- イベントレポート
海老フライのしっぽから仲良しな世界へ。モリノエビはグラデーションのある調和の取れた世界「中庸」が重んじられる世界を実現したい─ナナナナ祭2023を終えて
MORINOEBI(モリノエビ)は、おいしく食べれば食べるほど地球が再生していく食づくりを目指すプロジェクトです。今回、「次世代の海老、モリノエビ(森の海老)」をおいしさや食の未来について考えるきっかけとすることができるのか、ナナナナ祭2023では訪れた人々にモリノエビを体験してもらう実験「海老フライオーギュメンテーション」を行いました。その様子や考察を、MORINOEBIの若林がお伝えします。
モリノエビの目指す世界を簡単に説明するなら、二元論の世界ではなくグラデーションのある仲良しな世界、中庸が重んじられる世界を描いているということがナナナナ祭を通してわかりました。
中庸とは、「かたよることなく、常に変わらないこと。過不足がなく調和がとれていること。また、そのさま。」という意味です。
このレポートの第一部で当日行った体験内容について、第二部で実際に体験を実施した上で生まれた結果や考察、第三部で今後どのような活動をしていきたいかについて書かせていただきます。
第一部 当日の体験内容
第一部に関して、体験内容を大きく3つに分けて説明します。
体験①モリノエビの絵本の読み聞かせ。
体験②モリノエビメガホンでモリノエビの概念を伝える。
体験③モリノエビチップス試食会。
この体験を通じて、社会の根源的な課題とする二元論、偏見、差別などの問題提起をしました。
まず体験①について。
こちらがモリノエビの絵本です。
モリノエビの絵本は全部で17ページあり、
「仲良しな世界」をファンタジーを絡めて表現しています。
海にいる海老が、
川をたどって、
森へやってきました。
森にやってきた海老は
森のパワーを吸収して、
モリノエビとなりました。
モリノエビはモリノエビとして認めてもらいたいという思いがあります。
モリノエビはこのように他の動物たちに愛情を注がれると、
大きく成長します。
それが限界までいくと「Boooom」と爆発し、
モリノエビパウダーとなりました。
モリノエビパウダーによって植物が育ち、
仲良しな世界になりました。
僕はそのモリノエビパウダーを集めて、モリノエビチップスを作りました。モリノエビチップスには2種類あり、コオロギパウダーverと海老フライのしっぽパウダーverの2種類があります。どちらのモリノエビチップスも海老の風味がして美味しく食べられますのでよかったらどうぞ!
という体験です。
それでは体験②について説明させていただきます。
この体験では、僕が2つの異なること、(コオロギと海老フライ)の中庸の部分にくることがモリノエビチップスになるということを表現しました。
メガホンの右と左では異なる物が見えて、でも本質は同じだということを伝えるためという気づきがあったらと思い、お客さんに体験をしていただきました。
写真左が僕で、僕の右手に持っている発明品が「モリノエビメガホン」です。
このメガホンは伸ばすとこんな感じに赤のメガホンと茶色(内側は青色)のメガホンが一直線になります。
そのメガホンの赤い方には「Welcome to Real World」と書かれています。
そこの穴から覗くと、「海老フライしっぽ」が見えると思います!(画像では、見えにくくてすみません。)
では反対から見てみましょう。
反対側からみると「コオロギ」がいますね!赤いメガホンから見ると「海老フライのしっぽ」が見えて、茶色(青)のメガホンからみると「コオロギ」が見えると思います。
ここで3つ前の写真の画像を見返すと、赤いメガホンと茶色いメガホンの覗いた先は一直線になっていて、みているものは一緒のはずですよね。
見ているものは同じ(同じものを見ているはず)だけど、視点が違うことによって見えるものが違うということを表しています。
体験②ではモリノエビの概念の説明をしましたが、これをモリノエビチップスでどう落としこめるのかについて、体験③を説明させていただきます。
こちらは海老フライです。
海老フライの尻尾を使った、モリノエビチップス。
こちらがコオロギパウダーを使った、モリノエビチップスです。
味はどちらも海老フライのしっぽの風味がする。
機能としては、
①ビールのおつまみになりますよ!
②話のネタになりますよ!
③海老フライのしっぽのフードロスの削減になりますよ!
この体験をしていただいたところ、海老フライのしっぽverが食べられたから、コオロギパウダーverも食べられると言って、昆虫が嫌いな方も本質の視点に立ち帰り美味しく食べていただきました。
それでも、いくら味が似ていようと、結局コオロギパウダーが入っているのであれば受け入れられないという人もいました。
僕は、モリノエビチップスを受け入れてくれることがゴールではなく、この体験をきっかけに「どちらかが良い、悪い」と決めつけるのではなく、色んな意見を尊重をしたうえで、最善の選択をすることの大切さを伝えられたと考えています。
第二部 実施した上での結果と考察
結果としては、モリノエビの目指す世界は、二元論の世界ではなくグラデーションのある仲良しな世界、中庸が重んじられる世界を描いているということがわかりました。
この写真の真ん中に写っているのが、メンターの桐村里紗先生です。そして左側に写っているのがメンバーの松岡なおや君です。
お忙しい中、モリノエビの企画を見にきていただけてとても嬉しかったです。桐村先生は、元々腸の内科医で、今は「人と地球を健康にする、プラネタリーヘルス」の実現のために鳥取県の江府町で活動をされています。そして、東京大学の道徳感情数理工学という学問で、「四則和算」という数式についても研究をされています。*四則和算は、2006年に光吉俊二により発明された新しい算術。切算、動算、重算、裏算から構成される。2023年5月3日から5月4日において、国連本部(ニューヨーク)にて開催された「第8回国連STIフォーラム」では、四則和算が持続可能な開発(SDGs)につながる革新的な科学技術であることが発表されました。
桐村先生にモリノエビのメガホンを体験していただき、伝えたい世界観を話したところ、「四則和算の実現するグラデーションのある仲良しな世界と似ている部分があるね」というようなお話ができました。
僕は、ナナナナ祭の直前に兵庫県の芦屋市で開催された四則和算の研究会に参加して、「二項対立をするのではなくどのように調和ができるのか」という部分が共通しているという気づきを得ました。
今回、桐村先生とお話をして四則和算についてもっと勉強をしていきたいと思いました。
第三部 今後の展望
今後の展望は、まずはこれまでやってきたモリノエビと四則和算を切り分けて整理していきたいと考えています。そして、四則和算について学びを深めていきたいです。現在は、四則和算の小中学生向けの国語のドリル、算数のドリルを作っています。今後はそれをわかりやすくそれを多くの人に伝えるための絵本を作成できたらと考えています。
そして、四則和算をモリノエビとしてどう落とし込めるのかについて考えていきたいと思います。
ナナナナ祭出展に向けて、準備をしてくださった運営の方、モリノエビの企画のブラッシュアップのために壁打ちをしていただいた方、そしてモリノエビの出展にきてくださった桐村里紗先生、メンバーの松岡なおや君ありがとうございました。
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