• イベントレポート

12年忘れられなかった光を、もう一度みたかった。DEWで瞑想しNight─ナナナナ祭2023を終えて

線香花火のような照明DEWを世界に届けることを目指し、製造や設計を行うプロジェクト「DEW」。
ナナナナ祭2023では12年前につくったという、照明DEWを再度つくり、展示しました。100BANCHの2FにDEWと椅子を設置し、来てくれた人に座って眺めてもらい、12年前に構想したアイデアが本当に価値があるのか、ただの執着なのか知るべく、展示とインタビューを行いました。

 

12年前の光は蘇るのか?

こんにちは。DEWのプロジェクトリーダーの高橋良爾です。
僕は、DEWという線香花火のような照明の商品化を目指して活動しています。
この上の写真は12年前に撮影したものです。

12年前に作るも商品化することは難しいと言われ続け、クラウドファンディングとクラウドソーシングで制作するも結果はうまく行かず、「デザインに命かけてますか?」とクレームが来る始末。返品と返金が重なり大赤字にもなってしまいました。

過去のクラウドファンディングページ

https://kibidango.com/1617

12年前の作品をずっと考えているなんて未練がましいなあと思いつつ、数学者なら1,2年解けないからといって諦めないと思うなあ。。。

商品化という解けそうで解けない証明問題に取り組もう!

そんな気持ちで続けております笑

100BANCHに入居することで、この事態を打開できないか?との思いで応募しました。メンターのPanasonicのCTO小川さんに採択していただき、100BANCHで作業していると、Panasonicの方々の目に止まり、今回価値検証モデルを制作していただけることになりました。初めてエンジニアの方々に説明するときは、動くプロトタイプもなかったので、口で説明しても魅力が伝わらない。イメージしか伝えられない。そんな酷いお願いの仕方だったかなと思います。

だから、エンジニアの方には僕は、アーティスト気取りの人がよくわからないオブジェを作りたいと言っている人と映っていたのではないかと思います。

そんなものを何故作りたいかというと僕自身、DEWは12年前にみんなが感動していた様子だけが網膜に焼きつけられていたからです。賞もたくさんいただいたり、シカゴのインテリアショップの社長が3回も東京に会いに来てくれました。。。

とはいっても12年前の話。実現するに足らないものに執着しているのか、本当に価値ある光を作ろうとしているのか、正直自信がない。。。。確かめずに死んだら地縛霊になってしまいそう。。。

どうしたら当時の感動を伝えられるだろう?
と思ったときたまたま昔の自分が携帯で取った動画がYouTubeに残っていました。

その動画を見せたところ、当時の光を再現するようにエンジニアの久保さんをはじめとしてMI本部のみなさまが12年前の光を蘇らせてくれたのです。
本当にありがとうございました!

ナナナナ祭前のPanasonicでの打ち合わせでのアクリルモック

 

モノを照らさない照明に、価値があるのだろうか?

その問いを考えるべく、今回のナナナナ祭2023では、100BANCHとの共同企画として「DEWで瞑想しNight」というDEWの前にベンチを置いて眺めてもらうイベントを開催しました。

写真:100BANCH

DEWは線香花火のような照明と説明はしているものの、とっても小さな光でものを照らしてくれる商品ではありません。僕自身は価値があると思っているものの客観的にはじめてみた人がどう思うのかを聞きたいと考えました。

家で使用する感じを出すために、完全な暗室ではなく室内の電気が付いている状態でDEWを見つめてもらいました。アートなのか、家電なのか、インテリアなのか、この摩訶不思議なものの何処にみんなが価値を感じるのかを光や塗装の色を複数パターン制作し、読み解いていきました。

パターン①LED/青 土台/銀

パターン②LED/白 土台/ピンクゴールド

パターン③LED/黄 土台/錆

写真:今井善太郎

 

DEWの価値の本質は、光の輪

ブースに来てくれた人たちが何をみて感動しているかに注力して、観察していました。僕自身、言ってることとやってることが異なることがありますし、やっぱり本音って行動に出ると思っています。

なのでできるだけ、こちらから聞かずに自然と口から出てくる言葉や、目線の動きや目が輝いているかなどに注目して見ていると、多くの人が雫が生み出す光の輪に注目していることがわかりました。

光の輪が、しずくが落ちていくと同時に、シュッと小さくなっていく様子に感動している。光の輪>雫の落ちるスピード>光の色>土台の色の順で重視しているということが感じ取れました。なので、量産設計において、とにかく光の輪をきれいに見せることを大事にすることにしました。スイッチの数をどうしようかな、あの機能もこの機能もつけたいな!などいろいろと思っていたのですが、大事にしたい点を決めることができたので、余分な機能をそぐことができそうです。

写真:100BANCH Panasonicの楠見社長にもご覧いただきました!

 

役に立たないのに、欲しい!という声が多かった

これは売れる!と言ってくれる人が多く、かなり励まされました。ホテルの内装や化粧品のウィンドーディスプレーにいいなど様々な意見をいただきました。今後大きく狙うべきはBtoBかなと感じました。

でも「売れる!」や「欲しい!」という意見は僕にとっては不思議だなと思いました。
多くの商品は、不便や不満を解決するからほしいものだとビジネス本などには書いてあるのに。。。なぜだろう?と思ったのです。BtoB向けに納品をしていくにしても、最終的には価値を感じてくれるポイントを少しでも明らかにしておくといいかなと感じていたら、なんとずっと見ている人が一人いたのです。

 

デジタルデトックスにもDEW

アートやデザイン関係者にいいねと言ってもらえることは、ある程度予想していたのですが、同じ100BANCHメンバーの虎太郎くんなどプログラマーにもささっていたことが意外でした。

虎太郎くんは、展示期間中、夜な夜なDEWの前に10分〜20分ずっと座って眺めていました。話を聞くと、「はじめてこういうモノ系でいいなと思いました」といわれて、どうして見ちゃうの?と聞くと、「頭をすっきりさせにきている、お風呂に入る感覚に近い、デジタルデトックス的感覚 タバコを吸う人も同じ感覚なのかな?」という意見をもらうことができました。光が落ちていく様子を眺めると、焚き火を眺めるように強制的にスマホやパソコンから注意を背けることができ、頭をスッキリすることができるとのことでした。

日々言語化できないけど貯まる心やカラダのモヤモヤが、光の雫となって落ちていく感覚。

多くの人がパソコンやスマホを通じて生活する時代だからこそ、自然のリズムを感じる時間が求められるのかもしれません。

テクノロジーに囲まれた人間社会を楽しみたい。でもたまには自然のリズムを感じたい。
PORTABLE NATUREとして、そんなワガママをDEWは叶えてくれるのかもしれません。

 

光の輪をたいせつに量産設計

今後は価値検証用の設計から、量産設計を光の輪を大事にしながら進めるフェーズに移行して、サンプルを再度制作していこうと思います。

 

DEWを使いたい方、連絡を!

ホテルやウィンドーディスプレーなど内装にDEWを置きたいなど有りましたら
vitro.info.vitro@gmail.com
までご連絡いただけますと幸いです。

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