LEADER INTERVIEW

2019.08.12 Mon

百人百様の鳩首凝議ーーコラボイベントを通して味わった、人とつくる甘みと苦み
【ナナナナ祭2019 ファンコミュニティ鳩首凝議】

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「身近なコミュニティである会社が愛される要素って、なんだろう」

7月6日(土)100BANCH ナナナナ祭2019初日、3階LOFTスペースでは「ファンコミュニティ 鳩首凝議(きゅうしゅぎょうぎ) 」と題したイベントが開催されました。

前半は、「はたらく」の新しい価値を挽きだすWEBマガジン WORK MILL 編集長の山田雄介(やまだ・ゆうすけ)さんによる、「愛される“会社”から考える、愛される“コミュニティ”」と題したプレゼンテーション。その後、会社が愛される要素を考えるワークショップを経て、参加者からはさまざまなアイデアが飛び交いました。

このイベントを企画していたのは、100BANCHで活動する5つのプロジェクトメンバーです。なかでも中心となり進行役を担っていたのが、ノミニコの吉川亜香音(よしかわ・あかね)さんでした。

吉川さんにとってはじめて他のプロジェクトとコラボし、100BANCHで開催したというこのイベント。彼女がこの機会に味わったのは、人と共創することの甘みと苦みだったそう。準備から開催まで、葛藤しながらも仮説と実験を繰り返す、試行錯誤の日々を振り返ってもらいました。

(構成:中嶋希実 / 写真:鈴木渉、一部100BANCH)

■イベント内容についてはナナナナ祭 DAY1の速報レポートをご覧ください。
http://100banch.com/magazine/19704/

──吉川さんは、「今日飲みに行かない?」を気軽にするコミュニケーションアプリ「ノミニコ」のリリースを準備されていますよね。どんな経緯でこのイベントを担当することになったんでしょう。

ふだんは企業で、UXデザイナーとして働いています。デザイン系の記事をnoteに書いていたら、それを読んで「お話したいです」って連絡をくれたのが、今ノミニコを一緒に開発している中右(なかう)君なんです。話しているうちに、よかったら一緒にやらない?って話になって。彼がここ100BANCHでアルバイトをしていたこともあって、GAREGE Programに応募することになりました。

 

 

つくっているのは、飲みに行きたいと思った時にSNSの友達を簡単に誘えるアプリです(現在はTwitterのみ)。素直に行動できない人たちのハードルを下げて、日本人のキャラクターをアップデートすることを目指しています。100BANCHはミーティングの場として使っている感じで、正直、他のプロジェクトメンバーと関わる機会はほとんどありませんでした。

月に1度行なわれている100BANCH内イベントに参加した時にナナナナ祭の話を聞いて、他のプロジェクトとコラボしたイベント企画を推奨しているところにピンときて。私たちは資本金もほとんどないので、この場をうまく活用すればPRにもなるかもしれないと思ったんです。

私はけっこう考えてから動くんですけど、中右くんは即行動のタイプで。その場で「やりません? やります!」って手を挙げちゃったんですよ。アイデアはなかったんですけど、それが結果的に功を奏したというか。
コラボを理由に、まず同じアプリサービスをやっているSmuzooの吉田さん、思考が近いと感じたCinemallyの奥野さんに声をかけてご一緒できることになりました。

 

 

最終的にLauncheersTeaRoomも加わって、5つのプロジェクトが関わる企画として進んできました。みんなサービスをつくっていることもあって、「想定顧客のことを考えないといけないよね」とか「どういう体験が必要で、そのための手段を洗い出そう」とか。最初はけっこう、企画書にそういった目的やターゲット、目標などをロジカルにディスカッションしていました。

それぞれのサービスをPRできるイベントがいいんじゃないか、参加者に課題を解決するアイデアを出してもらうのはどうかとか。事業やサービスに直接活かせるものがいいよねって話していて。100BANCHに企画案を提出する段階では「どのようにファンが集まるのテーマにしたアイアソしよう」いう内容だったんです。

