知的障害者のファッションを改革したい

SAFEID

プロジェクト概要

私たちは、知的障害者のための服をつくることで、彼らの生活の選択肢広げることを目指すプロジェクトです。
知的障害者の多くは、生活の選択肢が少ないため、妥協しながら生きています。しかし、その痛みに誰も気づいていません。だからこそ、ファッションを切り口に彼らの生活の選択肢を広げていきます。身体的なハンデと知的なハンデ両方に働きかける服を開発し、「普通に服を買って、普通にオシャレをして、普通にお出かけする」を叶えます。自ら選ぶという成功体験を通して、知的障害者と一般社会をつなげ、本質的なインクルーシブな社会を体現していきます。そのために、知的障害者のファッション改革を掲げ、療育や当事者家族の支援を取り入れた新たなアパレルを展開していきます。

  • 食ファッション
  • 10自然(じねん)の生き方が追求され、健康の多様なあり方が広がる
  • #ダイバーシティ&インクルージョン
  • #おしゃれ
  • #知的障害
  • #障害
  • #デザイン
  • #アパレル
  • #73期

動機

私の弟は知的障害を抱えていて、母は福祉系の会社で働いています。そこから、知的障害者の服装に関わるプロジェクトを思いつきました。
私は、昔から服が好きだったため、当たり前に自分で服を選んでいました。しかし弟は、毎日母が選んだ服を着ており、私は違和感を抱いていました。実は、弟をはじめとする知的障害者は、猫背や低身長、なで肩、感覚過敏などの身体的特徴と、服の前後・表裏を正しく判断することができない、上下柄物を選んでしまい自分でコーデを決めることができない、などの知的の遅れが原因で、例え興味があっても自らオシャレをする機会がなかったのです。母が弟の服を選ぶとき、デザイン性よりも、サイズ感や着用の簡単さ、素材を優先していました。私は、サイズや素材が多少気に入らなくても、デザインを決め手に購入していたため、正反対な選び方をしていることに驚きました。
そこで、現存する障害者ファッションについて調べてみたところ、ほとんどが身体障害者を対象としており、啓発活動のためファッションショーでの着用を目的としている服ばかりでした。ライフスタイルに合った、普段使いできる商品は見つからなかったのです。
そして、私が「イケてる」「オシャレ」「かっこいい」と思う人は健常者ばかりで、障害者に憧れるという価値観が存在してもいいのではないかと考えるようになりました。これをきっかけに、知的障害者向けの服を展開するブランドを立ち上げたいと思い、株式会社On-Coの協力でミシンや布を集め、小物として使えるよだれ掛けを自主制作し始めました。その頃から、本格的にアパレルを展開したいという思いが大きくなり、新たな知的障害のファッションの形を追求しています。

仮説

弟のほかにも、機能性を優先してオシャレを妥協している知的障害を持つ方が多くいると仮定できます。当事者や支援者50名にインタビューをしたところ、支援者が服を選んでいる家庭は63.7%にものぼりました。
親が服を選ぶ工程は5つに分けられます。まず、サイズアウトして着られない服を探し、買い物に出かける。次に、サイズや気に入りそうな素材があるか、ボタンや紐など1人で着づらいデザインではないかを確認し、その中で、子供が好きそうなものを選ぶ。家に帰って子どもが気に入る素材かどうか、サイズ感はどうか確認する。そして、必要に応じて、着やすいように服をリメイクする。服を選ぶという工程だけで、大変な時間と労力がかかっています。
また、SAFEIDの市場規模を計算したところ、全国の知的障害者は108.2万人、支援者と同居している知的障害者は80万人、世帯年収480万円以上の家に住む知的障害者は2.7万人であることがわかりました。
2.7万人いる知的障害者の支援者をターゲットに商品を販売しようと考えています。まずは生活に余裕がある家庭をターゲットとし、新しい服の選び方を体験してもらってSAFEIDの活動を広げ、低所得の家庭にも商品を届けていきたいです。

