人類共通の”食”を通じ、誰もが夢を語らう場を作り、日本に限らず世界から夢を集める
polca Cafeteria
人類共通の”食”を通じ、誰もが夢を語らう場を作り、日本に限らず世界から夢を集める
2018年11月28日、100BANCH GARAGE Program応募者見学説明会と併せて、プロジェクトの実験報告会が開催されました。
あらためて、GARAGE Programとは———
これからの100年先の未来をより豊かでおもしろい方向へと動かすために、常識にとらわれない35歳未満の野心的な若者リーダーのプロジェクトを支援するプログラム。審査基準は、各界のトップランナーである総勢23名のメンター陣が1人でも“これからの100年をおもしろくするプロジェクト“として支援したいと思うか否か”。
毎月公募を行い、審査を通過したプロジェクトは活動スペースやイベントスペースの提供やトップランナーによるメンタリング、新たな活動のきっかけにつながる多様なネットワークなどが提供され、未来へ向けた実験を展開していきます。
これまでに89ものプロジェクトが採択されているなか、今回は11月に卒業を迎えた12プロジェクトの実験報告をレポートします。
■polca cafeteria リーダー:前田 塁
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/polca-cafeteria
食卓を囲むことで会話が生まれ、お互いが刺激になりまた仲間が増える。polca cafeteriaはそんな同じ釜の飯を食う “0円”食堂「polca食堂」を通して、夢に向かって頑張っている人を応援するプロジェクト。
polcaというフレンドファンディングサービスを使い、運営資金を集め活動。2017年10月28日から現在まで全14回の“0円”食堂を開催し、これまでに2,000人以上が参加しました。
100BANCHでの半年間の活動を通して、「クラウドファンディングの支援者に明確なリターンが作れていない」「参加者に継続性がない」という2つの課題があがりました。この課題を解決するため、今後は「コミュニティ化」「継続開催」「自治体との取り組み」を目標に掲げ活動を進めていきます。
最後に前田は、少し先の未来について以下のように話します。
「衣食住の中で命に関わるのは『食』だと考えています。そのため、食の安心と安全が確保できれば誰でも夢に向かって頑張れる。僕は未来に向けて『食のベーシックインカム』を目指していきたいと思います」
polca食堂がきっかとなり、夢を実現する参加者が次々と現れる日も近いかもしれません。
■mirai table meeting 蓮池陽子
プロジェクト詳細:https://100banch.com/mirai-table-meeting
mirai table meeting(未来食卓会議)は、「食べる」ことにまつわる対話を重ねることによって、日本各地のすばらしい食文化と、それらを有機的に取り巻く歴史・技・後継者を100年後の日本に生きる後継者へつないでいく提案をおこなっています。
9月に「H3 Food Design」としてプロジェクトを法人化。公式サイトとフェイスブックで情報発信をするほか、ミーディングも開催。「世界から見る未来食材」と題し、蕎麦や豆腐を題材に参加者と「食べる」ことの本質やこれの食卓について意見を交わしました。
これからの活動について、蓮池はこう話します。
「今後は『海』をテーマに活動して、有名なシェフというよりは、想いを持ったシェフを海外からお招きして、イベントを開催する予定です」
食の未来に興味のある方は、ぜひ未来食卓会議のホームページをチェックしてみてください。
■TeaRoom リーダー:岩本 涼
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/11063/
TeaRoomは変化の激しいこの時代に普遍的な価値が介在する茶室をインストールすることで、茶の湯文化をもう100年後にも残る文化として提案しています。
茶と禅の精神は一体であることを意味する「茶禅一味」をコンセプトに、和の空間の中で、ただひたすら自分を見つめ直す時間を提供するひとり用の立ち茶室「chaspo」を開発しています。
今後はchaspoをカスタマイズ可能にしつつ、五感を刺激するコンテンツを強化したいと考えています。加えてさまざまなアートイベントへの出店などを通して茶の世界観を広げ、近い将来には海外のカンファレンスにも出店したいと考えています。
100BANCHで実際に「chaspo」を体験できます。忙しい毎日から離れ、自分を見つめ直す時間を作ってみてはいかがでしょうか。
■Cricket ramen リーダー:篠原祐太
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/8771/
Cricket ramen世界初のコオロギラーメン専門店を開業し、昆虫食に対する先入観の打破を目指すプロジェクト。
4歳で虫を食べ始め、これまでに日本だけではなく世界各国の昆虫食に挑戦してきた篠原。世間一般にある虫を食べることへの抵抗感を払拭し、昆虫食の魅力を伝えるための一歩として、コオロギラーメンを開発しました。
100BANCHの活動を終え、今後は世界初の「昆虫料理専門店」を立ちあげます。ここは食材としての昆虫の可能性を示すと共に、これまでにない食体験を世の中に提案していくレストランです。昼はコオロギラーメンを、夜は虫のコース料理を提供する予定です。
