LEAFPRINT PROJECT
葉っぱをひとつのモジュールとして まちをリデザインする。
これからの100年をつくる、U35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「Garage Program」。3カ月目と活動期間終了のタイミングで、どのような実験を行ってきたかを発表する実験報告会とメンタートークを実施しています。
2022年4月の実験報告会には、100BANCHに入居して3カ月や半年の区切りを迎えた6プロジェクトが登壇。活動の成果報告と今後の方針や展望について発表しました。
■LEAFPRINT PROJECT
登壇者:坂田拓人
葉っぱをひとつのモジュールとしてまちをリデザインする。
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/leafprint-project
LEAFPRINT PROJECTは、3Dプリントを通じて葉脈の可能性を探求、それを使った表現や社会実装を目指しているプロジェクトです。
坂田:100BANCHでは、3Dプリントで大型のものを出力するためにはどうしたらよいか整理し、構造や材料を検討・実験した上で制作を行い、それを映像やドキュメントにまとめる取り組みを行ってきました。
プロトタイプの制作の中で出てきた、強度や質感といった課題には、人工物でなく自然物で対応したいと考え、オレンジの皮でバイオプラスチックを自作しそれを使いました。これらを踏まえて、虫や鳥の寄木となるフォリーを制作、およびそのプロジェクトムービーを作って都市デザインの学会「eCAADe」に提出するなど、100年後の未来に求められるような葉脈のプロダクトを作って提案してきました。
現在は、11月中旬に予定されている展示会に向けて作品を制作。坂田は「人間と地球、人間と自然に存在する虫や鳥といった生物、との共存をテーマにした作品を展示したいと考えています。機会があれば、見ていただきたいです。」と話しました。
■SHINON
登壇者:髙野洋
“存在する写真”は、未来に何が残せるだろうか
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/SHINON
デジタル化によって写真の一枚一枚の存在は弱まっていると考えるSHINONは、写真を自然のマテリアルに焼き付けて物質として存在させることで、写真一枚一枚の価値を見つめなおしていくプロジェクトです。
髙野:100BANCHでは、UVプリンターの技術で写真を自然物に焼き付けて作品を作ってきました。「人と森とのうまい付き合い方」をコンセプトに、何十年もかけて森を観測・研究している東京大学「富士 癒しの森研究所」という機関があり、全国に広がる「ナラ枯れ」の問題に立ち向かっています。現在、その活動に作品を通して何かご協力できないかとトライしています。
今後は「ナラ枯れの木」と「ナラの木が見ていた森」というものを融合させた作品づくりを続けながら、森と木に向き合った作品をどんどん作っていきたいと考えているそうです。
また、髙野は写真家として、森と共存できるような環境作りのため、森からのおこぼれを都内に運ぶことができないかということで「旅するスタジオ」や「旅するカフェ」といったコンセプトの活動も開始している、と語りました。
■Social Change From Entertainment
登壇者:宮武正之
1本の映像で1つの紛争を止めるインパクトを生み出す。
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/social-change-from-entertainment
Social Change From Entertainment は、1本の動画のインパクトで1つの紛争を終わらせることができるのではないかと考え、そのための動画を制作するプロジェクトです。
北朝鮮、日本、韓国の三カ国には、琴を淵源にした楽器があります。それを演奏するアーティストをコラボさせ、共に演奏する日が来るまで完成しない、というテーマで映像を作ることができれば、緊張する国際情勢に対して一石を投じることができるのでは、と宮武は語りました。
宮武:100BANCHでは、地味ではありますが制作費の確保と関係各所との交渉という点を進めてきました。制作費の確保に関しては、作品をNFT化し、投資家に対して権利の一部を譲渡することによって資金を提供していただくようなモデルで大手の空間デザインの会社である(株)丹青社と協議を進めています。
また、関係各所との交渉については、国会議員との交渉に成功し、北朝鮮政府と繋げていただきながら、渡航に向けた調整を実施しています。さらに、北朝鮮の英雄称号を持つ鹿児島在住の人物から、現地在住のカヤグム演奏者の紹介を受け、コラボレーションに向けて調整中です。
■Secret Base Project
登壇者:樋口葵伊
あなたはスマホにどれだけ夢を奪われていますか?