実験

8月中に、デザイナーや服飾関係者、セラピストなどの福祉関係者といった事業に加わってくれる仲間を探し、本格的にプロトタイプの制作を始める予定です。
9月には、付け襟のような小物として使えるよだれ掛けとタンクトップ、カーディガンのセットのプロトタイプを制作し、10月からクラウドファンディングを行います。リターンとしてそれらを配布し、また、知的障害者が集まるイベントや施設に配って意見をもらい、改良していきます。
よだれ掛けの特徴は、大人になって着けていても違和感のない小物のようなデザインで、食べこぼしやよだれが垂れても染みない素材を使い、拭き取ればすぐに汚れが取れる構造を考えています。表と裏、前と後ろがわかりやすいデザインにし、当事者一人でも簡単に着ることができるデザインにします。
タンクトップとカーディガンのセットは、デコルテが見える女性らしい服や少しデザイン性のある、ボディーラインの見える服を着たいという当事者のニーズに答え、お腹や腕、口の下といった汚れる部分を汚れの目立つ部分を撥水素材にし、なで肩や猫背でもカーディガンが落ちないデザインにします。またリバーシブルで着用できるようにし、前と後ろどちら側で着ても成り立つデザインにします。
この二つを10月までに完成させ、その後ポップアップイベントを開催し、ワークショップを当事者と支援者向けに開催したいです。セラピストを交え、療育的な観点から、当事者自らが服を選ぶ体験をしてもらいます。服を買いに行くという日常的な支援者の負担を、療育の一部とすることで新たな価値を生み出します。

目標

いま、障害を個性として受け入れようという風潮があります。もちろんそれは障害者の社会参画において必要なことだと思います。しかし、弟をはじめ、障害をもつ方々は、本当に障害を個性として受け入れることを望んでいるのでしょうか。障害者や支援者の誰しもが、普通の生活をしたいと思ったことがあると思います。ある日弟が、「僕は普通じゃないから」と呟いていました。普通の環境で、普通の学校に行き、普通に友達ができて、普通に遊んで、普通に仕事をしたい。そんな思いを抱いたことがあるはずです。
だからこそ、まずは、普通に買い物に行き、普通にオシャレな服をまとって、おでかけをする――これが日常的に体験できる環境をつくりたいです。そのために、知的障害者のライフスタイルに合った、服や小物を製作して販売し、療育の一環として自ら服を選択するワークショップを開催します。機能性を優先して妥協することなく普通におしゃれができるよう、服を選ぶという行為を通して、親の負担やストレスを軽減するだけでなく、身体的なハンデと知的のハンデ両方に働きかける新しい支援を確立していきたいです。そして、少しでも多くの知的障害者やその支援者の生活の選択肢を広げ、彼らが自ら社会に溶け込むきっかけを作り出したいです。

未来

生まれる子どもに障害があると知った時、当たり前の選択肢として受け入れられる未来をつくりたいです。現在、知的障害者の数は年々増えています。障害への知識が増えたことや、虐待、育児放棄といった家庭環境による二次障害などが原因と考えられ、小中学校の普通級に通う生徒の8.8%が何らかの知的障害を抱えていると言われています。100年後、さらに知的障害者の数は増えるでしょう。
私は、知的障害者と交流する機会に恵まれており、魅力的な人にたくさん出会いました。話している最中、時間を忘れるほど楽しかった記憶があります。しかし、イベントや弟の関係で何度も会う知り合いはいますが、友達と言えるほど仲良くしている人は一人もいません。これは、私と相手の心の中で、健常者と障害者を線引きをしている証拠だと思います。弟にも、同じ部活動でよく話す普通級の同級生はいたそうですが、約束して遊びに行くほど仲のいい健常の友達はいません。おそらく、潜在的に健常者と障害者は区別されており、障害者は仲良くなる対象ではなく、受け入れる対象であるという認識が深く根付いています。
いざ私が母親になって、知的障害を持つ子どもが生まれてきたとしたら、やはり社会の目を気にしたり、教育上の不安を感じたり、低賃金であることなどの就労支援の現状から、将来を心配し、素直に喜ぶことができないと思います。
服という観点から生活の選択肢を広げ、健常者の障害者に対する認識と障害者の実態をつなぐ役割をすることで、当事者や支援者が社会で生きていくためのリスクを減らし、100年後には障害のある人も平等に活躍できる機会のある、本質的なインクルーシブ社会を実現したいです。

