- イベントレポート
100年先の未来を描く5プロジェクトが登壇 2024年4月 GARAGE Program実験報告会
未知なる生物「蛸」から、人の社会を問い直す
足の一本一本に独立した知性がある「蛸」から、人の社会を問い直す体験型プログラムをつくります。
「蛸」をモチーフに制作した、8人で担ぐふにゃふにゃした竹製の作品《蛸みこし》を用い、人の社会を問い直す体験型プログラムをつくります。「蛸」という圧倒的な他者から、身体的かつ観念的に、人間の集まりを再考する体験は、一体感と、それぞれの反応の差異を同時に引き出します。対象となる社会(企業、地域、学校、家族など)の新しい可能性を拓く体験にしたいです。
《蛸みこし》はこれまで、国内外の各地のリサーチをベースに、その土地に住む人々と共に実施してきました。それらの経験を経て《蛸みこし》は、美術館や芸術祭などにおける実践としてだけではなく、多くの人の主体性や協調性を輝かせる性質があると考えるようになりました。むしろアートの外側で実施する方が、多くの予想外の反応が生まれ、面白さや新しい気付きをもらえるように思っています。100BANCHで活動することで、企業や街との関わりの中での《蛸みこし》の可能性を探っていきたいです。
お祭りは、コミュニティが多様性を維持しながら存続していく上で欠かせないものです。 ここ100年の間に、生活や仕事のスタイルは激変し、多種多様なコミュニティが同時に複雑に存在するようになりました。それでも、それぞれのコミュニティに適したお祭りは必要であると私は考え、それがどのように発生するのかを探究と実践を続けていきたいです。 《蛸みこし》は、お神輿を担ぐ一体感、また、蛸という全人類にとってよく分からないものを囲むことによって、社会と個人を巡る問いを、学術的な分野に押し込めず、奇妙な高揚を共有しながら、みんなで体験できる装置になっていると考えています。
1.トークイベントの実施|これでまでの《蛸みこし》の実践を通して関わってきた研究者、表現者、学生などをゲストに招いた公開ディスカッション
2.《蛸みこし》の実施|企業や学生など、特定のコミュニティに属する人にを対象に、《蛸みこし》を担いで渋谷の街中に出ていく活動
3.《蛸みこし》参加者へのヒアリング|2.の参加者に《蛸みこし》参加前と後でどう意識が変化したかをヒアリングしてまとめる
企業や街との関わりの中での《蛸みこし》の可能性を探求する。芸術的な体験と社会課題がどうつながり、どう作用していくかをリサーチし、参加者の人生を豊かにするための一助になるようなプログラムを作りたいと考えています。
現代社会コミュニティへの問いから、新しいお祭りの形をつくる。
プロジェクトリーダー野口竜平
1992年東京生まれ。武蔵野美術大学油絵学科版画専攻卒。パフォーマンスアートを学んだことと、早稲田大学探検部で活動したことが契機となり、”遭遇の方法”をつくるべく芸術と探検を照らし合わせる「芸術探検家」として活動するようになる。
主な活動に、ニューヨーク方面へヒッチハイク、太平洋とタイヤひっぱり、8人の蛸みこし、など。
プロジェクトの歩み