• イベントレポート

7月14日(日)まで開催中のナナナナ祭。渋谷駅から徒歩2分で、100年先の未来を豊かにする文化の芽を体験しませんか?

100BANCHナナナナ祭2019>> https://100banch.com/nanananasai/2019

 

魚と植物の共生環境「小さな地球」作りに、子どもたちが挑戦

イベント詳細:https://100banch.com/events/17860/

朝9時30分、渋谷の涼しい曇り空の中、ワークショップに親子連れが集まってきました。

《小さな地球》とは、魚と植物の共生環境「アクアポニックス」のこと。このワークショップでは、予め用意されたアクアポニックスの装置に、子どもたちが作ったプログラムをインストールし、魚と植物が共生するために必要な水の循環を作ることに挑戦しました。詳しい様子は、他の100BANCH内のプロジェクトとともに、後日レポートを公開します。

 

現代の《街》の意味、未来の《街》を考えるイベント「未来の街」

イベント詳細:https://100banch.com/events/18112/

お昼を過ぎて、ぐっと大人の来場者が増えてきました。13時半開始のイベント「未来の街」では、受付に人だかりができ、少し時間を押しての開催となりました。「未来の街」は「人々のライフスタイルや暮らし方がどうなるのか、そこから未来の街を考えてみたい」というテーマが設定されていました。

冒頭で、司会から「街をテーマにしようと考えた時に、テクノロジーをもとにした街の進化は、単に人のいない『計画的な街』になっていないか?という問いに直面していると語られました。では、ライフスタイルが多様になり、それにあわせて住まいも多様に変化している現在、街はどう変わっていくのでしょうか? このテーマについて様々なバックグラウンドを持つ4人をゲストに迎えてワークショップを行いました。

(写真向かって右から)

加藤優一さん((株)銭湯ぐらし代表/(社)最上のくらし舎代表/OpenA+公共R不動産):自身の経験から「銭湯のあるくらし=余白のある暮らし」であり、日常にある豊かさであるという気付きをもとに銭湯を基点とした街の再生やコミュニティづくりを手掛ける。アパートを銭湯と一体化した施設に改装して街の人達が出入りできる銭湯とともに暮らす経験ができるプロジェクトなどを実践。また、世界の衰退した街が、どのように再生したかを調査し、書籍にまとめた。(http://sentogurashi.com/

菊池紳さん(いきものCo./たべものCo.代表):「ひとがその地域に行きたくなる設計」に取り組む。以前はSENDというサービス(https://send.farm/)で個人農家を支え、約6000件の個人農家と個店レストランをつなぐ仕組みづくりを行った。

齊藤志野歩さん(N9.5代表取締役):不動産事業には個人を対象とするものと、街を対象とするものがあり、そのプライベートとパブリックの間をシームレスに繋ぐような取組みをしている。西荻窪の戸建て住宅をリノベーションし、シェアハウスを企画から手掛けた。そのシェアハウスには、街のシェアキッチン「okatte」を増築するなど、街との関わり方を探る取組みも実施。(https://www.n95.jp/

船橋慶延さん(ジオファーム八幡平代表理事):馬をライフワークに活動するなかで、震災をキッカケに岩手県八幡平の競馬馬でも人気のジオファーム八幡平へ移住。当時は競馬、乗馬体験など、考えられる社会状況ではなく経営に苦しんだ。しかし、 農家との交流で馬のフンは臭わずいい堆肥であることなど良さを知り、商品化。堆肥需要閑散期にマッシュルーム栽培・販売を開始。「馬が生き残ることができる」という付加価値への共感を集める。(http://geo-farm.com/

ワークショップの第一部のお題は「衣食住+アルファ」。衣食住に加えるとしたら、それは何か?を漢字1文字で表現しました。まずはゲストのみなさんの答えから発表されました。

船橋さんは【馬】。実は、馬は人類との関わりが深い。馬がいたからこそ、人類はここまで発展したと言います。当初は食べ物でもあった馬は、5000万年前から移動や輸送手段として人間の肉体的な負担を支えてくれていた。いまは、メンタルや精神を支えてくれるのが馬の存在意義とのこと。

加藤さんは【間】。衣食住で埋め尽くされる感じが嫌で、間を作りたい。空間としての間が必要というお話をされました。

齋藤さんは【交】。衣食住は自分でするもの、誰かと交換するイメージ、コミュニケーションを交わすことが必要と話します。街であれば、ひととの向き合い方を、空間の設計でコミュニケーションをつくる場作りが必要。コミュニケーションは、対人だけのものと思ってしまうが、人間はあらゆるものとコミュニケーションするので、建物のなかの温度やモノによってコミュニケーションの質が変わる。それを踏まえてコミュニケーションの質を高めたいと語りました。

