• イベントレポート

「見ても見なくても見えなくても楽しいミュージカル」体験のワークショップ

ビーラインドプロジェクトの新たな挑戦

視覚の状態に関わらず共に楽しめる〇〇の開発をおこなう「Blined Project」(ビーラインドプロジェクト)。これまではボードゲーム「グラマ」の体験会を中心に活動し、今回は団体初の試みとして、「見ても見なくても見えなくても楽しいミュージカル」体験のワークショップを2024年2月4日に100BANCHで開催しました。
本レポートではイベント開催までの道のりや当日の様子について、「Blined Project」の鶴永わかばがお伝えします。

私たちについて

私たちビーラインドプロジェクトは、「『#見ても見なくても見えなくても楽しめる〇〇』を増やして、一緒にワクワクする世界へ」を掲げて活動をしている団体です。「見ても見なくても見えなくても楽しめる」ような「モノ」や「場」やそれらを作り出す「人」で溢れる社会を作り出していくことを目指し、活動を続けています。

そんな私たちは、視覚の状態に関わらずに楽しめるオリジナルボードゲームの第一弾として、昨年度「グラマ」というボードゲームを開発しました。子どもたちが「視覚の状態に関わらずに一緒に楽しさを共有できるなにか」を作ろうという思いからはじまった私たちの制作活動から生まれた「グラマ」には、同じボードゲームを囲んで「楽しい」体験を共有することでお互いへの自然な理解が深まっていってほしいという願いが込められています。

現在私たちは活動の範囲を増やしている段階にあり、ボードゲームに限らず観光業やミュージカルなど、新しい側面から「見ても見なくても見えなくても楽しい」場を作り出すことを目指しています。

 

初の試みとしてのミュージカル

ミュージカルの開発プロジェクトは2023年9月に始まりました。ミュージカルに取り組んだ背景として、「自己表現」に大きな可能性を見出したことがあります。

私たちが知覚するもののうち、視覚情報が占める割合は8割ほどと言われており、そのため視力を失ったときの大変さは想像に難くありません。実際、視力を失ったことで過ごせるコミュニティが制限された方もいらっしゃいます。

しかし、このような障壁は「場作り」によってある程度解消できるのではないかというのが私たちが立てた仮説でした。環境や場の設計を工夫することで、見える・見えないに関わらず自分らしくいられる居場所を作ろうという試みが、今回企画したミュージカル体験ワークショップでした。

 

当日の様子

試行錯誤を重ねて臨んだ、今回のワークショップ。前例がないからこそ、参加者の方々に楽しんでいただけるか不安な気持ちもありました。しかし当日の会場はたくさんの笑い声やいきいきとしたかけ声に満たされ、今回のイベントを開催することができて本当に良かったと感じています。印象的なエピソードをいくつか紹介できたらと思います。

まずワークショップの前半では、主にアイスブレイクを目的としたアクティビティーを行いました。チームで一つのものを表現したり、それを伝え合うような仕掛けを作ることで、参加者同士の協働や活発なコミュニケーションが促進できたように感じます。

(写真:参加者が輪になって自己紹介をしています。)

続いての後半では、“It’s time to dance”というミュージカルの楽曲に合わせ、全員で歌とダンスを練習しました。「晴眼者が視覚障害を持つ人に教える」という一方通行の伝達ではなく、みんなが互いをお手本としながらフラットに教え合う様子が伺えました。90分間の練習を経たのち、最終発表の直前には参加者全員で円陣を組み、チームで一体となって本番に臨みました。印象的だったことは、参加者の多くは初対面同士だったにも関わらず、ワークショップの終盤には友人同士のように互いを励まし合う様子が見られたことです。

(写真:アクティビティの様子)

 

イベントで得られた気づきと今後

3時間半のワークショップはあっという間でした。

振り返ってみると、私たちがこのプロジェクトで目指していた

①身体的・精神的に安心できる場

②視覚の状態に限らず、年代やあらゆる属性を超えた交流

などの目標の実現に成功したのではないかと考えています。

実際に、参加者の方々から以下のような感想をいただきました。

・そもそも踊る歌うなんて自信なかったし、どうしようとソワソワしていたが、みんなで一つを作り上げる新しいコミュニケーションは、年齢も性別も障害も飛び越えるもので、本当にびっくりしました。

・社会貢献が全面に押し出されていないイベントだった分「お手伝いしなきゃ!」という気持ちももちろんあったけど、「お互いに助け合う」という感覚も同時にあって、「多少できない自分でも大丈夫」と思えた瞬間がままあったことが晴眼者にとってプラスだった。

一方で、今後より楽しい場にしていくためにできる工夫や改善点もたくさん見つけることができました。今回のイベントは、「見ても見なくても見えなくても楽しいミュージカル」の開発の第一歩にすぎません。誰もが楽しく自己表現やコミュニケーションを楽しめる場を目指して、これからも改良を重ねてまいります。引き続き、ビーラインドプロジェクトをよろしくお願いします!

 

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