未来を彩る光と科学の融合、
夢と驚きが広がる人と生物が共生する新たな光景を描く
BioCraft
未来を彩る光と科学の融合、
夢と驚きが広がる人と生物が共生する新たな光景を描く
BioCraftは「未来の世界を人と生物が共生し、バイオ技術との調和が感じられる、わくわくするような空間にすること」をビジョンに活動しているプロジェクトです。
今回は、活動の一つである「発光細菌の光」を用いた作品をDESIGNARTにて展示しました。様々な分野のクリエイターとコラボレーションし、発光細菌の可能性を引き出す作品を製作した、コラボレーションの裏話や展示の様子をBioCraftの西村がレポートします。
こんにちは。BioCraftの西村です。
私たちは、「未来の世界を人と生物が共生し、バイオ技術との調和」を目指して活動しています。プロジェクトの一つとして、発光細菌の光を用いたランプ製作を行っています。これまでに発光細菌の「長期保存」、「通常培養」、「発光細菌の発光コントロール」が技術として確立できました。
今回の展示では、「にゅ~書道開発委員会」さん、「LifehackMaterial」さん、「ILL PARTY」さんにご協力頂き、展示を行いました。今後も様々なプロジェクトの方とコラボレーションしていきたいので、本記事をご覧になり、コラボレーションに興味がある方は、以下までご連絡ください!
にゅ~書道開発委員会さんとのコラボ
みょん太郎さんにご協力頂き、発光細菌を使って筆で文字を書いて頂きました。みょん太郎さんの字はとても美しく、発光細菌の光と見事に調和し、まるで生きているかのような文字が浮かび上がります。発光細菌による書道作品は世界初であり、その美しさは見る者を魅了します。特に、日本の伝統的な文字が、神秘的な光を放ちながら浮かび上がる様子は、まさに芸術作品でした。
LifehackMaterialさんとのコラボ
LifehackMaterialの五月女さんにご協力頂き、発光細菌の光に味を出すための入れ物を3Dプリンターで作って頂きました。今回の入れ物は、波のような造形をした形となっており、海の中の波を表現しています。発光している発光細菌をこの入れ物に入れると、発光細菌が出す碧色の光がまるで波の中を揺れているような光を見ることができます。
ILL PARTYさんとのコラボ
ILL PARTYのぐみさんと、にゅ~書道開発委員会のみょん太郎さんにご協力いただき、短歌を発光細菌で文字にしました。上の句はみょん太郎さんが、下の句はぐみさんが考えてくれました。発光細菌の光の文字は、半日から1日後に浮き出て、文字が分かるようになります。その後、約2日後から光が徐々に消えていくように設計しました。したがって、発光細菌で書いた光の文字のお手紙を渡したときには、文字が見えず、一日後に文字が光り、文章がわかります。一日経たないとメッセージがわからないので、ドキドキしながらラブレターの内容を待つことができますね。
発光細菌の光を使ってラブレターを渡してみたい方は、ぜひご連絡ください。
– 上の句:「あなたのことが 好きでした」
– 下の句:「いい人が していたことを してみたの まだ君のことが 好きじゃないから」
– 上の句:「あなたのことが 好き焼き」
– 下の句:「隙のある かわいい人の 振りをする やきもきしたり したくないから」
今回、100BANCH初の暗室内での展示を行いました。来場者は、深海200mと同じ暗闇に包まれ、まるで深海探検をしているような感覚を味わうことができます。そこでは、深海生物が見ているのと同じ微光、発光細菌の光が幻想的な世界を作り出します。今回のディレクションは、チームメンバーの佐久間さんが担当しました。
DESIGNARTは10日間開催され、その間毎日発光細菌の光を絶やすことなく展示し続けました。毎日異なる発光細菌の展示を行い、発光細菌で書いた文字を模様替えして作品を展示しました。この挑戦を通して、発光細菌の可能性をさらに広げることができたと考えています。
私たちは、ケンサキイカの表皮に共生する発光細菌に注目し、その神秘的な光を人工的に再現することを目指しました。深海から採取したケンサキイカの表皮から発光細菌を分離し、専用の培地で培養を開始します。この過程は非常に繊細で、温度や栄養バランスを厳密に管理する必要があります。約3ヶ月という長い時間をかけ、最も強く安定して発光する菌株を厳選し、この高輝度の菌を瓶やプレートで培養し、その輝きを鑑賞できるようにしました。
※写真一番手前の「ICHIGIKU」の文字アートは、ICHIGIKUのきわえりさんに描いて頂きました。
ゼロルクスに近い、海洋生物が見ている微光、「海の中の燈火(ひかり)」を展示しました。海の中に住む発光生物の碧光は、光害の影響を軽減する可能性を秘めています。現在、世界人口の約3分の1が光害のために天の川を見られず、都市部では星空がほとんど見えません。光害は生態系にも影響を与え、動植物の生態リズムを乱します。また、不必要な照明はエネルギーを浪費し、環境負荷を増大させます。さらに、強い光は人間の睡眠の質を低下させ、健康に悪影響を及ぼします。発光細菌の利用は、これらの問題を解決する新たな手段として期待されています。
今までは技術方面に注力していましたが、やっと作品ができるところまで来たため、これからは子どもたちがわくわくするような、科学技術のコンテンツや教育教材を作っていきたいです。またクリエイターや新しい社会実装型のバイオクラフト(バイオ技術を用いた製品)を作って、より多くの方にわくわくするような未来を見せていける作品を作っていきたいと思います。
今後とも応援よろしくお願いいたします。