• イベントレポート

やりたいことを、ひたすらやろう。実験報告会メンタートーク:高宮 慎一さん(グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP) パートナー、Chief Strategy Officer)

これからの100年をつくる、U35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「Garage Program」。3カ月目と活動期間終了のタイミングで、どのような実験を行ってきたかを発表する実験報告会とメンタートークを実施しています。

2022年5月の実験報告会には、メンタートークにグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP) パートナー、Chief Strategy Officerの高宮 慎一さんが登壇。グロービスに関わることになった経緯を学生時代から振り返りながら、VCや資金調達に対する考え方や姿勢について語りました。


(撮影:鈴木 渉)

経営コンサルからアメリカ留学を経てVCに出会う

現在、ベンチャーキャピタルでベンチャー投資をする傍ら、100BANCHへも立ち上げの頃から関わっているため、感慨深く考えさせられる想いがある、という高宮さん。あらためて、ご自身の経歴から話をはじめてくれました。

高宮さんのプロフィール

GCPではコンシューマ、ヘルスケア領域への投資担当。Forbes 日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング 2018年1位、2015年7位、2020年10位。東京大学経済学部卒、ハーバード大学MBA。投資先には、メルカリ、アイスタイル、ナナピ、ランサーズ、ミラティブ、ファストドクター、グラシア、アルなどがある。

高宮:ぼくはいわゆる「76世代」で、ネットバブルの時に大学時代を過ごしたんです。まわりの面白い奴はみんな、起業とかインターネット大好きだったっていう時代です。当時、ネットエイジっていう会社に出入りしてた同世代のメンバーが、mixiとかGREEとかフリンジとかを立ち上げていきました。自分も起業に興味を持つんですけど「自分にスタートアップが経営できるんだろうか」などと思い悩んだ結果、「じゃあ、まずは修業だ!」と経営コンサルに入ったんですね。

5年ほど経営コンサルをやっていく中、「これって自分がやりたかったことに繋がるんだろうか?」と、立ち止まってしまった高宮さん、2年間のアメリカ留学へ向かいます。

高宮:ボストンにあったデザインファームでインターンをしながら、その企業の日本進出を自分で立ち上がげるとういうのを仕掛けたり、今のグロービスでもサマーインターンをやったりしていたんですが、リーマンショックの不況で、そのデザインファームも海外新規事業に投資できない状況になってしまいました。

高宮:自分がやりたかったことって、「アントレプレナーリアル(起業家的)」、「イノベーション」、「クリエーティビティのマネジメント」だったんですが、当初はデザインファームの起業の話が頓挫してしまったので、2nd bestの選択と思ってベンチャーキャピタルをやってみたら、逆にやりたいことど真ん中という感じでした。大学の時にインターネットが出てきたっていう大波をやり過ごしてしまったという後悔みたいなものがあったのかもしれません。ベンチャーキャピタルだと「アントレプレナーリアル」、「イノベーション」というのがあるのは分かっていたのですが、「クリエーティビティのマネジメント」があるのか?という疑問はあったのですが、実はVCは思いっきりそれがあり、すごく楽しくなってしまいました。起業家のアイディアが、実際に社会実装されて世の中が変わった時に、やりがいがあるというか、楽しくて。

結果を考えず、好きな人たちと好きなことをやってきた

ベンチャーキャピタルの仕事をやっていく中、特にC向けのサービスを0→1にするのはクリエイターの天才性に依存するけれど、それを1→10、10→100と成長させるのは経営のサイエンスの世界だと気づいた高宮さんは、「それってまさにやりたかったことじゃん!」と、ハマっていったそうです。

高宮:なんなら「起業家」っていうクリエイターが作る一番のプロダクト・クリエイティブの産物って「スタートアップ」そのものなんじゃないかとかって思うようにもなりました。

高宮:だいたい「資金調達したいので話を聞いてください」ってはじまることは少なくて、2年ぐらいは助走期間で、友達からはじまるんです。例えば、メルカリ創業者の山田進太郎さんなんかも十年来の友達で仲良くて、隙あらば投資しようと思っていたのでメルカリをはじめたときにプロダクトが出て最初のラウンドで投資しました。本当に想いがあることを、想いがある人とできると、超楽しいんです。やりたいことの真ん中で、周りと比べたりとか、結果を考えずに、好きな人たちと、好きなことをやっていたら、逆説的に結果もついてきちゃったっていう感覚なんですよね。