篠原はこのプロジェクトの未来についてこう語ります。
「ゆくゆくはカップラーメンの具にコオロギが入るくらい、昆虫食が当たり前の未来を目指してこれからも活動を続けていきます」
2013年にはFAO(国際連合食糧農業機関)が昆虫食を薦める報告書を発表し、ますます注目を集める昆虫食。ぜひCricket ramenの活動に注目しつつ、昆虫食にチャレンジしてみてください。
■Ostrich Antibodies Revolution リーダー:井上雄輔
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/11134/
Ostrich Antibodies Revolutionはダチョウ抗体入りフードを提供することで誰もが気軽・安全・安価に健康管理をできる社会を目指すプロジェクトです。
「食べて病む時代から食べて治す時代へ」というコンセプトを掲げ、真に健康に良いものを人々に届けたいと考えたOstrich Antibodies Revolutionは、300万年もの歳月で培われたダチョウの免疫力が人を救うのではないかと、その抗体に注目しました。
ダチョウは多くの抗原に対する抗体の作成ができ、圧倒的低コストで量産も可能なため日常のシーンに用いることができます。加えて、卵黄抽出物なので食品添加物として扱うことも可能です。
ダチョウ抗体の応用例として「消化酵素阻害による栄養素や血糖値のコントロール」や「腸内フローラのコントロール」、「抗体を空気中に散布し、ウイルスや花粉に対処する」などがあげられることから、現在、ダチョウの抗体を使用したインフルエンザ予防のグミと花粉症緩和のアメを開発中です。
この先、ダチョウの抗体を用いて健康を管理する時代がくるかもしれません。その第一歩として、ぜひOstrich Antibodies Revolutionが開発する製品に注目してみてください!
■Angya+ リーダー:松本光貴
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/11144/
Angya+はテイクアウトが主とされていた従来のフードトラックを、最大9人収容できる設計にすることで、偶発的なコミュニティが生まれる場としての価値を提供するプロジェクトです。
8月から9月はフードトラックを軽トラックで制作するほか、全国からコーヒーやリンゴなどの食材調達を進めました。10月から11月にかけては、イベントでのフード販売や、保健所許可取得に向けての準備などをおこないました。
今後は「朝適応型のコミュニティスペースに仕上げる」「不動産土地を用いて、ベース地を築く」「東京近郊のモバイルハウスと連携を取り、コミュニティをハックする」という3項目を掲げ活動を継続していきます。
■Personalized tea experience with teplo リーダー:河野辺和典
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/11142/
Personalized tea experience with teploは近未来に訪れるであろう、個人の好みや体調に合わせて材料や温度までもが最適化された食べ物や飲み物を楽しむ時代「食のパーソナライゼーションの時代」に向けて、お茶とIoTでこの時代の変化をリードしたいと考えています。
100BANCHでは、茶葉の美味しさを最大限に引き出すスマートボトル「Teplo」の2019年モデルの開発を進めてきました。
このモデルは、スマートボトルに茶葉をセットし、アプリで茶葉を選択したのち、室温や飲む人の脈拍などをセンサーで計測。お茶の抽出環境を整えることにより個々にカスタマイズしたお茶を提供できます。
課題として、各種認証が取れていないプロトタイプを店舗で導入することに壁があることから、今後は実験を用いたB2Bへの試験導入をおこなう予定です。また、2019年はクラウドファンディングを開始し、量産も視野に活動を進めていきます。
IoTでおこなう近未来のお茶体験にぜひ注目してみてください。そこには新たな食の発見があるはずです。
■180mg/dl リーダー:丸山亜由美
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/11175/
180mg/dlは糖尿病をテーマに、さまざまな分野とのコラボレーションによって新しいコミュニケーション・デザインの創造を目指すプロジェクトです。
100BANCHではイベントで血糖値が測れる簡易診断を実施するとともに、「今日何を食べたか」のアンケートを通じて、糖尿病リスクを気軽に知ることができる機会を提供。また、「糖分が高い食べ物は何か」が可視化できるアート作品の制作・展示もおこないました。
現在は8人に1人が糖尿病と言われる妊婦のために、人前でも使えるペーパーベースの血糖測定デバイスを考案中です。
最後に丸山は、この血糖測定デバイスの活用からこのような未来を想像します。
「糖尿病の人とそうでない人のコミュニケーションがいちばん大事だと考えています。しかし、病気の人はその状態をなかなか他人には言えず、苦しんでいる状況があります。でも、この血糖測定デバイスを使って自分の症状を人前で共有できたら、その体験がまわりの人にも伝わり、それがゆくゆくは糖尿病予防につながると思います」
180mg/dlの血糖測定デバイスによって、糖尿病の予防や糖尿病患者が生きやすくなる。そんな未来を実現をするために活躍するこのプロジェクトに今後も期待してください。
