NOFF(旧:ONOFF)
社会の分断を解消し、ONとOFFの境目をシームレスに
社会の分断を解消し、ONとOFFの境目をシームレスにするプロジェクト「NOFF」(旧:ONOFF)は、2024年4月21日(日)にナナナナ祭のプレイベントの位置づけとして100BANCHにて主催イベントを開催しました。
本イベントでは、「都市空間に休息を」のテーマを掲げてピクニック用に開発した「ござピクニックシート」を広げ、イベント来場者を巻き込みながら「そもそもピクニックとは何だろう?(再定義化、可能性・選択肢の拡大)」と「ナナナナ祭に向けた空間設計の実験」を行いました。当日の様子をNOFF篠塚がお伝えします。
改めてチーム名の改名から本イベントへの繋がりについてお話しします。本レポートの冒頭にもありますように、当初ONOFFは「ONとOFFの境目をシームレスにするプロジェクト」としてスタートしました。その後、チームでの活動がピクニック用に開発したござシートの作成や普及活動に集中していったことや都内で休息できる場所のリサーチなどをしていたことから、より都市における「休息」にフォーカスするようになりました。
そして本年度よりチーム方針を一新するというメッセージも込めて、チーム名を「NOFF」に変更し、「NOFF」としての初の主催イベントを今回開催しました。
人々にとっての休息のあり方はどんなものがあるだろう、という問いとともに、春ならではの気持ち良い陽気の下で、ピクニックを行うイベントを開催しました。今回のテーマであるSpring Picnicはみんなで集まって、ドリンクを片手に外で休息を取りながら話をしつつ、楽しむためのカジュアルなイベントです。また、都市の何気ない場所に「ござピクニックシート」を敷くとピクニックスポットになる!という体験をしてもらうことを目指しました。
—ゴザシート、江戸時代の酒樽の木材、UNO、くずし字用例辞典、けんだま、アメリカのカードゲームなどなど—
都会の真ん中でござシートを広げ、かつ様々なモノがあったことから路上を行き交う歩行者に気にかけられ、または声をかけてもらうことが出来ました。また普段の日常生活にはあまりない「余白のある時間」の流れがござシート上に発生したことで、その場にあるパーツを活用した即興ゲームなど、クリエイティブな活動を促進することができました。
同日に実施したトークセッションでは、100BANCHの他の入居プロジェクトであるOKINAさんをはじめ、Tateruさん、Octopus Projectさん、soma no baseさんが登壇し、NOFFから私篠塚が参加しました。本トークセッションにおいてはNOFFとしても気づきを得る機会でもあり、お茶を点てることに着目し活動しているTateru代表の副田さんとの対話からヒントを得ることができました。
素朴な疑問から「茶室に入る瞬間どのような感覚か」と質問を投げると、「言葉で表現するのはかなり難しい。自分の感覚がなくなるみたい」との回答がありました。これを聞いた瞬間に思い出したのが、為末大「なぜ人類はスポーツを求めるのか」(上原寿明発行者『世界思想』、世界思想社発行、2024年)の論文でした。簡潔にまとめると為末先生は、人々は常に「自我」を抱えており、抱えている時は「悩みや苦しみ」がある状態でもあり、過去の人類は「自我」を抱えている状態からどのように苦しみを取り除くのかを宗教や哲学を中心に求めていたと考え、スポーツにも注意の集約=ゾーンの経験により、一瞬でありながらも「自我」からの解放ができると結論づけた論文でした。Tateruさんとの対話から、為末先生の論文を思い出し、NOFFとして日常の「自我」を取り除いて急速に繋げていくか、またそれに向けてにどのように寄与すべきか、大きなヒントになりました。
イベント開始から3時間。雨が降ったことにより、イベントは中断に。さらに盛り上がりを見せると思っていた矢先のことでした。
実際のイベントの実施は、3時間程しか出来ませんでしたが、一つ大きな収穫がありました。本イベントにおいて、休息を取りたい人は「主体的に休み」を取っていたことでした。日常の様に「ただベンチがあるから」や「疲れているから」など受動的な休みをとるのではなく、「ゴザの上で休みたい」という様な能動的な休みがそこにはありました。
また上記にもありますように様々なモノを配置したことで、参加者からピクニックのさらなる可能性を主体的に提示・共有など行うことができ、都市の休息を共有・共感することができました。ござピクニックシートの効果として「主体的な休息」を提供することができると気づかされました。今回の成果・反省を参考にナナナナ祭に向けて準備していきたいと考えております。特に「主体的な休息」を提供するためにどのような仕掛けが必要か、空間としてどのような工夫が必要か、チーム内で精査しながら取り組んでいきます。