The Herbal Hub to nourish our life.
からだとローカルを元気にする「薬草カレー」づくり
パナソニック、ロフトワーク、カフェ・カンパニーが運営する100年先を豊かにするための実験区「100BANCH」は、7月6日(土)から14日(日)まで、9日間にわたって『100BANCHナナナナ祭2019』を開催。
ナナナナ祭最終日の土日は、「食」にまつわるイベントが2つ開催されました。これまでの食・これからの食を考えるシンポジウム。そして、食によって心と身体を開放し、「癒し」を求める体験アクティビティ。本日はその2つのイベントの様子をご紹介いたします。
100BANCHナナナナ祭2019 >> https://100banch.com/nanananasai/2019
13日(土)に行なわれたのは、The Herbal HubとMUSUNDE HIRAITEの2つのプロジェクトによる企画、「地球の味レストラン〜100年前から100年後まで〜」。昔・現在・そして未来の食事について考えるシンポジウムです。
会場の中央には、6mの大きさの「食年表」が用意されており、参加者は始まる前から興味津々でした。
まずは国立環境研究所気候変動適応センターの西廣淳先生、宮城大学の石川伸一先生より「地球の変化と食文化の変化の関係性」について話を伺いました。
西廣先生は、気候変動への「適応」が重要だと話します。
その適応の鍵は「多様性」です。例えば、江戸時代の飢饉の時に食べられた救荒植物としての雑草。阪神大震災の後に、ビタミン不足が問題になりましたが、「避難所の周りに生えている雑草を食べていたら、ビタミンC不足は防げた」という研究もあるそう。「多様性=雑なもの」がもたらすしなやかで強い未来なのでは…と語りかけます。
石川先生は、「食べることが進化してきた」と言います。
私たちが食を変えたのか、食が私たちを変えたのか。食は、体やメンタル面に直結しています。消化のいい、美味しいものがたくさんあふれているからこそ、人類の1/3は肥満と言われる時代。食の進化はテクノロジーの進化に影響され、生物学と同じように複雑化・多様化していくのでは?と未来を想像します。
豊かな食卓とはなんなのか? という問いに対して、2人の回答は揃って「選択肢があること」。
西廣先生は「自分で選んだ食べ方・暮らし方ができることが豊かさ。『100年後、これが役にたつ』といった決め打ちは、きっとうまくいかない」といい、石川先生も「何が美味しいのかは個人によって違う。100年後に求める幸福な食は、ばらつきがきっとあるだろう。それでいい」と語ります。
先生方の話を聞いた後は、ワークショップへ。
参加者たちは3〜10人程度のグループに分かれ、自己紹介の後に「どんな食卓を囲みたい」かを考えます。
「楽しい食事」「愛のある食卓」「ストーリー性のあるメニュー」など、答えはグループによって様々。続けて、「それらを実現するために、今やるべきこと」をディスカッションしていきます。どちらも規定の10分では収まらず、盛り上がってしまうグループが大半。皆さん、食について真剣に考えます。
そして、お待ちかねの「食べられる年表仕立ての極上ロングテーブルビュッフェ」の時間に。
料理人・ソウダルアさんによる盛り付けのインタレーションを鑑賞したのち、実際に過去・現在・未来の食事を味わっていきます。
太古〜明治あたりまでのエリアには、
などが並び、
これまでの100年のエリアには
がずらり。
そして、これからの100年に起こるかもしれない食卓として、
を拡大解釈した、「孤食をやめ、みんなで食卓を囲むために『皿』という概念をやめた」独創的で美しい料理たちが年表の上に直接盛り付けられています。
この3つを一度に食べたときに、「人は何を得て、何を失ったのか」「これから先、どうあるべきなのか」考えて欲しいと語るソウダルアさん。
1つの大きなテーブルを囲んで新しい出会いがどんどん生まれており、みなさん文字通り、地球の味を五感で楽しんでいました。
14日(日)には、食を通じた癒し体験を味わえるイベントを開催。
参加者たちはまずテーブルにて、絆創膏型のセンサーかFITBIT(スマートウォッチ)を装着します。これは食と癒しの関係について検証するためのもの。
そして、心を解放して「ぬぐ」ためにスマートフォンは没収。靴を脱いで、体も解放していきます。
少し薄暗いエリアに移動し、一番初めにすることは「かぐ」こと。木の香りを染み込ませたおしぼりを顔に当ててゆっくりと嗅ぎ、心をリラックスさせていきます。
つづいてお茶の香りを楽しむ「聞香杯」を体験。「山の香り」をじっくりと鼻と喉で味わいます。
次は「海の香り」を味わうため、テーブルに移動。一番優しい結び方で作られているおにぎりを、海苔で包んで両手で食べていきます。
木の幹としいたけを合わせたお茶も飲むことで、ほっこりとした表情に。
最後は「死ぬ」体験。自分にとって居心地のいい場所で目を閉じ、ゆっくりと休憩していきます。
横になる人、座ったままの人…思い思いの体勢で過ごす参加者たち。高い癒し効果があるといわれる倍音楽器を用いた音楽に、思わず眠ってしまう人も。
10分後、「おはようございます」の声でイベントは終了。どこのポイントでリラックスしていたのか、心拍数や交感神経のデータをもとに解説を聞いていきます。
香りを嗅いだ時、食べた時、そして目をつぶった時。一番リラックスしたポイントは様々でしたが、皆さんひとときの「癒し」を満喫していました。