farmatería
雑談からはじまる “対話”と“つながり”の医療を『日常』へ
これからの100年をつくる、U35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」。3カ月目と活動期間終了のタイミングで、どのような実験を行ってきたかを発表する実験報告会とメンタートークを実施しています。
2022年5月の実験報告会には、100BANCHに入居して3カ月や半年の区切りを迎えた5プロジェクトが登壇。活動の成果報告と今後の方針や展望について発表しました。
■farmatería
登壇者:石丸 勝之
雑談からはじまる“対話”と“つながり”の医療を『日常』へ。
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/farmateria
farmateríaは、生活者が健康課題についてご近所付き合いのように気軽に語れるような「お茶の間」を地域に作り、助け合えるカルチャーを築くことを目指しているプロジェクトです。
石丸:100BANCHでは、街角に屋台を設置してお茶を配り、雑談の中から溢れる困りごと、悩み事を汲み取るような活動を行っています。同じ場所で定期的に開催することができていて、現在、その効果を確認しているところです。
石丸:また「健康を考えるきっかけギフト」という、メッセージカードやバトンの仕組みを持ち、循環するようなギフトを開発しました。このギフトによる売上と、すでに社会にある素敵なサービスを自分達の屋台を使って地域に届けることで、広告収入をもって経済的に自立した、持続可能な活動を目指します。
今後は「複合的に良い意味でカオスに医療者を巻き込み、その中でお茶を飲むような自然体で、医療コミュニケーションをとっていただく。生活者が自ら選択して自分らしく生きられる未来を、私達でつくっていきたい」と石丸は話しました。
■Post-Graffiti
登壇者:三浦 慈朗
落書きを犯罪として無視するのでなく、その魅力を体験し、街の見方を変える
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/PostGraffiti
Post-Graffiti は、街中にあるグラフィティ(落書き)から犯罪性などを払拭し、見方を変え、その表現をより豊かにしていくプロジェクトです。
三浦:最初の1ヶ月は、代表の野口陽向さんがつくった「グラフィティクッション」を元に、素材をあらためたり、サイズを大きくしたグラフィティを制作してきました。これらをどう展示するか、どうやって認知を上げていくかと考えた結果、100BANCHでイベントを開催することにしました。
三浦:Post-Graffitiの概念に共感するメンバーも増え、当初の立体作品だけでなく、映像、音楽、紙、空間を媒体としたものへと表現を拡大させていきました。実際のイベントでは、制作したPost-Graffitiの集大成を展示、一般公開をしました。アート好きな方や、いろいろな年代のお客様が来場し、自分達が考える Post-Graffiti が何なのかを体験、理解して頂けたことで、満足のいく展示会ができました。
「イベントを行った結果、Post-Graffiti が何であるか、より探っていくことが課題だと認識すると同時に、多くの方に共感や理解を得られたことにやりがいを感じました。今後も研究と制作を続けていきたいと思います。」と三浦は話しました。
■MOCK-PLAMO
登壇者:境 悠作、伊藤 詩恩
プラモの様に手軽に、楽しく、カスタマイズできる国産木製家具キットをつくりたい
プロジェクト詳細:https://100banch.com/MOCK-PLAMO
MOCK-PLAMOは国産木材を用いた”プラモデル式 家具製作キット”の製作を目指すプロジェクトです。
伊藤:入居当初「プラモのように手軽に楽しくカスタマイズできる国産木製家具キットをつくりたい」という想いでスタートしました。一方、自分達だけでなく社会も楽しめるサービスとは何かという問いから「防災 × MOCK-PLAMO」という取組に挑戦、岩手県沿岸地域で様々なヒアリングを行ってきました。
境:防災について調べる中、避難所や仮設住宅においては、自分達でいかに生き残る力を身につけるか、が非常に重要だとあらためて気づきました。そして、防災・避難訓練を提供する側も一緒に作る側も、同時にクリエイティビティを発揮できる仕組みをMOCK-PLAMOで提供できないかと仮説を立て実行してきました。実際に豊島区の拠点に納品し、現在も複数の自治体と一緒にプログラム開発を継続中です。また、市民の方々と家具製作のワークショップを行い、そのデータを活用して避難所等でも共存できる仕組みを目指しています。
「災害を否定するのではなく、自然と人間が無理なく共存できる未来を目指します。ナナナナ祭ではMOCK-PLAMOの考える”未来の避難訓練”として防災ビジネスモデルの実証実験を行います。」と境は話しました。
■STREET ART LINE PROJECT
登壇者:阿部 佑紀
アートでつなぐ、視覚障碍者の新たな道。
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/street-art-line-project
