- イベントレポート
正解のないチームづくり:実験報告会 プロジェクトチームのはじめ方 〜ビジョンに「この指とまれ」〜
GARAGE Program※採択メンバー集まって、100BANCHでどのような活動をしているのかを話す「実験報告会」。毎月、集まったメンバーに共通するテーマでクロストークを行っています。
2020年4月は「プロジェクトチームのはじめ方 〜ビジョンに『この指とまれ』」をテーマに、4名のメンバーが集まりました。
普段は100BANCHに集まって開催するイベントですが、前回に引き続きオンラインでの開催。40名弱の参加者とチャットでコミュニケーションをとりながら、あっという間に時間が過ぎていきました。
<登壇プロジェクト>
「日本由来の素材でトニックウォーターをアップデート!」
堀江麗
ジントニック好きが講じて、おいしい自家製トニックウォーターづくりをスタート。100BANCHメンバーとも共創しながら、日本の素材でおいしいトニックウォーターを探究、開発している。
「『アート』によって、病院に『ワクワク』を取り入れる :)」
中澤希公
入院している間のQOLを向上させるため、アートを取り入れ病院を明るい場所へ。3月まで高校生、4月に大学生になったばかりのメンバーが集まるプロジェクト。
「傘をシェアする新しい時代を一緒に創りませんか?」
丸川照司
使い捨てられる傘を減らすため、傘をシェアするインフラづくりをサービスとして開発。コンビニエンスストアや電鉄と組み、広い規模で展開をしている。
「日本の「茶」で人類の「和」を創る!茶の湯で調和の取れた社会を。」
岩本涼
お茶が好きすぎて、静岡でお茶を生産中。100BANCHでは茶の湯の思想と精神を世の中に取り入れるため、1人オフィス用の茶室を開発。ECサイトでは新茶の予約も受け付けている。
人に話すからはじまること
—左上から、事務局・庭野、iKasa丸川、Hello Gin & Tonic堀江、PAIN PAIN GO AWAY中澤、TeaRoom岩本
クロストークのモデレーターは“100BANCHのアイドル”こと運営事務局・庭野。それぞれの活動をいつも見守っている庭野から、登壇メンバーに質問を投げかけていきます。
庭野:まずはプロジェクトを始めたころの話から聞いてみたいと思います。まだやりたいことがアイディアの状態のとき、誰かに相談はしていたのですか。
堀江:私は会う人会う人に、ジントニックが好きなんだって話している時期がありました。熱意を伝えてるうちに「めちゃくちゃおもしろいじゃん、〇〇すれば、商品化できるかもよ」って言ってくれる方がいて。そこから話がトントン拍子で進んで、当時勤めていた会社も辞めることになったんです。
岩本:僕も着想時は1人でした。誰に会っても、どの飲み会に出てもお茶の話をしていて。そのなかで共同創業者となる人に出会って、会社をスタートした感じです。
—Hello Gin & Tonicプロジェクトの実験の様子
庭野:iKasaの丸川くんは今、大人数が関わるプロジェクトになっていると思うんですが、メンバーはどんなふうに集まっているんですか。
丸川:僕らの場合は傘に限らず、いろいろな社会の課題に対しての想いを持っている人が集まっています。ビジョンというか活動の向かうところにワクワクしてくれてる人が多いんだと思います。
庭野:なるほど。PAIN PAIN GO AWAYの希公ちゃんはどうですか。チームを組んだときは高校生だったと思うけど、チームのみんなはお友達?
中澤:そうです。友達のなかでもただ遊ぶ友達というより、自分の夢を語れる友達にメンバーになってもらいました。
庭野:それはすごく大切なことかもしれませんね。信頼できる相手に話しているうちに、企画がブラッシュアップされていくこともあると思います。
—PAIN PAIN GO AWAYプロジェクトが介護老人保健施設でワークショップを実施した際の様子
中澤:自分のプロジェクトに関わってくれる人に、ひたすらメールを送りまくることもあります。迷うことがあったら100BANCHにいる人たちも聞きます。高校生ブランドを乱用して、「わからないんですけど教えてください」って。ここにいる大人は優しいから、いろんなことに答えてくれるんです。
庭野:希公ちゃんって本当に行動力がすごくて。こんな人がいるよってアドバイスすると翌日には連絡をとってる姿をよく見かけていました。
ぶつかり合って戦わなければ、本当の調和なんて生まれない
庭野:集まり方はそれぞれですが、スタートアップってチーム崩壊を起こしやすいところがあると思うんです。iKasaではそういうことってありますか。
丸川:そうですね。実は最近、フルタイムでエンジニア2名にジョインしてもらったんですが、相談した結果、1ヶ月半でお別れすることになってしまって。今までは即戦力、スキル重視の業務委託で入ってもらったんですが、フルタイムだとよりカルチャーフィット寄りになることがわかって。想いを共有することが大切なんだってことを実感しているところです。
岩本:僕もスキル重視で採用した人は全員離れていきました。僕も割り切って役割をまっとうしてくれたらいいと思っていたんですが、もっとコミュニケーションをとるべきだったと反省しています。
—2019年2月19日「雨水」の日に合わせてiKasaの傘をさして渋谷の街を歩くイベントの様子
庭野:岡本太郎さんの言葉で「相手とぶつかり合って戦わなければ本当の調和なんて生まれない」って言葉があるんですけど、まさにその通りだなって。全力で自分の思っていることを伝えて、喧嘩をして、絆が深まっていくところはありますよね。