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/secret-base-project
Secret Base Project(秘密基地プロジェクト)は、中高生の6人に1人がインターネット依存でスマホに時間を奪われ、若者の夢・目標の実現が阻まれている現実に対し、それを叶えるために費やす環境と場を秘密基地が提供することで、夢・目標を叶える人々の溢れる社会をつくることを目指すプロジェクトです。
樋口:100BANCHでは、高校3年生の4〜7月の一学期の間、総合型選抜型の「探究ゼミ」を開き、「大学受験はゴールじゃない」「目標を見つけ叶えるために大学という選択肢を増やす」というコンセプトで有料の授業を行っています。また、やりたいことを見つけるだけでなく、この仲間とスマホを活用して目標実現を確実にするための自習室もやっています。
今後はこの活動を他の学校にも広げていき、より多くの人が自己実現により幸せな生活を送っていけるような社会や未来をつくっていきたい、と話しました。
■ShareTech
登壇者:松本悟志
企業の課題解決を促進する!テクノロジー専門家と企業を繋ぎ「探す・相談」の負を解決
プロジェクト詳細:https://100banch.com/ShareTech
ShareTech は、アルファ版のプロダクト開発と様々なテクノロジー専門性を持つ個人と企業をつなぎ、企業が効率良く課題解決を行えるプラットフォームを提供しています。
松本:100BANCHへは、11月に入居して1〜2ヶ月で実装、プレスリリースを出し、プロダクトをリリースしました。しかし、ユーザーテストの結果やメンターの西垣さんとのディスカッションの中で、自分達が解決したい課題の解像度が荒かったり、ユーザーの課題を起点に考えられているのか、というのが課題として出てきました。そこで、組織の中の1人1人が立ち上がって自分自身の課題に気づき、周囲を巻き込んで自分から変わろうとする、そのためのプラットフォームを作る方向へサービスをピボットし、現在はベータ版の開発を進めています。
「ベンダー等に縛られることなく、みんなでコラボレーションしていきながら、ユーザーそれぞれが立ち上がってデジタル化を推進していく、そんなプラットフォームを作っていきたい」、と松本は話しました。
■The 21st century da Vinci
登壇者:滝本力斗
真実の発明が結び目をほどく
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/the-21st-century-da-vinci
The 21st century da Vinciは、コミュニケーションを豊かにするスマートマスクをベースに、公共圏を形成し思いやりの溢れる世界を実現を目指すプロジェクトです。
滝本は、100BANCHでは「発明」というのはどういうことなのかという「発明論の構築」、またそれを体現する「発明」の実践を通して、より「発明」の真髄に迫ることになった、と語ります。
スマートマスクの開発はエラーに次ぐエラーで難航しましたが、その経験が「発明はいかにして可能か」というのを深く考えるきっかけとなり、発明のしくみを「発明論」としてモデル化してきたといいます。
また、その「発明論」をベースに高校生の前で出張授業を行いました。受講した高校生から「発明への興味・関心が強くなった」という感想をもらい、「枠にとらわれない発明というものが、今こそ必要だ」という気付きを得たそうです。
滝本:これからは「関係性の時代」というものを啓蒙していき、かつ「発明論」というものを構築し、みんなが自分の夢に取り組めるような社会、空想が現実になる世界を目指していきたいなと思っています。
実験報告会の最後にはメンタートークを終えた株式会社HEART CATCH 代表取締役の西村真里子さんが、「100年後の未来、非常にわくわくする新しい体験ができそう」と話し、各プロジェクトの登壇者へ感想やアドバイスを伝えました。
西村真里子さんのメンタートークはこちら
(撮影:鈴木渉)
100年先の未来を描く5プロジェクトがピッチ!
5月実験報告会&メンタートーク:高宮慎一(グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)パートナー/Chief Strategy Officer)
日時:2022年5月26日(木) 19:00〜21:00
無料 定員100名
https://100banch2022-05.peatix.com
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『実験報告会』は100BANCHの3ヶ月間のアクセラレーションプログラムGARAGE Programを終えたプロジェクトの活動ピッチの場です。
また毎回100BANCHメンター陣から1人お呼びし、メンタートークもお送りいたします!
今回のゲストはグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP) パートナー、Chief Strategy Officerの高宮慎一さんです!
【こんな方にオススメ】
・100BANCHや発表プロジェクトに興味のある方
・GARAGE Programへの応募を検討されている方
【概要】
日程:5/26(木)
時間:19:00〜21:00
参加費:無料
参加方法:Peatixの配信観覧チケット(無料)に 申し込みをいただいた方に配信URLをお知らせします。
【タイムテーブル】
19:00〜19:15:OPENNING/ 100BANCH紹介
19:15〜20:00:メンタートーク
・高宮慎一(グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP) パートナー、Chief Strategy Officer)
20:00〜20:45:成果報告ピッチ&講評
登壇プロジェクト(現役)
・farmatería:雑談からはじまる“対話”と“つながり”の医療を『日常』へ
・Post-Graffiti:落書きを犯罪として無視するのでなく、その魅力を体験し、街の見方を変える
・DELIVERY DRAWING PROJECT:ギグエコノミーの実態と私たちが生きる社会に、美術作品を通じて問いを投げかける
登壇プロジェクト(延長)
・STREET ART LINE PROJECT:アートでつなぐ、視覚障碍者の新たな道。
・MOCK-PLAMO:プラモの様に手軽に、楽しく、カスタマイズできる国産木製家具キットをつくりたい
20:45〜21:00:質疑応答/CLOSING
【メンター情報】
高宮 慎一
グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP) パートナー、Chief Strategy Officer
プロフィール
GCPではコンシューマ、ヘルスケア領域への投資担当。Forbes 日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング 2018年1位、2015年7位、2020年10位。東京大学経済学部卒、ハーバード大学MBA。投資先には、メルカリ、アイスタイル、ナナピ、ランサーズ、ミラティブ、ファストドクター、グラシア、アルなどがある。