菊池さんは【環】。循環の環です。東京では感じにくいことですが、田舎だと誰が何をどう作っているのかが繋がっていて、よくわかるそう。東京では「これを買っていることは、正解なのか?」と不安になることがあるけれど、田舎ではそれがわかるから安心だと語りました。

参加者もそれぞれの「+アルファ」を考え、周囲とシェアするワークショップに取り組みました。

印象的なものとして取り上げられたのは、【死】。これを書いた参加者によるると「衣食住は生きることだけれど、そこには死がないから」。また、【創】という言葉もいくつか見られました。この言葉に関しては「衣食住は安心安全なものだが、そこにクリエイティブを入れたい。これまでプロが作ったものを買ってきた。いまは情報がたくさんあって、自分で作ることができるようになった」という意見が。

この意見から、菊池さんは「衣食住は工業化されていて、大量生産されたものを消費するイメージがあるが、ロフトワークさんなど、自分で作るような流れができている。いまはまた、シェフたちが道具を自ら作り始めている。この先、料理を作るプロセスに道具をつくることも組み込まれていく」と語りました。

こうして衣食住+アルファを考えてきましたが、「衣食住=街」ではありません。このあと、街とは何かをゲストそれぞれの解釈を交えたトークセッションが行われました。

そのなかで齋藤さんは、「現在は繋がりがない」と嘆くのは、昔は当たり前にあった繋がりやしがらみからの解放をもとめ、自由を最大化した結果の「揺り戻し」だと語りました。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)に代表されるような、昔ながらの地域の繋がりを取り戻したいと言われるが、それが嫌だったから田舎から出てきて都会に住んだ、と指摘。だからこそ、昔のままの不自由な共生にもどるのではなく、自由を守ったまま繋がる新しいコミュニティづくり」が重要ではないかとまとめました。

また、菊池さんからは、「未来の街はSF的なハイテクな世界観なのではなく、どこかノスタルジックなものかもしれない」という総括がありました。「未来の街」の姿は、どのようなものなのかを、様々な視点で考える、熱のこもったセッションとなったようです。

 

愛されコミュニティには「言動一致の信頼」が大事! 従業員の立場で考えた“愛される会社”

イベント詳細:https://100banch.com/events/17895/

《愛されるコミュニティ》テーマは、多くの方の関心を集め当日は定員を10名も超えた飛び入り参加がありました。イベントは、ゲストで働き方の新しいWORKMILL編集長の山田雄介さんから「100年後のコミュニティについて自分はお話できないが、愛される会社の事例とエッセンスをお伝えしたいと思います」と始まりました。

山田さんは、会社には「会社自体がコミュニティ」という考えと、「会社やサービスを愛するファンコミュニティ」という、2種類のコミュニティ視点があると語り。顧客に愛されるスーツケースブランド『AWAY』、従業員に愛される画像共有サービス『Pintarest』などの事例を紹介しました。

創業わずか3年で世界40カ国に展開、100万個のスーツケースを売り上げたAWAY。「旅好きのコミュニティをつくる」ことをミッションに掲げており、まずは自分たちの世界観をInstagramで発信。そして、自分たちのスーツケースを持って、誰も行かないような場所を旅し、楽しさを見つけて伝える雑誌「HERE」を製作。店舗を構えたのは最後の段階だったといいます。そして、AWAYのファンコミュニティと積極的にコミュニケーションをとり、フィードバックを受け取って製品に反映しています。

IPO上場し、初値は公開価格を25%上回ったPintarest。世界中の人々から愛されているサービスですが、「自分の好きなことがキャリアになって、自己実現ができる職場」でもあり、従業員みんなが会社とサービスを愛しています。同社には2つの特徴があります。『Be authentic』として素直に話し合う、自分らしさを受け入れてくれる環境であること。そして『Knit』は仕事を休みにして、2日間にかけ、世界中から全社員を集めて、自分の得意なことをほかの社員にふるまうイベントを開催。例えば、絵を書いたり音楽を演奏したりして、コミュニケーションをとり、自分のことを体現して伝える機会を設けています。この2つの取り組みは、会社の文化や多様性を作り出し、自分たちが愛するサービスを生み出す要素になっています。

また、山田さんが取材した、世界の広告業界で活躍するクリエイティブ・ディレクター、レイ・イナモト氏は「ストーリーテリングからトラストビルディングに変化している。SNSが発達し、現在は誰でもストーリーを作って発信できる。だからこそ、きちんとその言葉に行動が伴っているかが重要になってくる。行動することで信頼が生まれて、愛されるブランドになる」と語ったそうです。

では、愛されるためには、どうすればいいのでしょうか?
山田さんは「感情・経験・記憶」をきちんと「言語化・可視化・体現化」する。ブランドとして発信していることと、行動が合っているかを自ら問い続ける姿勢が、愛されるために重要である、と山田さんは語りました。