中澤:私は喧嘩、めちゃめちゃします。プロジェクトのことではあんまりしないんですけど、プロジェクトのメンバーと学校で喧嘩して、そのまま一緒に100BANCHに来て気まずいっていうこともあります。喧嘩までいかなくても、友達にいやな思いをさせてしまったと感じたら、ごめんねってちゃんと伝えるようにしています。
庭野:いろいろなメンバーが関わっていたりこの状況もあって、リモートワークがさらに増えていくと思います。距離が離れた状態で気をつけていることはありますか。
堀江:うちは製造の拠点が離れていることもあって、考えていることを共有することの大切さは日々感じています。仕事の話だけだとタスクベースのことになってしまうので、仕事ではなく別の場所で顔を合わせたり、話す場所をつくるようなことを意識しています。
岩本:我々は静岡と東京にメンバーがいるんですが、僕は事業に関係なくても、おもしろいって思ったことを全力でシェアしていて。おもしろいYouTubeの動画を見つけたら夜中でも送ってコメントを求めます。うざったいと思うけど。
庭野:迷惑ですね(笑)
—TeaRoomの活動の様子
岩本:おもしろいと感じることの価値観を共有するのは重要だと思っていて。おもしろいとか美しいとか、センスみたいなものを共有するのが重要なんじゃないかと思っているんです。
庭野:価値観を共有することって重要なコミュニケーションですよね。チームワークをよくするために大切なことだと思います。
十人十色のチームづくり
岩本:目的意識を共有し続けることは大切だと思っています。ビジョンっていうときれいな言葉にまとめがちなんですけど、泥臭く伝え続けること。日常で出てくることを共有し続けながら、目的、目標を意識し続けることがチームワークを良くし続けるポイントなのかなって思っています。
丸川:僕らは会社のバリューを3つの言葉にしています。視座を高く持つこと、妥協せず徹底的にやること、そして相思相愛。大切なので社内で頻度高くこの言葉が出てくるようにがんばりたいと思っています。
堀江:私は相手の特技を本気で信頼すること、信じることが大事なんだと実感していて。人に頼んでも、私がつくりたいのはこれじゃないんだよな、なんか違うんだよなってぐるぐるしていた時期があったんです。だけど私が相手の特技を引き出して、信頼して頼むことも必要なんだと学んで。最近ようやく、いろいろなことがうまく回り始めたところです。
中澤:私の周りにはまだ自分の夢を持ってない子が多かったので、自分の夢に対して共感してもらえる瞬間をつくる工夫してきました。たとえば病院に一緒に行ってみるとか。共感をつくってあげれば自然と手伝ってくれるし、意見をくれることもある。少しでもそういう時間をつくるようにしています。
—左上から、事務局・庭野、iKasa丸川、Hello Gin & Tonic堀江、PAIN PAIN GO AWAY中澤、TeaRoom岩本
話が一段落したところで、画面を通して話を聞いていた参加者のみなさんからの質問タイム。やりたいことがプロジェクトに変わる瞬間、プロジェクトを始めることへの不安など、挑戦することに対する疑問が積極的に寄せられました。
クロストークの後は登壇者ごとにオンライン上で部屋をつくり、参加者を交えて話せる時間に切り替わりました。参加者が集まったのは、大学生になりたての中澤さんの部屋。
「どうしたらモチベーションを維持できる?」など、働く大人の疑問に対して、一周りも二周りも年下の中澤さんが真剣に答えていました。
その様子を見ながら感じたのは、人とともに働くこと、いいチームをつくっていくことは、どんな歳になっても、どんな規模のチームでも変わらず対峙しつづけるものだということ。
相手が人である以上、居合わせる人やタイミングによって常に状況は変わり続け、悩みはつきないのかもしれません。正解のないチームづくりも、事業やプロジェクトを進めるときの醍醐味として楽しめるようになりたいものです。
<次回実験報告会>
実験報告会 温故創新〜未来のヒントは過去にあった?〜【オンライン配信】
日時:2020年5月14日 19:30〜21:30
参加費:無料
場所:100BANCH 3F
URL:https://100banch.com/events/25784/
今回のテーマは『温故創新』。時代が大きく変わろうとしている中、なくなるものもあれば残るものもある。これまで過去から継承されてきたものには何か理由があるはずです。
100BANCHで活動するプロジェクトには「故(ふる)きを温(たず)ねて新(あたら)しきを知(し)る」という孔子の言葉のように、歴史や伝統から見えてきた未来へのヒントを元に活動しているプロジェクトがいます。そのメンバーと一緒に未来のヒントの探り方から、プロジェクトへ落とし込む方法について語っていきます。
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今回はオンライン配信での開催となります。
Peatixの配信観覧チケット(無料)に申し込みをいただいた方に配信URLをお知らせします。
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【ゲスト】
・小野ウどん(SAVE THE UDON)
・多田 真希子(AstroIkebana)
・奥野圭祐(Cinemally)
・大内遙河(TimeTravel at Shibuya)
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