やりたいことを、ひたすらやろう

高宮:実は、ここまでの前置きは自己紹介というフリをしつつ、実はみなさんにお伝えしたかったことなんです。

高宮:今の御時世、大企業に入って定期昇給で年功序列で豊かになる、みたいな昭和の高度成長期の時代は終わってきていて、これまで「良い」と言われてきていた基準に乗っかっていっても、どこに着くかわからないし、賢く立ち回ったつもりが結果的に一番リスクが大きかった、行きたいところに行けなかった、みたいなことはよくあります。

高宮:だったら、世の中的に「良い」とされている行き先に効率的に到着することを考えるんじゃなく、旅に出たからにはその旅路を楽しんだほうがいいと思うんです。自分のここ20年くらいの原体験だと、楽しいと思って、楽しいから、ってやっていると、結果的にもいいとこについちゃってるっていう感じがあるんですよね。

高宮:みなさんも、世の中の基準で「良い」とされてる、安定だとか地位があるからやる、みたいな感じじゃなくて、やりたいことをひたすらやっていってほしいと思います。やりたいスポーツがあったら、そのスポーツを始めてから必要な筋肉の筋トレをすればいいと思うんです。筋トレしてからやりたいスポーツ決めるって、たぶん逆だし、効率が悪い。やりたいことがあるんだったら、いきなりそれをやっちゃった方がいいんじゃないかと思います。やりたいことが見つからないんだったら、筋トレしながらやりたいスポーツを探すというのはアリだと思いますが。

クリエイターになれないコンプレックスが逆にポジティブな自己実現に

好きなこと、やりたいことを追いかけていたら、結果がついてきた、という高宮さん。その「好き」の真ん中にはどんなことがあったのかを話してくれました。

高宮:今思うと、クリエイターをビジネス面で支えるプロデューサー的な立ち位置、が好きだったんでしょうね。大学生の頃、すごく音楽が好きでクラブとかでイベントとかをやっていたんですが、自分では音楽のトラックを作れないんです。トラックがつくれないから、DJをやるんですが、クラブを一晩借りると、最低保証が30万円くらいかかっちゃうんです。大学生には大きな金額なんですね。じゃあファッションデザイナーの友達やフォトグラファーとコラボして、いろんな人のいろんな友達を呼べば人数を稼げるし、そういうビジネスとして成り立たせる、プロデュースするみたいな立ち位置であれば、貢献できるなって感じていました。

高宮:自分が得意なことはそういうところだと思います。音楽が好きで音楽を作りたい、写真を撮ってフォトグラファーになりたいっていう憧れと、でも自分は向いてないというコンプレックスがあるんです。でも、クリエーターと一緒に楽しくやりたくて、仲間に入れてもらうためには、何か貢献しなきゃいけないんじゃないかっていう一種の強迫観念のようなものがあったりして。仲間に入れてもらうために、頑張って貢献する、コンプレックスが逆にポジティブな自己実現のように変わってきたのはあると思います。

「好きなこと」を楽しむことがその人の「得意」になる

音楽や写真は「好き」だったけど「得意」ではなかったという高宮さんですが、自分の「得意」に気がついたきっかけを教えてくれました。

高宮:その話だと「社会的な要請があること」と「好きなこと」と「自分が得意なこと」の三つのど真ん中を見つけることが一番幸せだ、とぼくは常々思っています。でも、その三つ全部のど真ん中ってなかなか見つけられないし、円そのものが動くことだってあります。社会的な要請、世の中に役に立つ、みたいな外部要因を置いといたとして、一番動かないのは、「自分が好きなこと」。「好きなこと」を楽しんでやっていれば、その過程で勝手に「得意」になるんじゃないのかなと思います。

高宮:あと、自分が「居心地の良い立ち位置」というのが、その人の「得意」なのかもしれません。ぼくは大学生のとき「東大生」というすごくお堅いメインストリームなのに、クラブで遊んだりしてちょっと外れてて。でも、メインストリームの人とも、クリエイターの人ともちゃんと会話が成り立って、そこをブリッジできたり、帰国子女なんで日本とイギリスをブリッジできたり、お硬いメインストリームの投資家のお金を引っ張ってきてそれをスタートアップに繋げることができたりとか、何かと何かの間を繋ぐみたいなのが、すごく好きな立ち位置なんだと思います。

