
- 100BANCHプレゼンツ
2025年8月|GARAGE Program 応募相談会
100BANCH 3F
19:00~21:30
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循環型スニーカーブランドを通じて、獣害問題や染織産業の抱える課題の解決に挑む
私たちは獣害と伝統染織業が抱える課題の解決を目指すプロジェクトです。
近年深刻化する野生動物による農作物被害と、藍染や黒染などの伝統染織技術の衰退という、自然と文化の二重の地域課題に対し、循環型スニーカーという「経済的な出口」を創出することでその解決を目指します。駆除された鹿革などの未利用資源を活用し、伝統染織技術と組み合わせることで、環境負荷を抑えつつ地域産業の再生を図り、経済・環境・文化が循環する持続可能な仕組みの実現を目指しています。
21歳で上京し、マーケティングやブランディングの業務に従事。中小から大手企業まで、幅広い業種のクライアントワークに携わる中で、都市生活がもたらす即物的な消費と大量廃棄の現実を目の当たりにする。その流れに自らも加担していることに、次第に違和感を抱くようになった。
そんな折、ジビエ料理専門店や獣害駆除に携わる猟師、台東区の伝統工芸職人と出会う。彼らとの対話を通して、駆除された鹿や猪の多くが活用されることなく焼却処分されている現状を知る。また、藍染や黒染といった地域に根ざした染織技術も後継者不足と需要の減少により急速に失われつつあることを知った。
日本に根づく「いただきます」の精神、自然や伝統、命に対するリスペクト(敬意、畏怖、感謝)。そんな思いを経済合理性と共存させながら市場へ還元できないかという思索が、Re:Spectというブランド構想の出発点になった。
日本では、ジビエレザーと伝統染織という二つの地域資源が、「市場的な出口の不在」により活用されず、資源と技術が損耗し続けている。害獣は駆除後の90%以上(食用の活用は約10%、革の活用は1%未満)が焼却処分されている。また染織技術も後継者不足と市場縮小で継承の危機にある。
Re:Spectは、この二重の課題に対し、スニーカーという循環の出口を設計することで解決を図る。出口にはスニーカーというプロダクトを据え、ジビエレザーと伝統染織を組み合わせた循環型のモノづくりを展開する。個体差や傷のあるジビエ革は一点物のパッチワークデザインとして昇華させ、藍染などの天然染料はその抗菌性・防臭性・文化的価値を活かして製品に落とし込むことで、サスティナブルかつ高付加価値な製品として市場にアプローチする。
1カ月目:スニーカー企画再考・クラウドファンディング準備
①スニーカー企画の再考・決定
②クラファンページ構成・リターン設計
③製造体制・パートナー最終調整
現在、上記の準備を進めている。特にプロダクト企画においては、ジビエレザーや伝統染織の特性を最大限活かすデザイン設計を行う。クラウドファンディングを通して、Re:Spectの存在の認知を広げる。製造や・パートナーとも連携しながら、スニーカー試作の方向性も同時に固める。
※クラウドファンディングでのテストマーケの結果で、すでにお声がけいただいているVCからの資金調達を検討。(バリュエーションの策定)
2カ月目:クラウドファンディング準備・プレマーケティング
①撮影・ビジュアル制作
②告知用SNS・メディア準備
③サンプル作成・試作検証
クラファン開始に向け、プロダクトイメージをビジュアル化し、ストーリーと共に発信準備を進める。SNS・メディアでのプレ告知をスタートし、共感層の巻き込みを図る。既存の物以外の試作版のプロトタイプを少量制作し、クラファン開始直前までにサンプルレビュー・改善を実施する。100BANCHのスペースも活用し、プレイベントや交流企画なども検討。
3カ月目:クラウドファンディング実施・プロダクト製作(受注生産)
①クラウドファンディングローンチ
②中盤戦略設計
③試作検証・初期製作スタート
クラファンローンチ後、支援者とのコミュニケーションを重ね、中盤施策(進捗レポート、限定リターン追加など)を設計・実施。
また、クラウドファンディングはブランドや達成したい世界観の認知拡大だけではなく、をテストマーケティングの機会と位置付け、本格的なブランド化に向けて、定量的データ(支援額・購入率など)と定性的データ(支援者からのコメント・レビュー)を回収し、プロダクト改善と市場仮説の検証を進める。
今後3カ月間で循環型スニーカーブランドとしての基盤を確立し、日本発のサスティナブルスニーカー市場への本格参入に向けた立ち上げフェーズを完了させることを目指す。
まず、ジビエレザーと伝統染織を融合させたスニーカーの初期プロトタイプの規格を確定させ、ブランドの世界観を可視化。その上で、クラウドファンディングの実施を通じて認知拡大と共感層の獲得を図るとともに、アウトプットを軸にしたストーリー発信・プロダクトビジュアル・SNS施策を展開し、試作検証とともにプレマーケティングを重ねる。クラファン支援者との対話やレビューから、定量的(支援額・購入率)および定性的(共感コメント・改善点)なデータを収集し、ブランドの方向性と市場仮説の検証につなげる。
私がRe:Spectを通じて実現したいのは、命・文化・自然への敬意を基盤とした、人と自然が共生する循環社会です。Re:Spectは、スニーカーという循環の出口を設計することで、命と技術の価値を再接続する経済モデルを提示したいと考えています。
そもそも「害獣」という呼び名も、人の都合による一面的な分類にすぎません。腐敗と発酵の違いが人の解釈によって成り立つように、彼らの価値もまた文脈に応じて変化します。Re:Spectは、害獣という概念そのものを問い直し、命に優劣をつけないまなざしを社会に取り戻したいと願っています。
ジビエレザーや伝統染織を用いたスニーカーは、廃棄される命や失われつつある技術に新たな意味と価値を与えると同時に、ハンターや職人といった一次・二次産業従事者に、持続的な経済的利益をもたらします。さらに、私自身の飲食業での経験を活かし、肉や骨といった副産物も含めて活用する「命をまるごと循環させるビジネスモデル」を構築し、地域と都市、自然と社会の接点を広げていきたいと考えています。
こうした取り組みの延長線上に、私は100年後の社会が、命や文化に対する敬意を失わない世界であってほしいと強く願っています。たとえマンモスのような絶滅動物が再びこの地上に現れるような未来が訪れたとしても、彼らを単なる消費的資源として扱うのではなく、同時代を共に生きる仲間として敬意をもって迎えられる社会であってほしい。科学技術が進歩し、遺伝子編集や再生技術によって絶滅動物の復元が(限定的な)現実味を帯びるなかで、未来の倫理は私たちの現在の行動によってかたちづくられます。今この瞬間にも、世界中で犠牲になっている野生動物たちに対し、「どう活かすか」「どう向き合うか」を真剣に問う社会でありたい。
皮も肉も骨も、そしてその背景にある文化や思想も含めて、命をまるごと活かす社会・姿勢のほうが、豊かであると私は信じているので、そのような未来を共創していきたいです。
Re:Spect リーダー・デザイナー 下吹越 直紀
1999年、鹿児島生まれ。上京後、獣害や染織産業の問題に関心を持ち、2023年よりジビエレザーと伝統染織を活用したファッション提案でコンペに挑戦。これまでに3度の受賞歴あり。また、自然や循環をテーマに、写真・エッセイ・アート・デザインの分野でも受賞歴あり。趣味は散歩、読書、コンペ。