──最初に考えていたのは、実際に行ったものとは違う内容だったんですね。

そうなんですよ。大きく変わっていったのはここからで。100BANCHのコミュニティマネージャーである加藤さんから「もうすこしファンコミュニティっていうのをベースにブラッシュアップしてくれない」ってフィードバックをいただいたんです。

どうしたらPRになるだろうとか、参加者にサービスのアイデアを出してもらうっていうのは私たち運営側のメリットでしかないんですよね。フィードバックをきっかけに、100BANCHという「100年先を豊かにする実験区」で試すなら、未来のことを考える企画にしようっていうところに立ち戻りました。

 

 

──自分たちのサービスの課題解決ができるイベントではなくて、この場所らしさを考えるようになったんですね。

はい。それでもほかのメンバーからは、せっかくイベントをするならどれだけPRできたかも大切だっていう意見もあって。実は、けっこう対立したんです。

直接フィードバックを受けた私は考えを改め直して、参加した人が共感しやすい、抽象的なテーマを設定するのがいいんじゃないかと考えるようになりました。でも、それじゃ参加者がなにをディスカッションしていいかわからないし、なにを持って帰れるんだっていう意見もあって、その通りだなって葛藤して。

最終的には、前半を勉強会にして知識のある方に話をしてもらう。それをベースに後半はディスカッションする時間をつくる形式をみなさんに提案して、納得してもらいました。

 

──ワークショップの部分を設計するとき、どんなことを考えていたんですか。

すぐに使えるティップスは手元の課題解決にしかならないし、だからといって100年先の未来の姿を想像するのは難しい。だから、20年、30年くらいの近未来を考える課題提起が必要だと思っていました。

目の前の課題解決については、私たちなんかより専門家が答えを知っている。ちょっとだけ想像のリミットを外してみて、自分たちが心地よいと思う「コミュニティの未来」を想像してみる。なんでもいいから欲しいもの、できることを考えて、革新的なアイデアを出してもらいたかったのです。

 

 

ワークショップの最後に出てくる答えに正解はないので、参加者の方から出たアイデアはチームごとに多様性があり、面白いものばかりで、いいディスカッションになったのだと思っています。

正直、コラボしてイベントをつくってきた他のプロジェクト全員のやりたいことはできなかったし、みんな納得のいくイベントだったのかはわからないんですけどね。

 

──意見や立場の違う人たちが集まって、全員が納得するのは簡単なことではないですよね。吉川さんは最初からリーダ−的な動きをしていたんですか。

最初はそういう役割分担はありませんでした。みなさんお忙しいことを知っていたし、なんとなくなっちゃった感じなんです。企画にフィードバックをいただいたあたりから、自然と私がリーダーっぽくなっていきました。

私も頑張らないとって、自分たちで全部やりすぎちゃったところがあって。今まで積極的に参加してくださっていた方からも任せてもらうことが増えたんです。だけど、なんとなくディスカッションが生まれない空気になったというか、意見を出しにくい状況をつくってしまっていたんだと思います。

 

──役割がくっきりしていくと同時に、関係が変わってしまったんですね。

人って役割が与えられると、自分がなにをしなくちゃいけないのか思考ができますよね。だから肩書きやポジションが明確になると、すごく力を発揮できるものだと思っています。

今回の場合は、リーダーができた瞬間にいろいろ引き受ける構図になってしまって。企画を出す人、オペレーションを考える人とか、役割分担ができていたら、コラボのやりかたも変わっていたかもしれません。

 

 

──お互いの意見が衝突することもあったなかで、リーダーを担っていくのは簡単なことではないと思います。なにがモチベーションになっていたんでしょう。

もともと責任感が強いほうだと思います。あとは100BANCHで企画を発表したり、告知がはじまったり、その都度釘を刺されるようなタイミングが定期的にあったことが、前進させなきゃいけないと自分に言い聞かせるプレッシャーになりましたね。

実は、集客にかなり苦戦していて。加藤さんに「最低集客人数ってありますか。そこにたどり着かなかったらどうしよう…」と相談したことがあるんです。
そうしたら、「まだこれから増やせる、集客がんばりましょう!」って背中を押してもらって。最終的に30名以上の方に参加していただきました。本当にいろいろな場面で支えていただきましたね。

