- メンバーズボイス
圧倒的カオスの海に、身を投じたい——2022年 今年の抱負!
もし、ヒトの鼓動が光になったら。
KODOU は、ヒトの鼓動のリズムを光に変換し、10人から数万人という単位の光を1つの場に集め、その場だけの表現作品を作ります。そして、その体験を通じて私たちが何を感じ、認識するのかを探る、参加型のアート表現であり実験プロジェクトです。私たちは日本の東京に拠点をおきながら、日本中、世界中でこの実験を行っていきます。
始めは、「時間」をテーマにした作品を作っていました。その時から、「鼓動」に着目して、人によって時間は違うよね、ということで、鼓動と同期して動く、コドウ時計という作品を作っていました。
その中で、東南アジアには、数万匹のホタルの光が、完全に同期してしまう場所があることを知りました。この映像をYOUTUBE で見たときに、あまりにも美しくて、あまりにも神秘的で、どこかファンタジーを思わせる景色でした。
「もし、人間の鼓動が光になったとしたら、その光って同期するのかな…。もし同期しちゃったら人間は何を感じちゃうんだろう。」そんな問いが浮かび上がり、全員の光が同期してしまう景色を想像してしまったことが、創作のきっかけです。
※ 参考リンク:パプアニューギニアのホタルの木
https://www.youtube.com/watch?v=Ls6jJnJ2CuQ
人はそれぞれ性別、年齢、思想が全く同じであることはあり得ません。その中でも、”一体感”という言葉があるように全体性を感じてしまう体験は誰しもが一度はあると思います。人が生きるという要素を究極に還元するとそれは、心臓が動く、すなわち”鼓動がある”ということなのではないでしょうか。
“ホタルの光が同期するように、ヒトの鼓動が同期する瞬間があるのではないのか。”
もし、数人、数十人、数百人単位でリズムが合う瞬間を目撃してしまったら…。ヒトとの関係性に想いをはせざるをえず、自分とは誰か、人間とは誰か、そんな問いが体験したヒトの頭の中にうかび、自分と他者との境界がゆらいでしまうのではないか。
脈拍センサで鼓動を光に可視化する鼓動デバイスを活用し、100人が遮光空間に集まり、鼓動の光だけがそこに存在してしまったとき、
その光はどんなリズムを刻んでしまうのか、万が一にもリズムが合ってしまう(同期)瞬間があるのか、そうなったときにヒトは何を感じてしまうのか、ヒトが最も還元された状態の表現手段である鼓動を材料として実験していく。
1. 100人規模のインスタレーションの実施
2. 鼓動デバイスのブラッシュアップ
(小型化、量産化、反応アップ)
3. WEBローンチ
3年スパン位で、鼓動デバイスの対象を人間から、動物へ、動物から植物や、風や水の流れに拡張していく。この世界の様々な生きとし生けるものたちのリズムが、光に可視化される状況にする。
その中で、無人島を貸し切って、その島にある光はすべて(広義の)鼓動の光だけ、という空間にする。光を見たときに、それが人間なのか、動物なのか、植物なのか、風なのかが分からない。そんな空間を作っていきたい。その時、自分とは何者か。人間とは何か。そんな自分と他者。人間と生き物。生き物と植物の境界が揺らいでしまうような体験を作っていきたい。
夢は、ダライ・ラマに体験してもらうこと。
株式会社 biotope system designer松島 宏佑
宮城県白石市出身。物理学科卒業後、島根県にある人口 2400人の島、海士町に移住。田舎ベンチャー企業にて新規事業開発に従事した後、東日本大震災で地元の宮城へ。コミュニティー支援や人材育成事業を行うNPOを設立。その後、東京の組織コンサルティングファームで活動し、宮城と東京の二点地居住を経て、戦略デザインファーム biotope に参画。表の顔として企業向けのビジョンデザイン支援を行いつつ、裏の顔として詩を書き続ける日々。
Technologist雪野瞭治
博士(工学)。高専にて福祉工学やアダプタブルデザインを基にした研究やものづくりに取り組む。大学では半導体微細加工技術をベースとした医療診断技術や光学フィルタの研究を行う。博士課程在学中に論文発表のほか特許を出願。現在は戦略デザインファームに勤務中。Technology、Science、Artの領域が重なり合う世界の可能性を探求中。
Product Designer
高山直人
美術大学で工業デザインを学んだ後、デザインの在り方や領域横断を模索するため、文具メーカー、戦略コンサルファームや大学研究室などで働きつつKODOUプロジェクトに携わる。現在の興味は宇宙と仏教。
パナソニック株式会社 IP部門ESL研究所所長、京都大学 特命教授、(公財)京都高度技術研究所 フェロー大嶋 光昭
パナソニックの家電・デバイス・B2B事業分野における基本特許の発明を行い、この技術の開発と事業化を数多く成功させている多分野型発明家。シリアルイノベーターと称されている。有効な登録特許の件数は海外を含めると1,300件。発明した技術を事業化した事業の累積営業利益は3,000億円。現在も研究開発・事業化活動を続けるとともに、社内で大嶋塾と呼ばれる発明塾を主催し、若手研究者を育成するとともに、大学でも後進の指導にあたる。本人が発明し事業化した技術:ジャイロセンサ、手振れ補正、デジタルTV放送方式(日米欧規格)、BCA(ダビング10に採用)、海賊盤防止技術(任天堂Wiiに採用)、光IDなど10件。
受章・受賞:2004年紫綬褒章受章、2003年恩賜発明賞、2007年大河内記念生産賞、2008年経済産業大臣発明賞、2012年市村産業賞貢献賞など。
著書:大嶋光昭「「ひらめき力」の育て方」(亜紀書房, 2010)