• イベントレポート

DESIGNART TOKYO 2023に出展――領域を超えてつくりあげられた作品14点を紹介

10月20日〜29日に開催された日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2023」。東京都内83箇所が会場となり、街をあげてつくりあげるこの大イベントに100BANCHも5年ぶりに参加出展。GARAGE Programの採択プロジェクトの中からデザインやアートに関連するテーマに取り組む9チームが参画し、14作品を展示しました。

ご来場者には学生やデザインを職業とする方も多く、作品・作家のファンだという人や、DESIGNARTの会場マップを片手に訪れてくださる海外の方の姿も。10日間で600人が来場し、作品の背景や活動の説明にじっくり耳を傾け、作品を楽しんでくださいました。

常識にとらわれない若者たちによる自由な表現を展示

DESIGNART TOKYOとは、「INTO THE EMOTIONS 〜感動の入口〜」をコンセプトとしたデザイン&アートフェスティバル。100BANCHと同じく2017年にスタートしたもので、世界屈指のミックスカルチャー都市である東京を舞台に、都内各所で多彩な展示を開催するイベントです。

今年のテーマは「Sparks〜思考の解放〜」ということで、常識にとらわれない若者たちの自由な活動が繰り広げられる100BANCHにはピッタリのテーマ。それに向けて100BANCHでは、アート、サイエンス、テクノロジー、デザインなどの枠にとらわれることなく、領域を超えてつくりあげられた作品をキュレートしました。

2階と3階の2フロアを会場とし、それぞれ趣きの異なる展示ブースを展開。3F LOFTでは「現象」の美しさが印象的な積彩の作品群とRGB_Light、DEWを展示しました。フロアで出迎えるのは、ビニールハウスでつくられた特設のギャラリー。いつもと違う雰囲気に包まれながら、ゆっくりとアートをお楽しみいただきました。

作家から直接話を聞くことができるのも本イベントの魅力の1つ。作品のことはもちろん、「なぜその取り組みを行っているのか」とプロジェクト活動について興味を持つ方も多く、メンバーの活動をより広く知っていただける機会となりました。

空間ディレクション:保良雄/河野未彩

 

3Dプリンティング技術による美しい作品を3つのブースで紹介した「積彩」

積彩は、色彩設計と3Dプリンティングに特化したデザイン事務所です。今回のDESIGNARTでは、今年8月に立ち上げた新ブランド「QUQU」をはじめ、今年のミラノサローネに出展した「CO-BREATHING OBJECTS」と題したコレクション、パナソニックとの協業で行っている植物由来のサスティナブル素材 kinariを使った大型作品の3つのシリーズを展示しました。

「QUQU」は、3Dプリント技術で作られた商品を提供する新しい時代のデザインブランドとして、積彩が今年8月に立ち上げた初の自社ブランド。彼ら独自のテクノロジーによる、見る角度によって鮮やかに変化する色表現が目を引く商品が並びます。リング・ピアス・バングルなどのアクセサリーや、お花やその日の気分に合わせて色を変えられる花瓶を展示、ポップアップ販売も行いました。

角度によって色が変化する魅惑的なデザインを見て、「3Dプリントでこんなにも美しいものがつくれるのか!」と驚く声が聞こえてきたり、美しく繊細な色の移ろいをじっくり眺めながら、お気に入りのアイテムを選ぶお客様の姿が多く見られました。

「CO-BREATHING OBJECTS」と題したコレクションでは、今年のミラノサローネに出展したインテリア家具の中からテーブルとライトなどを展示。人の振る舞いに呼応して共に息づく家具と空間をコンセプトにしたこのコレクションは、私たち生活者の動きによってプロダクトが見せる表情が変わります。商品の周りをぐるぐる回りながら、これまでに見たことのない不思議な色の見え方をじっくり眺める人も多く、「どんな素材でつくられているのか」「どうして色が変わるのか」といった、素材や技術への質問もたくさん寄せられました。

「sekisai×kinari」のブースでは、パナソニックの開発した植物由来のサスティナブル素材kinariを使った大型作品として、イスとパーティションを展示。デザイン×エンジニアリングで、従来の樹脂素材にはない質感と、天然素材では難しい高いデザイン性を両立した作品です。まだ実証実験フェーズのこの取り組みですが、大型3Dプリント技術の可能性や、廃棄物を資源として活用した取り組みに関心を寄せる方が多くいました。

 

色とりどりの影を生み出す「RGB_Light」

光の三原色の原理を応用し、白い光の中に彩る影をつくるペンダントライト「RGB_Light」。「影の色をデザインする」という新感覚の照明を、不思議そうに見つめる来場者の方々。照明の下に手をかざしながら、変化する影の彩りを楽しんでいました。「光の三原色はなんとなく知っていたけど、実際に光として見れるなんて!」と目の前に出現した光の現象に、感嘆の声が上がっていました。

心落ち着く自然現象が楽しめる「DEW」

日本庭園のやすらぎを感じられる線香花火のような照明「DEW」は、光の雫が落ちていく現象が印象的なプロダクト。現在商品化を目指しており、今回はプロトタイプを展示しました。

光の雫が落ちていく現象に魅了され、しばらく作品の前から動けないという方も。「部屋に飾りたい」「寝る前にぼーっと眺められたら最高」など、実際に販売を熱望する声が多く聞こえてきました。

DEWが目指すのは、テクノロジーに囲まれた人間社会を楽しみながら、自然を感じたいという人の願いを叶えるPORTABLE NATURE。お客様の声をもとに、さらなるブラッシュアップを図ります。

実験的な表現に挑むクリエイターたちによる「OPEN GARAGE」

2F GARAGEでは、実験的な表現に挑むクリエイターたちの作品をキュレートした「OPEN GARAGE」を開催しました。デザイン性の高いプロダクトやメディアアート、インスタレーション作品など9作品を展示。静と動、生と死、過去と未来など、異なる世界が解け合うような作品たちをご覧いただきました。

また、会期中にはデザインやアートに関連した3つのイベントを開催。注目の若手デザインチームによる対談や、「新しい弔いのカタチ」をデザインの視点から考えるディスカッション、サイエンス×クリエイティブの面白さを研究者やアーティストとともに探るトークイベントを行いました。

DESIGNARTは、100BANCHに集うクリエイターたちの作品を、1つ1つじっくりご覧いただける機会となりました。今回初めて100BANCHに来た人も多く、ほとんどの方に「未来へのエネルギーを持つ人たちがいる、とても素敵な場所ですね」との声をいただきました。「多くの展示会場を回っているが、中でもここが一番楽しい」と話す方も。来場者の方々にとって、多岐にわたる作品群、クリエイターの思い、「100BANCH」という場所、たくさんの出会いが生まれた場になったのではないかと思います。

会期中に開催したトークイベントのレポート、OPEN GARAGEに参加したメンバーによる展示レポートを順次、公開していきます。白熱したトークが飛び交ったイベントの様子や、メンバー視点で綴られる展示の様子をぜひお楽しみください!

 

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