• イベントレポート

誰と働くかで、活動が変化していく:実験報告会〜自分らしく働くU35のシゴト観〜

GARAGE Program※採択メンバー集まって、100BANCHでどんな活動をしているのかを話す「実験報告会」。毎月、集まったメンバーに共通するテーマでクロストークを行っています。

2019年11月28日のテーマは「自分らしく働くU35のシゴト観」。100BANCHのコミュニティマネージャーとして3人を見守ってきた加藤翼がモデレーターとなり、それぞれの働き方について話を聞かせてもらいました。

※これからの100年をつくる、U35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム

登壇プロジェクト

  • 「林業イノベーターのためのWEBメディア「ソマノベース」から林業に革命を。」soma no base 奥川季花
  • 「世界を変えるのは「オタク」の情熱。新しい世代のタクラミを、渋谷から。」OTACREATORS 下西竜二
  • 「目でも指でも読める文字で、インクルーシブなデザイン文化を渋谷から世界へ!」Braille Neue 高橋鴻介

子どもの頃の夢は、宇宙飛行士、経営コンサル、官僚

モデレーターを務めた100BANCHコミュニティマネージャー 加藤翼

モデレーターの加藤から最初に投げかけられた質問は「子どもの頃の夢はなんだった?」というもの。ソマノベースの奥川さんの答えは、意外にも「経営コンサルタント」。高校生の頃には、実際に話を聞いてみようとシンガポールまで行ったことがあるんだとか。

奥川:どんどん自分主導で進めていくクリエイティブな仕事だと思っていたんですけど、当時の自分には地道な作業が多いように見えてしまって。ちょっと違うかもと思った経験があります。

下西:僕は小学6年生のときには公認会計士、中学3年生のときは経産省のキャリア官僚でしたね。とにかく1番になりたくて、天下りするところまで想像をしていました。まさか、アイドルプロデューサーになるとは露ほども思わずに。

高橋:なんかみんなすごいな。僕はサッカー選手か宇宙飛行士になりたいって思ってました。

加藤:今の時代はやりたいことがあればなんにでもなれる時代だと思うんだけど、3人はどうして現在の働き方に至ったんだろう。

ソマノベース 奥川季花

 奥川:大学のころから林業の仕事をしたいとは思っていて。だけど林業に関わる会社ってあんまり知らなくて、最初は福岡でソーシャルビジネスを応援するような会社に就職しました。新卒でもいろんなことを任せてもらって、とにかく目まぐるしく働いた時期でしたね。
そんな中、林業の現場を知りたいという思いが強くなって辞めました。すぐに関西に帰って、その日暮らしみたいな生活をしながらでも、自分のやりたいことをやって生きていくことを決めて。100BANCHに応募したのもその頃です。

下西:僕は双極性障害なんですけど、その特徴として自分を天才だと思いこむところがあるんですよ。就職活動は全部落ちたんですが、どの面接官よりも僕のほうが優秀だぞって思い込んでしまって。じゃあ会社に入るより自分でやったほうがいいし、褒めて伸ばされたい自分にとって上司を選べないってリスクだと思っていたので起業をしたんです。

高橋:僕は就活を普通にした人間です。大学でデザインの勉強をして、Webの制作会社でバイトしていました。楽しかったけど、決められた要件のなかでデザインをしていくのがなんか違う気がして。コンセプトから関わりたい、自分でアイデアを出す側になりたい、と思って広告エージェンシーでインターンをして、プランナーとして働きはじめました。独立は選択肢になかったですね。1人でやるって怖いと思ってたし、今もあんまり考えてはいないんです。

 

ソマノベース

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OTACREATORS

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Braille Neue

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仕事と活動のバランス

加藤:100BANCHの活動って個人のwillから始まって、社会に対してアプローチしていくものが多いんです。だけどそれと同時に家賃を払って、ごはんを食べて、生きていかないといけない。

自己実現のための活動と、資本主義社会を回していくための仕事、生きていくためにどうバランスをとっているのか聞かせてもらえたら。

奥川:私はソマノベースを運営しながら、防災事業をする会社や林業ベンチャー、地域活性化をする社会法人など、4つの組織で働いています。私の活動はソマノベースで、このプロジェクトを通して“強い山”をつくっていきたいんです。ほかの活動はソマノベースにつながる経験をさせてもらっている感覚がありますね。どういう山づくりをしていけば土砂災害を防ぐ事ができるのを学ぶことができたり、日本全国の自治体や起業家の人たちと関わりを持つことができたり。 

高橋:働く時間の配分は自分で決めてるの? 

奥川:今は防災事業をする会社が7割、ソマノベースが2割、ほかが1割です。正直、ぜんぜん時間が足りないです。これを10年続けられるかって言われたら厳しいとは思うんですけど。

Braille Neue 高橋鴻介

高橋:僕は会社で仕事をしながら、個人活動としてBraille Neueをやっています。活動をはじめるきっかけになったのは、仕事で視覚障害を持つ方と話す機会があったことだったんです。知らなかったことや関わったことのないことと出会って、自分のなかをかき混ぜてくれるのが仕事っていう感覚がありますね。仕事と活動のどっちもあるから楽しくやれているというか。

下西:僕はライフワークがライスワークになっているので、毎日充実しています。ときどき好きなことだけで食えなくなるときもあるので、そのときはプライドを捨ててバイトをしたり。友人の起業家にはなにしてんのってばかにする人もいますけど、人のお金を使って赤字をほってるお前が言うな!って思うんですよね(笑)塾講師のバイトをしていた時に、これってプロデューサーと同じだなと感じたことがあって。アイドルをプロデュースするのと、子どもに勉強を教えるのは根本が同じ。ライスワークがライフワークに繋がったりすることもあります。

