生・高校生が参加する国内最大級のIT教育プログラムを運営。iPhoneアプリ、WEB、ゲーム開発などのプログラミングと、デザイン、メディアアート、ミュージック、アニメーションなどのデジタルアートという最新のIT技術を学ぶことによって、中学生・高校生の「創造する力」と「つくる技術」の習得を目指すプログラムを提供しています。
水野:僕らの会社のミッションは中学生・高校生の可能性を最大限に伸ばすことであり、そのための最高の環境やチャンスを提供したいと思い日々取り組んでいます。
水野さんは一通の手紙を紹介します。それはライフイズテックが提供する、プログラミングやデジタルアートを学ぶ短期集中プログラム「キャンプ」に参加した生徒の保護者から届いたものでした。
その生徒は勉強も部活も熱心ではなく、家ではゲームばかりで、保護者は「子どものやる気スイッチをどうすれば押せるか」と悩んでいたそうです。そんななか生徒は昨年夏にライフイズテックと出会いキャンプに参加。その最終日のプレゼンの動画を見た保護者は「どんな子も受け入れられる会場の雰囲気のなかで息子が意気揚々とプレゼンする姿はとても頼もしかった」と感動したそうです。
それまで「夢はない」と話していた生徒は、キャンプを経験して「次のキャンプにも参加する」「ライフイズテックの人になりたい」と語り、その後は毎日少しずつ自ら勉強をするようになったそうです。「家庭ではできないことをキャンプでたくさん学ばせていただいた」と保護者は感謝の言葉をつづりました。
これまでにライフイズテックのキャンプやスクールには52,000人が参加。500人の大学生メンターが在籍し、このうちの3分の1がもともとライフイズテックのキャンプやスクール経験者だといいます。
水野:僕らはプログラミング教育を提供しているけど、その先にある“人生”を届けたいんですね。中高生で夢のない子がいるのだとしたら、それはすごくもったいないこと。その時期って夢が生まれて、まわりには仲間がいて、その夢に向かって一気に没入できるタイミングであり、そういう環境だとグッと成長できる。僕たちは彼らの背中を押すそのひとつの手段としてプログラミング教育を提供しています。
今、教育業界は150年に一度の大変革期であり、教育DX(デジタルトランスフォーメーション)革命期と言われています。新型コロナウイルスの拡大を受け、文部科学省は全国の児童・生徒一人に一台のコンピューターと高速ネットワークを整備する「GIGAスクール構想」を前倒しで進めています。
水野:教育DXのいちばんのポイントは個別最適化であり、一人ひとりの子どもがいかに最適で最もよい教材や環境を提供することです。これまでのいわゆる一人の先生が40人の生徒を教えるようなやり方では、授業の速度は一定で、理解できる子もそうでない子が生まれてしまい、理解できない子は分からないままその教科が苦手になり自己肯定感が下がってしまう。それが教育DXによりさまざまな先生のもと自分の好きなタイミングや場所で、得意なものをできるだけ伸ばすことができる。そういった時代が幕を明けようとしています。
そういった流れのなか、ライフイズテックは「2024年には120万人のイノベーション人材を育てる」という中長期ビジョンを掲げています。
水野:僕たちはITを用いて地域や学校など社会の誰かのために何かを変えられる人をイノベーション人材と呼び、今、全国にいる約600万人の中高生の約20パーセントをそういった人材にしたいと考えています。
昨年、プログラミング教育が小学校で必修化となりました。そして中学校は今年、高校は来年導入され、2025年からはプログラミングが大学入学共通テストの試験科目になります。
水野:プログラミングのテストはおそらく英語の文法みたいな問題が出ると思います。でも、それを答えるためだけの勉強をしていると「文法は分かるけど英語は話せない」みたいなことに陥ってしまう。僕はそれをプログラミング教育で起こしてはいけないと思っています。もちろんテストもできるようにするけれど、それだけじゃなくてそれを使って社会を変えられる子を育てたいんですね。
ライフイズテックは、中高生にプログラミング教育を提供するだけではなく、学校向けに中学校・高校での学習段階に最適な教材も提供。1650もの中学校・高校がこの教材を導入し、30万人以上の教師が活用しています。また地方自治体との取り組みも積極的におこなっています。
水野さんは「プログラミング教育を通じて、今教育で抱えている問題を解決していきたい」とコメントし、2020年代にやるべきKPIとして、子どもの「社会現象が変えられるかもしれない」という指標(内閣府「子ども・若者白書」より)を30パーセントから50パーセントへ、日本の子どもの精神的幸福度(ユニセフ調査報告書により)における最下位グループからの脱却も図りたいと語りました。
メンタートーク中、水野さんが会場でGARAGE Programの成果発表を控える「Stat!」のリーダー・須田隆太朗を壇上に呼ぶ一幕もありました。須田は約10年前にライフイズテックが開催したキャンプの経験者だそうで、そのときの様子を振り返りました。