──イベントの準備から開催までを振り返って、今、考えることはありますか。

コラボしたみなさんとはメッセンジャーでやりとりをすることが多かったんですけど、もっとオフラインで話せばよかったと思っています。みなさんおもしろい人たちだし、お酒を飲みに行きたかった。100BANCHで会議の場で対面して話すのと、ご飯食べながらふらっと話すのはやっぱり違う気がして。

また、今回のイベントに合わせて、ノミニコのローンチも準備を進めていたんです。そっちもけっこう逼迫していて、結果LPもアプリも間に合わないし、イベントのブースでやろうとしていた物販もぜんぜんもできませんでした。全部自分でやろうとしたのが駄目でしたね。「責任感が強い」なんて言っておきながら、ナナナナ祭には全てを間に合わせることはできなかったんです。

 

ーナナナナ祭のノミニコのブースにはマスコットキャラクターのレモンの展示のみ

 

私はフリーランスで仕事をしていた時期もあるんですけど。子どものころからひとり行動も多くて、集団に馴染むのがあまり得意じゃないんです。ローンチの準備中も自分のなかですごく溜め込んでいた時期があって、悩んでいることをずっとメンバーに言えなかったんです。もうだめだと思って、メンバーを飲みに誘いました。すごく悩んでいて、開発を一度止めたいんだって、正直に話したんです。

そしたら、「ぜんぜんいいよ、吉川さんがやりたいようにしようよ」って言ってくれて。時間を気にせず、ずっと話を聞いてもらいました。ふだんslackでやり取りするのとは違って、開放された感じがあったんです。私も思わず泣いてしまって。

 

──文字でやりとりしていると、感情が見えにくいことがありますよね。

ここまで話を聞いてくれるチームのメンバーをもっと頼ろうと思えたし、お互いの内面が話せたことでチームの信頼度が増したんですよね。

 

──イベントのコラボも、チームでつくることも。人と一緒になにかをするのって、楽しさもあり、大変でもありますよね。

めちゃくちゃ大変ですよね。そのなかで、私にとって大切なのは、「誰とするか」だと改めて実感しました。

今って個人で動くことが増えている時代ですけど、集まることで個人の力を100倍発揮できることもあるんだっていう体験をして。このイベントが終わって、少しでも悩んだら深刻になる前に(笑って話せる時に)とにかく話したり、期待していることを具体的に共有する、など、家族や会社、ほかのコミュニティでも振る舞いを変えていこうと思えるようになりました。本当にいい経験をさせていただきました。

いろいろ偉そうに話してきましたけど、なにより学んだのは、イベントって大変だからあんまり気軽にやっちゃいけないんだってことなんですけどね(笑)

 

 

***
ハキハキしっかり者の吉川さんですが、試行錯誤をしながら進んできた様子、未熟な部分を包み隠さず話してくれるのがとても印象的でした。その姿は、イベント時WORK MILLの山田さんが紹介していた「きちんとその言葉に行動が伴っているかが重要になってくる。行動することで信頼が生まれて、愛されるブランドになる」という話とも重なります。

どんなこともまっすぐに、自分の糧にして進んでいく彼女のサービス・ノミニコは、まもなくローンチ予定とのこと。これからどんな展開がまっているのか、今から楽しみです。

 

■ファンコミュニティ鳩首凝議 企画プロジェクトサービスサイト
ノミニコー飲みに行かない?をもっとシンプルにする アプリ
Cinemallyーシネマリーはあなたの『好き』を分かち合う、エンタメシェアリングサービス

SUMUZOOー家事を楽しくフェアにするタスクとシェアの管理アプリ
Launcheersー挑戦しよう、したいと思っている方を応援する事に特化した情報メディア
TeaRoomーCulture for Future「お茶で余白ある社会をつくる」というミッションのもと、様々な事業を展開

WRITER

中嶋 希実

編集・チャイ屋

東京と茨城を行ったり来たり。話を聞いたり、書いたり、動かしたりしながらいくつかのプロジェクトに関わっています。ときどきチャイ屋「きみちゃい」をひらきます。

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