 

活動する環境が視点を上げていく

この日会場には、働き方や自分の仕事について考えている人も多く集まっている様子。マイクを会場に向けると「今やっている活動は、趣味とは違いますか?」という質問が寄せられました。 

OTACREATORS 下西竜二

下西:僕は趣味を仕事にした人間で。趣味ではなく、本気でやってることっていう感じですね。僕、アイドルが好きでプロデュースをはじめたんですけど、裏側とか見えちゃうわけですよ(笑)。だけど仕事としてはその子の人生を預かってるので、がっかりしようが本気でやる。僕のマネジメントが下手で3ヶ月で活動休止になっちゃったのですが、全財産つぎ込んで本気でした。 

高橋:1日1つ発明するのを日課にしているのですが、それは趣味に近いです。Braille Neueはそのなかから出てきた活動で。モチベーションとして自分が好きだから熱を持ってできています。使命感だけだと逆に失礼っていうか。自分の好きなことが世界につながっているのが健全な気がしています。

奥川:私は2人とぜんぜん違って。自分のやっていることを趣味と認識したことはないですね。怒りが原動力みたいなところがあって。
災害で被害が出てしまうことを目の当たりにしたり、林業って税金をうまく使えていないことを知っていて、そこから来る怒りが原動力になっているんです。 

高橋:怒りからプロジェクトが生まれていくんだ。考えたこともなかったです。モチベーションっていろいろな種類があっておもしろいですね。

会場からも多くの質問をいただきまし

お互いの働き方に関する価値観について意見が交差する中で、来場者からも質問が寄せられます。

来場者:私はあんまりやりたいこともないし、新しいことを生み出すっていうことに関心を持てていなくて。みなさんはどうして新しいことにチャレンジし続けることができるんですか。

 高橋:僕が新しいことをやっているモチベーションは1つです。自分がいるからできる仕事をしたいっていう、強烈な承認欲求があるんですよ。関わる仕事は、自分がいたからこそ生まれたものにしたいんです。

下西:学生のころからNPOをつくったりしていたこともあって、年上の人と仕事をすることが多かったんですよね。若いんだからどんどんアイデア出してよって求められる機会が圧倒的に多かった。だから今、新しいことをやっていくのがあたり前になっているんだと思います。

奥川:私の場合は、周りに新しいことをするのが好きな人が多いんですよね。新しいことをやっていくのが普通っていう環境にいる。もし新しいことを考えられるようになりたいんだったら、そういう人がたくさんいる100BANCHみたいなところに入るのがいいんじゃないですか。

 高橋:僕が100BANCHに来て1番よかったと思うのが、メンターの存在です。最初は個人ワークの延長で、Braille Neueを使った絵本でも出せればって思ってたんです。だけどメンターの市川さんが「もっと公共施設とかに導入してもらわないと、広がっていかないよ」って言われて。火を付けてもらったというか、視点を上げてもらったことが、今の活動につながっています。「渋谷公会堂に入れるくらいの気概でやっていこうよ」と入居時の面談で話していたことが実現 しました。

下西:僕は最初、ふんどしのプロジェクトが採択されるんだからオタクも行けるだろうって、100BANCHに応募したんです。入居が決まったときには、大きく背中を押してもらえた気がしましたね。さらにOTACREATORSを法人化して、最初に仕事をさせてもらえたのがPanasonicさんだったんです。誰もが知っている会社から仕事を受けたっていうのは、勇気が湧きました。これでいいんだってアクセルを踏む瞬間になったと思います。

加藤:100BANCHではメンターさんと仕事をするとか、ほかのメンバーと関わるとか、お金じゃないスキルの交換があったりとか。ここでエコシステム、経済が回っているのがおもしろいところだと思いますね。

 

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誰と働くか、どのような環境に属するか。

働き方の選択肢が広がった今、一緒に活動していく人を選ぶことは、自分がどう在りたいかを決めていくことに近いのかもしれません。

GARAGE Programで活動することに関心を持ったら、100BANCHにはどんな人たちが関わっているのか、まずは空気を体感しに来てみてはいかがでしょうか。

 

(写真:mai tanaka) 

<次回実験報告会>

12/25(水)実験報告会 未来のshopping 〜消費から共感へ〜

日時:2019年12月25日 19:30〜21:30(開場19:00)

参加費:500円(35歳未満の方は無料)

場所:100BANCH 3F

URL:https://100banch.com/events/23701/

 

僕らの欲しいモノの在り方は少しづつ変わってきている。

100BANCHでは「こんな未来をつくりたい」「たった1人でも本当に喜ぶ人のために」そんな想いを胸にモノづくりをしているメンバーがたくさんいます。そんなメンバーたちのモノづくりをはじめとして、これからのモノのあり方、買い方、贈り方、、、そして未来のSHOPPINGについて語ります。

【ゲスト】

洪 秀日 (Suil Hong) NODOKA

桑原 沙也加 (Sayaka Kuwabara) Whom – Be unforgettable girl

瀬戸山 匠 (Takumi Setoyama) YASAI no CANVAS

工藤 駿 (Shun Kudo)  KOTORI

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これからの100年をつくるU35の若きリーダーのプロジェクトとその社会実験を推進するアクセラレーションプログラムが、GARAGE Programです。月に一度の審査会で採択されたチームは、プロジェクトスペースやイベントスペースを無償で利用可能。各分野のトップランナーたちと共に新たな価値の創造に挑戦してみませんか?

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