水野さん(左)と「Stat!」のリーダー・須田隆太朗(右)
須田:僕は中学1年生の終わりにキャンプに参加して、デザインやウェブ、アプリ制作などいろいろな経験しました。特別すごいものを作れたわけではなかったのですが、その過程でメンターの大学生の方に「すごくいいじゃん」と認めてもらえたことがすごくうれしくて、それはすごく印象に残っています。今、僕はプログラミングを通して世界を変えるものをつくっていきという気持ちがあり、その門を最初に開いてくれたのはライフイズテックだったなと本当に思っています。
水野:こうしてライフイズテックでつながった子が僕と同じ起業家の土俵に立つことが非常にうれしいです。須田くんは先ほど言ったイノベーション人材のいちばんいい例だと思うんですけど、若者ながらテクノロジーを使って社会を変えるためにチャレンジをしている。僕たちはこういう子を一人でも多く育てたいという思いで今も取り組んでいます。
最後に、水野さんは「企業の目的は顧客の創造である」という一文を紹介しました。
水野:これは僕がすごく好きな言葉なんです。顧客がいるところで勝負するのではなく、顧客は創造しなければいけない。そのために新しい市場をつくり新しい世界をつくるんだと。その情熱は10年以上変わらず持ち続けているので、100BANCHのみんなと共にそういうチャレンジを今後もしていきたいと思っています。
後半は100BANCHに入居して3カ月や半年の区切りを迎えたプロジェクトメンバーが登壇し、これまでを振り返りました。
■NOVA
登壇者:中村星太
令和のライフスタイルを定義する「REIWA Fashion Week」
プロジェクト詳細:https://100banch.com/NOVA
NOVAはアーティストがひとつの空間に集まって、互いの作品をしたり共同制作したりすることで、新しい療育に挑戦するきっかけを生み出すプロジェクトです。
100BANCHでは集まったアーティストによって「令和のライフスタイル」を体現するイベント「REIWA Fashion Week」を11月に企画。ファッションは単なる服飾に限らずライフスタイルや私たちを取り巻く環境を差すものだと考え、こらから先の令和の時代を想像しながら「アーティストたちが令和のライフスタイルをどのように表現するのか」について実験します。
中村:絵や映像、音楽などその人を体現する表現方法は違うと思います。しかい、そのアーティストたちが掛け合わされることで思いもよらない新しい化学反応が起きると私たちは信じています。その夢を実現する一歩として「REIWA Fashion Week」を開催したいと考えています。
■Stat!
登壇者:須田隆太朗
リアクションが生き生きと伝わるオンライン通話を実現したい
プロジェクト詳細:https://100banch.com/Stat%21
リアクションが伝わりづらいという課題を抱える今のオンライン・コミュニケーションにおいて、遠隔でも相手の存在を生き生きと感じ取れる空間を作り出し、その結果として自由で活発な議論ができる空気感を生み出すことをStat!は目指します。
Stat!はリアクションが生き生きと伝わる遠隔通話ツール「Stat!」を開発。会話で重要な“うなづき”のリアクションスタンプや、会話の量の可視化などが導入され、30人ほどが体験。「リアクションが自動的に表現してくれるのが便利で面白い」などの感想をもとに、楽しく雑談できる場をつくれるのではないかと考えました。
須田:次のステップとして私たちは、「Stat!」のベースをもとに、相手のリアクションが自然とわかる伝わりを生かしたオンライン雑談空間の開発を進めています。100BANCHを通して得たいろいろな見知や経験をもとに、さらに活動を広げていきたいと思っています。
■Playfool
登壇者:Coppen Saki
あそびを通して大人の創造性を解放したい
プロジェクト詳細:https://100banch.com/Playfool
Playfoolは大人の創造性を刺激すべく、YouTubeを通して、既存の遊具の創造の幅を広げるような工夫を紹介するプロジェクト。100BANCHの活動期間中に制作したレゴと紙を組み合わせることで遊びを広げるYouTube動画が380万回再生を記録するなど、注目度の高いコンテンツとしてさまざまな人が視聴しています。
Saki:100BANCHでは木の幹を顔料として使ったクレヨンの製品化を開発しました。木の幹は茶色と思う人が多いかと思うのですが、実際は青い木や黄色い木があったりして実はカラフルで、その感動を伝えるプロダクトです。今年のdezeen Awardsの人気投票で1位になることができました。来年の春くらいに発売予定です。この半年間はいろいろな活動の準備期間にもなったので、来年はさらにPlayfoolでの可能性を広げていきたいと思います。
■iKasa
登壇者:丸川照司
傘をシェアする新しい時代を一緒に創りませんか?