STREET ART LINE PROJECT は、点字ブロックが街で不足や不整備状態にある課題に対し、アートの力を取り入れた点字ブロック「STREET ART LINE」を開発。健常者への啓蒙性を持たせながら、視覚障碍者が街を楽しむための道をつくりだしていくことをミッションに活動を続けています。
阿部:GARAGE Programでは「STREET ART LINE」の実装場所の確定をゴールとして、候補先と交渉を進めてきましたが、結果的に実施までに至らず白紙に戻ってしまいました。そのため、現在はまた別の候補先と交渉している状況です。その中で、TokyoDex という我々と近しい志を持っている方々と知り合うことができたので、第1弾のプロジェクトを実施した渋谷スクランブルスクエアにて、第2弾も実施できないか、ということを交渉しています。
阿部によれば、「STREET ART LINE」のプロジェクトを知ってくれた川崎市からアプローチがあり、11月に行われるイベントでコラボレーションできないかということで、現在、話を進めているそうです。
■DELIVERY DRAWING PROJECT
登壇者:山口 塁
ギグエコノミーの実態と私たちが生きる社会に、美術作品を通じて問いを投げかける
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/delivery-drawing-project
DELIVERY DRAWING PROJEC は、UberEatsといったフードデリバリーのドライバーにGPSを装着してもらい、その配達ルートをドローイングとして変換・可視化して表現するアートプロジェクトです。
山口:今、ギグワーカーといわれる人たちは、日本の労働法にもプラットフォーム側の補償等にも守られてない宙吊りな存在なんです。彼らの生きざまというか、配達行為を可視化できないかなと思って、このアートプロジェクトをはじめました。100BANCHでの3ヶ月では、友人のエンジニアに協力してもらいGPS付きのアプリケーションを制作。それを実際にフードデリバリーのドライバーの方に使ってもらい、配達ルートをドローイングとして変換、データ化してきました。
山口は、実際にそのデータを元にMDFをレーザーカッターで加工して制作した作品を会場で披露しました。
「今後は、日本だけでなく世界中のギグワークのドライバーさんたちと本格的に協力してドローイングを展開し、ムーブメントを起こせないか、と考えています。また、大学での展示やコンペなどの場にも作品を提出し、発表の機会をさぐっていこうと思っています。」と山口は話しました。
実験報告会の最後にはメンタートークを終えた高宮慎一さん(グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP) パートナー、Chief Strategy Officer)が、「冒頭で好きなことやれって言ったんですが、言わなくても好きなことやってるなって感じました。変に削られることなく、突き進んでいってください」と、各プロジェクトへのエールを送りました。
(撮影:鈴木渉)¥
高宮 慎一さんのメンタートークはこちら
100年先の未来を描く2プロジェクトがピッチ!
6月実験報告会&メンタートーク:林 千晶(株式会社ロフトワーク 共同創業者)
日時:2022年6月22日(水) 19:00〜21:00
無料 定員100名
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『実験報告会』は100BANCHの3ヶ月間のアクセラレーションプログラムGARAGE Programを終えたプロジェクトの活動ピッチの場です。
また毎回100BANCHメンター陣から1人お呼びし、メンタートークもお送りいたします!
今回のゲストはロフトワーク共同創業者の林千晶さんです!
【こんな方にオススメ】
・100BANCHや発表プロジェクトに興味のある方
・GARAGE Programへの応募を検討されている方
【概要】
日程:6/22(水)
時間:19:00〜21:00
参加費:無料
参加方法:Peatixの配信観覧チケット(無料)に 申し込みをいただいた方に配信URLをお知らせします。
【タイムテーブル】
19:00〜19:15:OPENNING/ 100BANCH紹介
19:15〜20:00:メンタートーク
・林千晶(ロフトワーク共同創業者)
20:00〜20:45:成果報告ピッチ&講評
登壇プロジェクト(現役)
・IGENGO Lab:異言語コミュニケーションで新しい関わり方を発見するゲームをつくる。
【メンター情報】
プロフィール
早稲田大学商学部、ボストン大学大学院ジャーナリズム学科卒。花王を経て、2000年にロフトワークを起業。Webデザイン、ビジネスデザイン、コミュニティデザイン、空間デザインなど、手がけるプロジェクトは年間200件を超える。グローバルに展開するデジタルものづくりカフェ「FabCafe」、素材に向き合うクリエイティブ・ラウンジ「MTRL」、クリエイターとの共創を促進するプラットフォーム「AWRD」などを運営。MITメディアラボ 所長補佐、グッドデザイン賞審査委員、経済産業省 産業構造審議会製造産業分科会委員も務める。森林再生とものづくりを通じて地域産業創出を目指す官民共同事業体「株式会社飛騨の森でクマは踊る」を岐阜県飛騨市に設立、代表取締役社長に就任。