• イベントレポート

100年先の未来を描く6プロジェクトが登壇 2023年1月 GARAGE Program実験報告会

2023年1月26日に100BANCHで実験報告会を開催しました。

実験報告会では、これからの100年をつくるU35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」を終えたプロジェクトによる100BANCHでの活動報告と、100BANCHでの挑戦を経て、プロジェクトを拡大・成長させた先輩プロジェクトによるナビゲータートークを実施しています。

今回の実験報告会では、「GARAGE Program」の卒業を迎えた6プロジェクトが100BANCHでの活動や今後の展望を発表しました。

salii

ワクワクする手段で食から健康を紡ぐ社会に

登壇者:中原 杏菜

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/salii

「salii」は、若年層に蔓延する「食事への抵抗感」や「プラスチック使用への抵抗感」からの解放を目指し、食べられる栄養スプーンの開発・販売によって、“食から健康を紡ぐ選択肢”を提示するプロジェクトです。

中原:100BANCHに入居したタイミングでは、導入店舗やイベントが少しずつ決まってきているタイミングだったのですが、この3カ月間の間に実際に店舗への導入やイベントの実行を行ってきました。長野県のフローズンヨーグルト屋さんで商品にスプーンをつけていただいたり、福井県の「いけだ食の文化祭​​」というイベントでスプーンをいろんな方にお配りして意見を伺ったりしました。そのご意見や反応を実際に目の前で受け、世代によって反応が違う点などを学ばせていただきました。また、食べていただくだけではなく、イベントの景品にしていただいたりもしました。ポップアップを出したり、ヒアリングを重ねたり、いろんな方に食べていただいたのがここ3カ月間の収穫です。

「toC向けの販売を少しずつはじめていますが、3月にそれをもっと大規模に行っていくためのイベントが決定しました。また、ヒアリングを重ねて、コラボレーションの可能性もどんどん探っていこうと考えています。私たちはこのスプーン1つで全ての問題が解決するとは思っていなく、これをきっかけにいろんな問題に目を向ける方が出てきたり、私たち自身もいろんなことを考えるきっかけになったり、そういったものを少しずつ生んでいく中で、みなさんと一緒におもしろい世界をつくっていけたら最高だなと思っています」と中原さんは話しました。

 

Tomoshibi Marche

アップサイクルフードによって、持続可能な社会を作る

登壇者:五嶋 達暁

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/tomoshibi-marche

「ともしびマルシェ」(Tomoshibi Marche​​)は「大量に食料廃棄が起こる中で、食べられない人も増えている歪んだ現実」を解決すべく、アップサイクルフードの開発・販売によって持続可能な社会を作っていこうとするプロジェクトです。

五嶋:100BANCHでは、廃棄食材を利活用するプロダクトの開発に取り組んでおり、はじめに考えたのが麦芽粕を使ったヘルシーグラノーラです。最初の1カ月目は、ミシュランで認められたシェフと一緒に作った結果、手作りでは申し分ない味わいの商品ができました。しかしいざ大量生産しようとした時に、工場との費用感がすり合わず、暗雲が立ち込めました。さらに共同メンバーの3人のうち2人が一時離脱して、プロジェクトの動きが止まってしまいました。現在は、他の工場を探しつつ、新しいビジネスプランも模索していますが、あらためて3月に再スタートして取り組んでいきたいと思っています。

「私たちは農業の領域に原体験を持っているので、社会課題解決型の軸はぶらさずに、引き続き取り組んでいければと思っています 」と、五嶋さんは話しました。

 

Mitsubachi DAO

研究したい人に、研究をするための支援を、みんなで

登壇者:根本 一希

プロジェクト詳細: https://100banch.com/projects/MitsubachiDAO

「Mitsubachi DAO」はトークンを用いた自律分散型の組織(DAO)を用いることで、若手研究者など研究が大好きであるがなかなか研究に対しての資金を獲得できていないような研究者の資金問題を解決するためのDAOの構築を行うプロジェクトです。