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/13854/
iKasaは、好きな時に借りられて、どこでも返すことが出来る日本初の傘のシェアリングサービス「アイカサ」を展開するプロジェクト。2019年にGARAGE Programに入居。「使い捨ての傘を0にすること」をミッションに、雨の日が快適でハッピーになる未来を描き活動を続けています。
現在は全国328駅にアイカサを設置し、最近では山手線の全駅で利用できるようになりました。またサービス開始から会員登録者を増やし、現在は約20万人を超えています。
丸川:今、新しいチャレンジをしたいと思っています。そのひとつはアイカサでカーボンニュートラルを実現すること。ビニール傘自体の消費をなくすことはもちろん、アイカサ自体が温室効果ガスの排出と吸収をゼロにできるようにしたいと考えています。もうひとつが、一都三県の全駅でのアイカサ設置です。1日10万人以上の人の雨の日を快適にできるようインフラを生み出したいと思っています。
成果報告が終わり、水野さんは「登壇した全てのプロジェクトが社会をよりよくする方向にいっているなと思いますし、非常にオリジナリティーもあるので、100BANCHが一人ひとりの個性を尊重するコミュニティーになっていると感じました。これからも志し高く、さらにチャレンジしていきましょう」とエールを送りました。
100年先の未来を描く8プロジェクトがピッチ!
11月実験報告会&メンタートーク:石川善樹(予防医学研究者、医学博士)
日時:2021年11月25日(木) 19:00〜21:00
無料 定員100名
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※ZOOMウェビナーでの開催になります。
Peatixの配信観覧チケット(無料)に申し込みをいただいた方に配信URLをお知らせします。
http://ptix.at/WpkLhD
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『実験報告会』は100BANCHの3ヶ月間のアクセラレーションプログラムGARAGE Programを終えたプロジェクトの活動ピッチの場です。
また毎回100BANCHメンター陣から1人お呼びし、メンタートークもお送りいたします!
今回のゲストは予防医学研究者の石川善樹さんです!
【こんな方にオススメ】
・100BANCHや発表プロジェクトに興味のある方
・GARAGE Programへの応募を検討されている方
【概要】
日程:11/25(木)
時間:19:00〜21:00
参加費:無料
参加方法:Peatixの配信観覧チケット(無料)に 申し込みをいただいた方に配信URLをお知らせします。
【タイムテーブル】
19:00〜19:15:OPENNING/ 100BANCH紹介
19:15〜20:00:メンタートーク
・ 石川善樹(予防医学研究者、博士(医学))
20:00〜20:45:成果報告ピッチ&講評
・Eraflew:生まれつきバンディキャップを患ったことによる「やりたくてもできない」を0にする
・COACH FOR HSP:「繊細さん」という才能持つ若者は、これからの日本社会を引っ張るリーダーだ。
・creaB:対話により「価値観の違い」を受け止めながら、人と人とで共創できる社会を作りたい
・MUJO:渋谷で死と出会う
・Be in your shoes -異なるあなたとつながる方法-:Be in your shoesで違う世界を見る!
・Urban music fes:ライブでも視聴でもない、都市で行う新たな音楽体験をつくりたい
・uni:映画とファンをつなぐ、新しい出会い
・University of Universe:#空きコマ月 宇宙はどこも、わたしの大学だ。
20:45〜21:00:質疑応答/CLOSING
【メンター情報】
石川善樹
予防医学研究者、博士(医学)
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。(株)Campus for H共同創業者 「人がよりよく生きる(Well-being)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。 専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。