■Food Re-Valuation リーダー:金子隆耶さん
PJ詳細:https://100banch.com/projects/11202/
Food Re-Valuationは食品業界の商習慣やサプライチェーンにおける規格やルールによって生まれてしまうフードロス食材の価値を再評価することにより、それらを活用した事例を作り、食に関わるプレイヤーが前向きにこの問題を捉え、積極的に取り組んでいく起点をつくろうと活動を進めています。
フードロスの取り組みをボランティアではなくビジネスとして捉え、フードロスに取り組みたくなるようなクリエイティブなモデルケースとして、100BANCHでは「ベジぐる」を立ち上げました。
ベジぐるでは生産現場で廃棄されたニンジンやシイタケを乾燥させ、それらで作ったスープを提供しています。一度乾燥させる理由は輸送コストが下げられ、うま味成分が増すというメリットがあるためです。これらはオフィス向けに提供するほか、フードロスのキッチンカーで販売をしています。
現在は「グルテンフリー」や「砂糖不使用」など、健康を意識したフードロスの菓子類を使用したオフィス向け置き菓子の展開に向けて取り組んでいます。
今後は「フードロスの解決に取り組む先進都市街・渋谷」をつくるためのコンソーシアム「Reboot Food project」を立ち上げ、ソーシャルデザインとしてフードロスの問題に取り組んでいきます。
■TSUKUROOM リーダー:河野正幸
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/11158/
TSUKUROOMは「模様替えをする前に役立つ」インテリアコーディネートの実例動画を発信していくプロジェクトです。
一室リフォームするだけで100万円ほどかかる費用を、写真に写る範囲だけに限定することで5万〜10万円に抑え、手軽に模様替えができるサービスをつくりたいと考え活動しています。
また、ゆくゆくはインスタ映えする空間を投稿するインフルエンサーの感度を活用し、より再現性のある空間をパッケージにして商品化する「インフルエンサーマーケティング事業」を目指しています。
10月に開催されたDesignartでは、100BANCHに横1.5m・奥行き2mの部屋を用意し、実例動画の素材を作成するとともに、空間のパッケージ化もおこないました。
TSUKUROOMは今後もインテリアコーディネートの実例動画配信「つくるーむ」を軸に継続可能な事業を進めていきます。
部屋の模様替えを検討している方は、ぜひ「つくるーむ」のホームページをご覧ください。思いもよらないアイデアが見つかるかもしれません。
■Brain hack session リーダー:天野真
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/8888/
Brain hack sessionは神経科学の観点から、新しい音楽や表現方法の創出を目指すプロジェクトです。
100BANCHでは人間の五感を外部からハックすることによって、演奏自体を変化させ、新しい表現や即興演奏に対する構造理解を生みだす活動をおこなっています。
また、追加で活動延長した3カ月では、Designartで音楽と音の境界線を考えさせるような作品『Day Life』を発表。「音を増幅させて聴こえさせたり、ループさせて聴こえさせたりすることによって、音楽として認識することができるのではないか」という仮説をもとに制作しました。
今後の展望について天野はこう話します。
「今後は『オーケストラの演奏が脳波や身体運動を用いたものだけでできないか』など、直接、脳波や身体運動に対してアプローチをする実験を考えています。また、音楽表現に対するインターフェースの開発も視野に取り組んでいきます」
■Materia リーダー:戸塚 佑太
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/11846/MATERIA
Materiaはクリエイターの休憩のためだけの、創作の心地良い息継ぎのようなコーヒーを届けるプロジェクトです。
仕事に寄り添い、集中や想像の手助けをしてくれるコーヒーとして、ベトナム産・エチオピア産・ウガンダ産のコーヒー豆をベースに、リラックスや集中を助けるイチョウやゴツコーラ・ベルボラのハーブを10パーセント配合したティーバッグ式のブレンドコーヒーを開発しました。
これからはウェブサイトの開発をおこないつつ、2月にはウガンダに渡航し、直接コーヒー農家と今後の取り組みについて協議する予定です。
最後に戸塚は以下のようにコメントしました。
「Materiaは何か素敵なものを生みだしている人の手助けになれるようなコーヒーを届けたいと思っています」
あなたの仕事場でMateriaのコーヒーが味わえる日も近づいています。ぜひ今後の活動も注目してみてください。
撮影|河野心希
さまざまな分野から飛び出す実験報告に、参加者は大きな感心を寄せていました。プロジェクトの実験報告が終わると、参加者は2FのGARAGEを見学したり、事務局メンバーにGARAGE Program応募の質問をしたり、それぞれが思い思いに100BANCHの取り組みを知る時間となりました。
次回は【GARAGE Program応募者向け見学説明会&プロジェクト成果報告会】を12月26日(水)に開催!
各プロジェクトの活動の様子を知りたい方や、GARAGE Programへの応募を考えている方はぜひお越しください!