根本:僕たちはQueeenBという会社で「人類の知を支える」というミッションのもと3つの事業をやっていて、100BANCHでは「DAO事業」に取り組んでいます。そこでは個人が自分の意思で研究プロジェクトを応援でき、かつ研究への投資のハードルを徹底的に下げることを実現しようとしています。今回、100BANCHで行っているのは、研究者支援​​のためのイベントの開催で、国際学会やフォーラムに出たいけれどもお金がない、といった研究者の卵の方に投資ができるものです。企業からお金を頂いて、それをみんなで誰に投資するか投票で決める大会をブロックチェーンに似たようなシステムで開催しようとしています。3カ月の進捗としては、登壇者、審査員の方を集めることができ、聴衆も順調に集まってきています。今後、第2回、第3回とこのイベントをしっかりと成功させ、100年後まで残していきたいなと思っています。

「世界中の研究者が好きなだけ研究できるような社会を目指すために、みなさんのお力添えをいただけたらな、と思っています」と、根本さんは話しました。

 

Tasty and Heartful

世界で一番おいしくて、あったかい街として世界に誇れる渋谷をつくる

登壇者:奥津 勝太

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/tasty-and-heartful

「おいしくて、あったかい」(Tasty and Heartful)は、飲食店を中心としたコミュニティを作り、オープンイノベーションの仕組みでその課題を解決することによって飲食店を活性化、繋がりを作り出すことで持続可能な街づくりを実現するプロジェクトです。

奥津:100BANCHでは、渋谷区地域通貨「ハチペイ」さんやIT企業のwalklogさんに協力していただき、店舗の開拓やSNS運用の支援等を実行してきました。またモノの貸し借りを渋谷中のお店でやってみたり、人材のシェアリングの施策を実験してみたり、飲食店と街の関係を良くするための様々な施策に取り組んできました。他にも、街づくりコンペの「good for Ebisu」に採択していただき、渋谷や恵比寿のエリアで街づくりに取り組んでいるアトレさんなど色々な方に参加いただいて、飲食店を軸にしたまちづくりがテーマの「おいしくて、あった会議」と題したパネルディスカッションをさせていただきました。これらの実験を通じて、渋谷においても繋がりを求めている人や地域とか他者に貢献したいと思っている方がたくさんいるんだなということを実感しました。

「現在、参加店舗の拡大は基本的に知り合いづてで行っている状況なので、今後はもっと自律的に拡大していくような仕組みにしていきたいと考えています。これから具体的な機能をコミュニティに持たせようとWebサービスの開発を検討している状況です」と、奥津さんは話しました。

 

Lighting object Sakuratsukiyo

花に光を灯し、心に生きる力を。世界最高品質の家電ブランドたる生産管理体制を築く

登壇者:小林 花

プロジェクト詳細: https://100banch.com/projects/lighting-object-sakuratsukiyo

「桜月夜」(Lighting object Sakuratsukiyo​​)は、花にいのちが宿るかのように光が灯る幻想的な体験を得られるオブジェの開発、その世界最高品質の生産管理体制を築くプロジェクトです。

小林:最初は手探りでスタートしましたが、国際的評価の高い花道家・芸術家の上野雄次さんとタッグを組むことができ、 全国の職人さんと試行錯誤を重ねて1号機を完成させることができました。

小林:生け花の哲学を投影して生み出された、この生け花と照明の融合作品は、心を和らげるというバリューを高めるためにテクノロジーにもこだわりがあります。一般的なLEDは青色光が強く、ホルモン分泌のサイクルを乱しメンタルヘルスに影響をもたらすことがあります。そこで私たちは太陽光と同じ波長のLEDを採用し、より健やかな光を目指しました。また、ノンフリッカー調光を独自開発し、疲れにくく穏やかな光も実現しています。今後はホテルやレストラン、介護施設に納品していく予定です。また、家庭でも楽しんでいただける商品にしようと小ぶりで手に取りやすい「hana」という新しいブランドもスタートしました。現在、Instagramで試作段階から丁寧なSNSマーケティングを実践しているところです。