まずは記憶してもらうこと。記憶にとどめてもらうために知ってもらい、理解をしてもらう。そうして自分たちのフォロワーを増やしていきます。フォロワーからファンになってもらうためには、感情に訴える。世界観に共感してもらうということが必要です。さらに、経験をしてもらう、行動を起こして体験してもらうことで、信頼が生まれるからです。

その後、来場者が3人ずつのグループになり、プロジェクト・メンバーを交えて「コミュニティが愛されるための要素として、どんなものがあるかを各自で考え、共有する」というがワークショップ行われました。

ワークショップにモデレーションで参加したプロジェクト・メンバーは次の5名。

  • 「企業が最初のファンをどう獲得したか?」をテーマにメディアを運営 Launcheers 町田大地
  • すべての家族が楽しく家事シェアできるアプリを開発 Smuzoo吉田寛
  • お茶を使ったコミュニケーションを促進するお茶のブランド TeaRoom山本航平
  • 映画や観劇を一緒にする相手をマッチングするエンタメシェアリングサービス Cinemally奥野圭祐
  • 日本人のキャラクターをアップデートするnominico 吉田亜香音

筆が止まっているひとの姿が多く見られたため、ファシリテーターの吉田から、「例として、会社のミッションや、社内部活、社員の熱量、福利厚生など、働く環境で考えてみてください」というコメントが。ここから、一気に会場の集中力が上がっていきます。

チームの意見を3つずつ発表する時間には、「透明性」「ゆとり」「共感」といったワードや、「事業目的が明確」「自己裁量で仕事ができる」「価観の共有ができること」「パラレルな働きができること」といった、様々な意見が飛び出し、それぞれの理由に会場中で同意したり、納得したりといった様子が見られました。

また100BANCHの加藤翼からは「100BANCHで大事にしているのが、サイコロジカルセイフティ、つまりこのコミュニティに自分がいていい、何を語ってもいいといいう安心感。われわれの目線は100年先。IPOや売上など、細かいことで戦おうとは思わない。アプローチや好きなものが違っていても、みんなで一緒に頑張れる」という言葉があり、コミュニティとしての100BANCHが大切にしていることが語られました。

また、ゲストの山田さんからは、「一時的なプロジェクトであれば、ヴィジョンだけでもいいかもしれないが、サスティナブルなコミュニティを作るのは、いかにゆとりを作って、安心を持たせるかが大切。時間と場所と、ルールをそれぞれつくる。場所であれば、何も決めない場所をつくる。余白が大事。白黒つけずにグレーにしておくと、自分の解釈で(さまざまなことに挑戦)でき、結果としてサスティナブルな環境ができる」。というコメントがありました。

イベントが終わって、懇親会の時間になっても、参加者の皆さんはなかなか席を立たず、議論に花が咲いていました。懇親会の最後、次のイベント準備が始まっても、あちこちで名刺を交換し合っている姿が。本イベントで、新たなコミュニティが生まれた瞬間を、垣間見ることができました。

(すでに懇親会の飲み物も用意されているのに、ほとんどのひとがその場を離れず話し続けている状態。白熱した議論の余韻が冷めやらない様子)

 

渋谷川沿い: 動く家、BUSHOUSEでヨガ体験で驚きのリラックス効果も!?

イベント詳細:https://100banch.com/events/17963/

バスのなかでヨガ……と聞くと、びっくりするかもしれません。キャンピングカーより大きなサイズのバスを改装した動く家、BUSHOUSE。そのなかで行われたヨガ体験は、一体どういったものだったのでしょうか。

ヨガインストラクターの方に伺ってみると、「はじめは面白そうでいいなとは思ったんですが、バスは狭いし、リラックスできる空間が作れるかどうか心配だった。でも、実際に内装を見てみたら、和室のようなしつらえになっていたため、安心した。」そうです。

黒を基調とし、竹のオブジェがあしらわれたBUSHOUSE内は、まさに小さな茶室のようでした。また、ヨガで屍のポーズと言われる、仰向けで全身の力を抜くポーズのときに、寝てしまったという参加者の方も続出。一般的なスタジオより狭い空間でのヨガ体験ですが、他の人との距離などは気にならず、十分にリラックスできたようです。

 

取材中、外国人の男性たちが興味津々でバスの見学に来ていました。バスの中までじっくりと見ていた男性は毎週ヨガをしているとのこと。渋谷川沿いに停められているBUSHOUSEは、コミュニケーションのキッカケにもなっていました。

100BANCHの夏祭り『ナナナナ祭』は、7月14日まで開催中。次世代リーダーが思い描く未来のあり方を世に問いかけ、来場者とともに深めていきます。創造力がみなぎる祭りをぜひ体感してください。

 

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