プロジェクトリーダーへ一問一答

  1. あなたはどんな風に育ちましたか?
    音楽と服、フェスが大好きな家族で育ちました!中学生の頃からフジロックに連れて行かれていました。知的障害を持つ弟も容赦なくフェスに連れて行く家族です。フェスやライブに来ているお姉さんがオシャレで、憧れていて、私もファッションに興味を持ちました。それが、知的障害とファッションというプロジェクトにつながっています。
  2. 渋谷の街のエピソード
    最近は中華料理の兆楽によく行きます。
  3. メンバーたちの意外な一面
    やる気と行動力はありますが、ところどころ抜けています。
  4. 意気込みをお願いします!
    3カ月間で商品を作り、ポップアップストアを開くところまで達成します!

プロジェクトメンバー

  • プロジェクトリーダー加藤海凪

    2004年 愛知県生まれ、弟が知的障害を抱えており、母が児童発達支援教室で働いている。幼い頃から、知的障害を持つこどもと関わり、障がいがあることによって、生活する上で、小さな困りごとがたくさんあるが、それを周りの人も本人も気づいていないことに違和感を持つようになる。高校生起業家を支援するスタートアップユースキャンプやメイカーズユニバーシティに参加し、ファッションを通して知的障害者の支援を行うことに興味を持ち、活動を始める。現在の福祉のイメージを改革し、売る過程にも価値を与えた新しいアパレルブランドを作っていきたい。

メンター

  • 作家乙武 洋匡

    1976 年生まれ、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒。大学在学中に出版された『五体不満足』が 600 万部を超すベストセラーに。 卒業後はスポーツライターとして活動。その後、小学校教諭、東京都教育委員などを歴任。地域に根差した子育てを目指す「まちの保育園」の経営に参画。2018年からは義足プロジェクトに取り組み、国立競技場で117mの歩行を達成。2022年、参院選(東京選挙区)に挑戦するも落選。

    乙武 洋匡さんのページを見る

プロジェクトの歩み

  1. 2023/8/1

    入居開始

  2. ロスフラワーの活用やビーガン向け食品表示アプリ、知的障害者のファッション改革などGARAGE Program第73期の3プロジェクトが100BANCHに入居

  3. 「文藝と祭礼の力で “そうぞう(想像と創造)”機会を拡張する」100BANCH実験報告会

  4. 100年先の未来を描く6プロジェクトが登壇 2023年10月 GARAGE Program実験報告会

  5. 「Z世代の視点で、落語文化を未来へつなぐ」100BANCH実験報告会

  6. 多くの出会いと共に、場とモノを作る——2024年 今年の抱負!

  7. 100年先の未来を描く6プロジェクトが登壇 2024年1月 GARAGE Program実験報告会

  8. 「異なる人々をつなぐ接点の発明で、新しい社会の見方をつくる」100BANCH実験報告会【手話通訳付き】

  9. 100年先の未来を描く5プロジェクトが登壇 2024年4月 GARAGE Program実験報告会

  10. ステイン —汚れを楽しむファッション

  11. 100年先の未来を描く3プロジェクトが登壇 2024年5月 GARAGE Program実験報告会

  12. 100BANCHの縁と縁起を感じきる──ナナナナ祭 2024ブラッシュアップ合宿@大阪

  13. 100年先の未来を描く3プロジェクトが登壇 2024年6月 GARAGE Program実験報告会

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