- イベントレポート
「アップサイクル」は、 日本人が再び世界をリードする モノづくりアプローチか!? 〜100BANCH アップサイクル・ハッカソン〜
廃品や廃材を組み合わせ独自の加工を施したアートであり、
インテリアでもある作品
Upcycling New Worldには、アップサイクルの新たな世界の幕開けを予感させるモノ、この表現に辿り着くまでに触れた様々な世界、地球というこの世界に向けた想いが込められています。
10/16〜10/22の期間に開催されたDESIGNART@100BANCHの会場には廃品や廃材を組み合わせて独自の加工を施した、アートであり、オブジェであり、インテリアでもある、照明作品6点とパネル作品が、これまた廃品で作られたブースに展示。一度は捨てられたモノが、アップサイクルの作り手により、新たな価値を宿して暮らしを照らす照明となって戻っていく、そんな少し先の循環と未来を形にしました。0から1では生み出せない、捨てられたモノやパーツから作っているからこそのクリエイションと面白みがここに。これって元はなんだろう・・・面白い!意外性と驚き、一つ一つがユニークな形、それぞれの個性とストーリーと共に。
70年代に発売されロングセラーの『こえだちゃんと木のおうち』シリーズ、古民家に残され壊れていた初代の木のおうちと、同じ古民家に残されていた照明を組み合わせてアップサイクルした一品。可愛らしいこえだちゃんとみきちゃんが住んでいたおうちは、長い年月を経て、子供心を忘れない尖った大人に捧ぐロックテイストなデスクライトへと生まれ変わった。これはアップサイクルなのか、リノベーションなのか。現在この家に住むのは時を同じくして60年代〜90年代まで世界を席巻した、あのロックバンドのマスコットキャラクター。さぁ、扉の奥に今なお静かに暮らす森の住人に会いに行こう。
・こえだちゃんと木のおうち(初代)/プラスチック
・デスクライト/金属類&プラスチック
・切削・接合・接着・オリジナル塗装仕上げ
電波暗室の内壁に貼り付けられる発泡スチロール基材の四角錐形電波吸収体。外部からの電磁波の影響を受けず、かつ外部に電磁波を漏らさず、さらに内部で電磁波が反射しないように設計・施工されたシールド空間で実際に使用された後に廃棄されたモノ。この馴染みのない物体をカットし、レトロな照明へ造形的に取り付けていく、無機質なモノを有機質なモノへとアップサイクルする取り組みだ。ガウディや偉人達は有機物を観察し学んできた、人間には思いもつかない形状の神秘、廃品だからこそのインスピレーションによってそこへアプローチする。植物の様な果実の様な、有機的でエロスさえも醸し出すトゲトゲしさが見せる世界はどこへ向かうのか。
・電波吸収体(Radar absorbent material)/発泡スチロール基材
・ペンダントライト/プラスチック
・切削・接合・接着・オリジナル塗装仕上げ
廃棄された80年代のPCボディと、時を同じくして軍隊で実際に使用され廃棄されたミリタリージャケット、そしてガラスのシェードが割れたことにより廃品となった照明器具を組み合わせてアップサイクルした一品。生活に欠かすことのできなくなったPC、その一方、ネットの中で繰り広げられる情報戦争と、今なお続くリアルな戦争という事実。
満を持してミリタリージャケットを着込んだPCは何を伝えようとしているのか、中をソッと覗き込んでほしい。そこには子供が遊んでいたトイソルジャー達が新たな任務を受け、今まさに何かのために戦っている。この世界で本当に大切なのは・・・。
・80年代のPC/プラスチック
・軍用のミリタリージャケット/レザー
・おもちゃの兵隊/プラスチック
・スタンドライト/金属類
・切削・接合・接着・オリジナル塗装仕上げ
1847年2月11日にエジソンが誕生してから170年。人類は様々な照明器具を生み出してきた、現代にエジソンが存在したら彼は何を生み出し、もしアップサイクルに興味をもったら何を作っていただろう。白熱電球が商用化されてから、数字の羅列とループし続ける社会で、発展と衰退を繰り返し、生み出されるモノ。工場の天井から生産される製品を見続け役目を終えた水銀灯の骨組みと、内包されたアメリカメイドのレトロな照明、LANケーブルを織り這わせた隙間から見える未来はどんな世界だろうか。廃品の組み合わせが織り成す柔らかな光に、真鍮製のアース端子がラグジュアリーな演出を施す。
・水銀灯の骨組み/金属類
・LANケーブル/PVC
・電話機のボタン/プラスチック
・医療用注射器ケースの蓋/プラスチック
・アース端子/真鍮
・ペンダントライト/FRP
・切削・裁断・接合・接着
アメリカの荒野を走っていた、であろうシボレーのライトカバー。この日本に辿り着きアップサイクルされるまで、どんな景色を見てきたのか。どんな人が運転し、車中ではどんなドラマが繰り広げられ、雨の日も風の日も誰かを乗せ走ってきた。様々な世界に触れ、色に溢れていた遥か彼方の記憶を呼び起こす。このランプが灯る時、流線型を描く流木に導かれ、柔らかに光るその先に新たな時代を感じることができる。遙かなる大地の息吹を。
・シボレーのライトカバー/プラスチック
・ペンダントライト/金属類
・フックチェーン/アイアン
・流線型の流木
・7色に染色された麻紐
・切削・裁断・接合・接着
もし現代文明に触れたことのない民族が、もし人類が一度滅びて再び生まれたとしたら、この世界に溢れる廃品を発見し手に取った時こうするのではないか…。金属でできた部品をキレイだと身に着け、古着を集めて作られた鮮やかなラグを身にまとい、電子部品の幾何学的な模様をタトゥーのように使ってオシャレを楽しむ、そんな日がくるかもしれない。廃品や廃材はゴミ、というのはもしかしたら固定概念に縛られているだけなのではないだろうか。フィルターを外して見れば、彼女の様に世界はもっと自由だ。国も人種も関係ない、私たちは地球の原住民となって楽しめばいい。赤い地球が青く光るその日まで。
・トルソー/木製
・ラグ/古着を集めたもの
・顔のパーツ/各種金属部品
・髪/アルミの抜いた端材
・赤い電球 – 照明器具
・切削・接合・接着・オリジナル塗装仕上げ
真実の目、これは宗教的なことではない。言うなれば、もっと広く、もっと深く、より宇宙から世界を見るような、もはや宇宙のように開けた視点や感覚をもって生きること。この世界を取り巻く事実は変わらない。変えられるのは自分の目だ。表面的なことではなく本質を捉え、常識に縛られることなく、純粋に真実を見つめ貫いていく。すると見えてくる世界がきっとある。この世界は美しい…パタゴニアの地が私に教えてくれたこと。
・ブックラックの骨組み/真鍮フレーム
・車のライトカバー/プラスチック
・模型用のパーツ/プラスチック
・ハート型のギフトBOXのフタ/クラフト
・ベニヤ板の端材
・切削・接合・接着・オリジナル塗装仕上げ
shogo sekine
東京を拠点として12 年、インテリアを軸とした空間のデザインやアートディレクションを国内外で数多く手掛け、2017 年、満を持してG O M I(廃棄物・廃材・端材などと呼ばれるモノ)をアレンジしながら組み合わせて、新たな価値を創り出すプライベートブランド「SKETCH」を発足、代表を務める。
神奈川県二宮町の古民家商店を改修してオフィスにショップ&カフェを併設し、オリジナルプロダクトやインテリア商品を展開、リノベーションを中心とした空間デザインを手掛けながら、各地で様々な活動をおこなっている。