• メンバーズボイス

気候アクティビスト、微生物に心を奪われる。——アドベントカレンダー2022

Kin-Kin 酒井功雄 [10日目]

こんにちは、Kin-Kinプロジェクトの酒井功雄です。

ここ3ヶ月間、ずっと100BANCHに入り浸り、来るたびにPSさんに「菌がね〜」と興奮して語っている人間です。

プロジェクトの一環で作った微生物Botが菌語で話している様子

普段はアメリカの大学で平和学を専攻する大学3年生ですが、休学して半年間日本に帰ってきているタイミングで、縁あって100BANCHにお世話になっています。

 

昆虫食への興味から100BANCHに出会う

100BANCHとの出会いは3年前、高校2年生のとき。昆虫食に興味があってコオロギラーメンの話を聞きに来て、気づいたら手伝いでコオロギを鍋で炒めていた記憶があります。

僕のプロジェクト“Kin Kin”は、「菌」と英語で親しい人々の繋がりを意味する「Kin」をかけた、言葉遊びです。分断されてしまった人間と自然を、微生物たちとの関係を通して繋ぎ直すことはどうできるんだろうか?私たちをケアしてくれていた微生物たちにケアを返すにはどうしたら良いか?という問いを考えています。

しかし、ずっと微生物のことが大好きだったわけではありません。

僕は気候変動を解決するには何が必要なんだろうって探求していたら、微生物とウンコをケアすることにたどり着いていました。
この記事では、今度100BANCHでイベント「気候変動を微生物中心の未来で変える」を開催することもあり、気候変動アクティビストがなぜ微生物にハマっちゃったのかを書きたいと思います。

 

高2で気候変動に危機感を持ち、生態系の重要さに気づく

高校2年生のとき、日本でもかなり有名になったグレタ・トゥーンベリのスピーチを聞き、気候変動に危機感を持ちました。すぐ後にグレタが始めた学生による気候変動運動“Fridays For Future”の日本でのムーブメントに参加しました。

その中でデモをしたり、CO2を多く排出する石炭火力発電を新たに輸出しようとしている企業に反対キャンペーンをしたり、日本政府に対して政策提言を行ったりしていました。

グラスゴーでCOP26に参加した時

そうして気候変動アクティビストとしてガッツリアクションをする一方で、エネルギー技術や政策決定の話だけしている自分にモヤモヤを感じ始めました。もっと根本的な何かが抜けているのではないか。。?

大学で受講した環境文学の授業の中で、教授が発した問いにハッとさせられました。

「気候変動を、環境破壊を肯定してきた文化とは何だったのか」

その問いを考えるために、エコロジー思想やネイティブアメリカンの人々の文学を学んでいました。その中で気づいたことが「人間は生態系の循環の一部なのに、自然から分断され搾取を行う構造になっている」ということでした。西洋的な自然観では自然は人間の「所有物」とされ、支配される対象になったことが、自然を好き勝手にしていいという思想に繋がったと。

一方で先住民族の人々は、自然のなかで私たちは全ての生き物と繋がっており、自然の恵みがあるから生きているという世界観を持っており、これは生態系サービスなしには生きれない人間の実態に沿った考えだと気づきました。

 

人間と自然の再接続を可能にするのは微生物

だからこそ、他の生き物との関係性を考え直すべきだなと思っている時に目をつけたのが、「微生物」です。

人間と自然は分断されてしまったように思われていますが、実は私たちの体には1000兆以上の常在細菌が住んでいます。常在細菌は栄養素を分解し、メンタルヘルスを整え、私たちが生きていくために不可欠な活動をしている。

私は自然から切り離されているのではなく、私の体にも他の生き物は住んでいる。私の体は微生物のアパートとも言えるんじゃないか。

菌とコミュニケーションを取る方法を知りたくて働きに行った鳥取県のパン屋タルマーリー

微生物が自然と人間の分断をぼやかしてくれることに気づいてから、夢中になってしまいました。

さらに私が健康であるためには、体内の微生物が健康である必要がある。となると微生物が元気な環境で育ったものを食べるために、気候変動のない健康な環境が必要というプラネタリーヘルスという考えにも出会いました。

そう考えると微生物は私たちと環境を繋いでくれる存在になりうる。

気候変動を解決する上で、根本的に不可欠な人間と自然の再接続を可能にするのは微生物ではないかと思い、今はもう微生物に夢中で夢中で仕方がありません。

 

微生物中心に気候変動を考えるイベントを12月23日に開催

12月23日に開催するイベントでは、微生物を考えることがいかに気候変動を考える上で重要かというテーマで、微生物中心に世界を捉えなおした時に、都市や身体や未来がどう見えるのかを話し合います。

著書「腸と森の土を育てる」で人間の腸と環境は微生物を通じて繋がっていると教えてくれた桐村里紗さん。

都市の微生物多様性を高める事業を行われている株式会社BIOTAの伊藤光平さん。

お二人と一緒に、気候変動の未来を考えます。

ちょっと思いがこもって書き過ぎてしまいました笑

ここまで読んでくれてありがとうございます。

もし興味を持ってくれた方は、イベントでぜひお会いできることを楽しみにしています。

色んな未来を一緒に妄想しましょう。

 

気候変動を微生物中心の未来で変える

【イベント概要】
・日程:12月23日 18:00~20:30
・参加費:500円(入場時に、会場でお支払いただきます)
・場所:100BANCH 3F

【登壇者】
桐村里紗
(地域創生医/tenrai株式会社 代表取締役医師
東京大学大学院工学系研究科道徳感情数理工学講座共同研究員)

伊藤光平
(株式会社BIOTA 代表取締役/慶應義塾大学 SFC研究所 所員)

酒井功雄
(気候変動を微生物との関係性で解決したい人 Earlham College 3年)

イベント詳細、お申し込みはこちらから。

気候変動を微生物中心の未来で変える | Peatix
https://kinkin1223.peatix.com/

この記事は100BANCHにまつわる様々なストーリーをメンバーやスタッフが紹介するリレーエッセイ企画です。他の記事はこちらのリンクからご覧下さい。

100BANCH ADVENT CALENDAR 2022
https://100banch.com/magazine/advent/2022/

  1. TOP
  2. MAGAZINE
  3. 気候アクティビスト、微生物に心を奪われる。——アドベントカレンダー2022

100BANCH
で挑戦したい人へ

次の100年をつくる、百のプロジェクトを募集します。

これからの100年をつくるU35の若きリーダーのプロジェクトとその社会実験を推進するアクセラレーションプログラムが、GARAGE Programです。月に一度の審査会で採択されたチームは、プロジェクトスペースやイベントスペースを無償で利用可能。各分野のトップランナーたちと共に新たな価値の創造に挑戦してみませんか?

GARAGE Program
GARAGE Program エントリー受付中

2月入居の募集期間

11/26 Tue - 12/23 Mon

100BANCHを応援したい人へ

100BANCHでは同時多発的に様々なプロジェクトがうごめき、未来を模索し、実験を行っています。そんな野心的な若者たちとつながり、応援することで、100年先の未来を一緒につくっていきましょう。

応援方法・関わり方