「私は法律を専攻している学生でたくさん訴訟の勉強をしている間に、一度こじれてしまった争いはなかなか解決しないと感じていました。そんな私にとって一輪の桜が心を励ましてくれていたように、日々の生活を彩る文化・芸術の存在というのは、実は平和のインフラとして機能していると考えています。人生には苦しい時もありますが、人には心の中に自ら光を灯して前に進む力があると考えています。桜月夜はその後押しをしていきたいです」と、小林さんは話しました。

 

Sadamaranai Obake

死にまつわる文化や価値観を、デザインのチカラで変えたい

登壇者:鴻戸 美月

プロジェクト詳細: https://100banch.com/projects/sadamaranai-obake

「さだまらないオバケ」(Sadamaranai Obake​​)は死にまつわる文化や価値観をデザインのチカラで変え、誰もが自分の死生観を隠すことなく話すことができ、どんな考え方も批判されることのない社会を作っていくプロジェクトです。

鴻戸:100BANCHでは、死生観をカジュアルに語り合える場作りを実験してきました。最初の3カ月では実店舗を間借りし飲食店形式で死生観を語りあう「デス・スナック」を開催したのですが、予想以上にお客さんが集まりすぎて落ち着いて語り合う場にできなかったり、世界観を作り込めなかったという反省がありました。そこでGARAGE Programを3カ月間延長して場作りの再チャレンジをしました。第二回の「デス・スナック」は12月に100BANCHのこの場を借りて実施したのですが、第一部では、故人を思い浮かべながら白あんに色をつけ最中にして食べる「49日のひきだしもなか」で、大切な故人と向き合う時間を作って語り合いました。第二部では、お酒を片手に死生観に関する2択のお題について、それぞれの考えを話し合いました。イベント後には「本来は重くて話しづらい死生観について話せる免罪符のようなイベントだった」とうれしい感想をいただいたりと、死生観をカジュアルに語り合う場が実現できたと思います。また、私たちがやりたいことは、死をきっかけに生きる希望を引き出すことだと再認識することもできました。

グリーフケアプロダクトの「ひきだしカードゲーム」や「ひきだしノート」も開発

「活動の中で企業からデザイン依頼等を頂くことが増えてきたため、年内を目処に法人化するつもりです。この業界には古い慣習が多く残っており、デザインの可能性がたくさん秘められています。『デス業界』専門のデザイン企画のプロデュースチームとして未来の業界を担っていきたいです」と鴻戸さんは話しました。

 

実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。

salii https://youtu.be/hMHR72QYrY4

Tomoshibi Marche https://youtu.be/HRxFUS_l2R4

Mitsubachi DAO https://youtu.be/pXz8MWQ-BnE

Tasty and Heartful https://youtu.be/IGMKVtcSRUI

Lighting object Sakuratsukiyo https://youtu.be/JrKz1Sy-zg4

Sadamaranai Obake https://youtu.be/2p13wdDBLhs

報告ピッチ後は、各プロジェクトの登壇者とイベント参加者が輪になり、質疑応答や意見交換、今後のビジョンなどを語り合いました。次回の実験報告会は2月21日(火)に開催。ぜひご参加ください!

 

※登壇・集合写真の撮影時のみマスクを外しています

 

(撮影:鈴木渉)

<次回実験報告会>

「ここちよい暮らしをサーキュラーエコノミーで実現する」100BANCH実験報告会

【こんな方にオススメ】
・100BANCHや発表プロジェクトに興味のある方
・Garage Programへの応募を検討されている方

【概要】

日程:2/21(火)

時間:19:00 – 21:30 (開場18:30)

会場:100BANCH

参加費:無料(1ドリンク付き)

参加方法:Peatixでチケットをお申し込みの上、当日100BANCHへお越しください

詳細はこちらをご覧ください:https://100banch.com/events/43975/

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