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100BANCHのある風景——アドベントカレンダー2022

オーガナイザー 則武里恵 [24日目]

今まで出会ったことのないものに出くわした時、どんな感情が湧いてきますか?100BANCHができてから丸5年、オーガナイザーとして、いろいろなところで100BANCHで起きていることを説明する機会がありますが、若者たちの活動は長く生きている「大人」の枠では理解できないことが多いのか、私の説明が至らないこともあるかもしれませんが、時々、強烈な拒絶反応を示されてしまうことがあります。つい先日もそんな出来事があり、「未知なるものと出会った時に感じる怖さ」について考えていました。

 

怖い、嫌い、なんか変!

未知なるものに出会った時、前のめりで「なにそれ!面白い!!」なんて思う人は稀で、「ちょっと怖い」「なんか変」「なんとなく嫌」とか、そんな感情を抱く人のほうが多いと思います。そんな感情から、新しいものと距離を置いたり、自分には関係ない世界の出来事だと線を引いてしまう。

そんなこともあったなぁと思い出すのは、100BANCHオープン前に実施したGARAGE Programの説明会。そこへ、ふんどし一丁でやってきた参加者がいました。その姿に私は自分の理解が追いつかず、二度見した後、思わず距離を取りました。「多様な人に来てほしい」。構想時からそう言ってはいたけれど、そのためには自分の出会ったことのない新しい世界の人たちとも向き合っていく「覚悟」がいるのだなと、改めてその言葉の意味をかみしめていました。

その後、そのふんどしの人は1期生「Fundoshi Hack Project」として100BANCHに入居します。日々、ふんどし姿でGARAGEにやってきて、PCに向かっていたり、接客をしている様子を目にしていると、1カ月も経つ頃にはすっかりそれに馴染んでしまい、服を着ていると逆に「風邪でもひいたの?」と心配するほど、普通の光景になっていました。その先も、ふんどし姿のメンバーとともにパナソニックのオフィスに打ち合わせに出かけたり、SXSWに一緒に出展する機会などもあり、そういえば、最初に怖がっていた気持ちなど、すっかり忘れていました。

2018年に出展したSXSWでの一コマ

 

新しい世界へのドアを開く

そうなんです。意外なほどにあっさりその怖さを忘れ、違和感を乗り越えていました。忘れるくらいだから、当然、それを超えるための大げさな「覚悟」なんかも必要ない。彼らは説明会の時も入居後も「ふんどしを履いた起業家」でしかなく、怖いという気持ちは自分の中だけの不確かな感情でした。それを少しだけ横に置いて、目の前にある人やものにニュートラルに向き合ってみると、そこから新たな景色が見えてくる。そんなことが、たくさんあった5年間だったなぁと思います。

怖い、嫌い、なんか変――。こういった感情は間違いなく、自分を大きく揺さぶるものです。あっちへこっちへ色んなことを追いかけているメンバーたちとの日々では、今でも「え〜〜っ!!!」って思うことにたくさん直面しますが、怖さや違和感など、少しネガティブな感情を含んだところにこそ、新しい世界へのドアがある。100BANCHはそんなふうに思わせてくれる場所です。感じていた怖さも、楽しそうに実験する人たちを前に吹き飛んでしまうのだと思います。

たくさんのドアを開けて、自分の価値観も大きく揺さぶられ、今では未知なるものに対しても怖さより好奇心が勝るくらいには自分自身も変容してきました。100BANCHから見える光景は、前よりもずっと色とりどりで、日々の積み重ねで未来の輪郭がよりはっきりと見えるようになってきました。今日、この瞬間にも、一生懸命に未来に向かう若者たちがいて、たくさんの活動がうごめいている。そんな100BANCHのある光景にはどこか聖なる力が宿っている気がしています。純度の高い未来へのエネルギーの集まる100BANCHが、素敵な未来の景色をつくりだしていけるように――。聖なる夜に願いを込めつつ、これからも毎日、たくさんのことを感じながら精一杯、生きていきたいと思っています!

2022年もたくさんの出会いと発見に満ちた1年でした。多様な視線や視点が交差する100BANCHに出会ってくださったすべての方々に、心からの愛と感謝を! いつも本当にありがとうございます。素敵な年末年始をお迎えください。

ナナナナ祭2022 最終日の5周年パーティーにて

 

この記事は100BANCHにまつわる様々なストーリーをメンバーやスタッフが紹介するリレーエッセイ企画です。他の記事はこちらのリンクからご覧下さい。

100BANCH ADVENT CALENDAR 2022
https://100banch.com/magazine/advent/2022/

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