自分達のためにしたいことに最適な資金調達を

100BANCHでのプロジェクトやスタートアップの資金調達に関して、急成長して時価総額1,000億のユニコーンを目指すのが正義、のような現在の風潮に従う必要はない、と高宮さんは話します。

高宮:例えば、世界で一番古い株式会社って「金剛組」っていう日本の寺社仏閣の宮大工の会社なんです。金剛組は文化財の修復等をやっていて、事業の規模は追求していないんですね。じゃぁ、スケールしないからといって「良い事業」じゃないかっていうと、「良い事業」なんですよ。大工さんたちが想いを持って、文化財を修復したり、新しいお寺を建てたりとかして、昔からの技術を引き継いでやってる。やりたいことと社会的な意義があるんです。

高宮:元々、大工さんをやりたいって人も大工の技術を持ってたわけじゃなくて、やりたいことをやる中でその技術を習得したっていう形だと思うので、世の中の「スケール」とか「売上」とか「時価総額」といったお金の尺度、いわば偏差値の尺度みたいなのに騙されずにやってください。事業として活動を継続するための資金っていうのは絶対に必要なんですが、資金調達の話になると、最近の風潮としては「VCから大型調達してすごい」みたいになっちゃうんですね。でも、一歩引いてみたときに金剛組という「良い事業」がVCから資金調達をすることに適していますか、という話なんです。

高宮:VCも投資家からお金を預かっているので、成長することが宿命づけられちゃうんですが、ファイナンスってあくまで事業の継続を為すための手段なんです。もっと言うと、事業は自分たちが為したいことを達成するための手段と考えていいと思うので、VCから調達することだけが正義だとは思わず、公庫から融資で借りたり、受託でオーガニックのキャッシュフローを築いたり、と、自分たちの事業に最適な形で資金を賄ってもらえるといいんじゃないかなあと思います。

GARAGE Programの成果報告ピッチレポートはこちら

<次回実験報告会>

100年先の未来を描く2プロジェクトがピッチ!

6月実験報告会&メンタートーク:林 千晶(ロフトワーク共同創業者

日時:2022年6月22日(水) 19:00〜21:00

無料 定員100名

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※ZOOMウェビナーでの開催になります。
Peatixの配信観覧チケット(無料)に申し込みをいただいた方に配信URLをお知らせします。

https://100banch2022-06.peatix.com
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『実験報告会』は100BANCHの3ヶ月間のアクセラレーションプログラムGARAGE Programを終えたプロジェクトの活動ピッチの場です。
また毎回100BANCHメンター陣から1人お呼びし、メンタートークもお送りいたします!
今回のゲストはロフトワーク共同創業者の林千晶さんです!

【こんな方にオススメ】
・100BANCHや発表プロジェクトに興味のある方
・Garage Programへの応募を検討されている方

【概要】
 日程:6/22(水)
 時間:19:00〜21:00
 参加費:無料
 参加方法:Peatixの配信観覧チケット(無料)に 申し込みをいただいた方に配信URLをお知らせします。

【タイムテーブル】
19:00〜19:15:OPENNING/ 100BANCH紹介

19:15〜20:00:メンタートーク
・林千晶(ロフトワーク共同創業者)

20:00〜20:45:成果報告ピッチ&講評

登壇プロジェクト(現役)

SHOKKEN:食べ物で不自由のない社会を作る

登壇プロジェクト(OB)

IGENGO Lab:異言語コミュニケーションで新しい関わり方を発見するゲームをつくる。

20:45〜21:00:質疑応答/CLOSING

【メンター情報】

林 千晶
ロフトワーク共同創業者

プロフィール
早稲田大学商学部、ボストン大学大学院ジャーナリズム学科卒。花王を経て、2000年にロフトワークを起業。Webデザイン、ビジネスデザイン、コミュニティデザイン、空間デザインなど、手がけるプロジェクトは年間200件を超える。グローバルに展開するデジタルものづくりカフェ「FabCafe」、素材に向き合うクリエイティブ・ラウンジ「MTRL」、クリエイターとの共創を促進するプラットフォーム「AWRD」などを運営。MITメディアラボ 所長補佐、グッドデザイン賞審査委員、経済産業省 産業構造審議会製造産業分科会委員も務める。森林再生とものづくりを通じて地域産業創出を目指す官民共同事業体「株式会社飛騨の森でクマは踊る」を岐阜県飛騨市に設立、代表取締役社長に就任。

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