• イベントレポート

想定外でも、想いは届け続けられる—— 絵本づくりで見えた「旅するおむすび屋」の新たな世界

2020年7月、「ナナナナ祭2020」において「MUSUNDEHIRAITE」(旅するおむすび屋)プロジェクトは「旅するおむすび屋ラジオ『絵本、つくりました』」を開催。「配送×配信」の環境で、旅するおむすび屋のオリジナル絵本を使った、お家での食卓時間を子どもと一緒に楽しめる体験を演出しました。

旅するおむすび屋の「これまで・これから」を改めて見つめることができた今回のイベント。絵本を手元にお家での食卓時間をお子様と一緒に楽しむことや、食べることの大切さや楽しさに気づくことができる、未来の日本の食を守ることにつながるイベントとなりました。

今回のイベントの様子や、そこから得られた学びについて「MUSUNDEHIRAITE」プロジェクトのリーダー・菅本香菜がレポートします。

旅できなくなった「旅するおむすび屋」

はじめまして。

旅するおむすび屋の菅本香菜です。

このプロジェクトは、東京拠点に活動する菅本香菜と、宮崎と新潟を拠点に活動する吉野さくらの2人で2017年に立ち上げたユニットです。「おむすびから、はじめませんか?」を合言葉に、誰もが身近に感じられるおむすびを通して、食の楽しさや大切さを皆さんと共有できる時間を作りたいという想いで日々活動しています。

これまで私たちは全国各地を巡りながら、地域の方と一緒にその土地の食材を使っておむすびを結ぶ「おむすびワークショップ」や、教育機関での食育授業などを行なっていましたが、猛威を奮う新型コロナウイルスの影響を受けて旅ができなくなり、計画していたイベントは全て中止に…。

そんな中、「配信」と「配送」を掛け合わせた新しい様式で開催することになった今年のナナナナ祭で、「私たちが届けたい想いを違う形で届けられないか?」と企画したのが今回の絵本づくりでした。

「旅するおむすび屋」の吉野さくら(左)と菅本香菜(右)

 

絵本づくりを通して伝えたかった想い

「誰もが親しみやすい“おむすび”を通して、毎日の食卓がちょっと楽しくなるキッカケをつくりたい」

絵本を制作する際に私たちが届けたい想いを考えたとき、改めて、私たちが旅するおむすび屋を立ち上げた時の想いにたどり着きました。“届け方”は変わっても、“届けたいもの”は変わらない。そんなことを再確認できた時間でした。

絵本の制作は、2人でお話の内容を考え、絵は吉野さくらが担当。制作期間中は一度も会えなかった2人ですが、約3年の活動期間の中で一番連絡を取り合ったと思います。

拠点が違う2人は、旅するおむすび屋として活動する際もそれぞれ別々で動いていることが多かったのですが、一緒に取り組める“ものづくり”という形が見つかり、今後の活動に向けて新しい可能性を感じることができました。

 

絵本完成! 主人公はおむすびの妖精、おむ すびお

無事に絵本『おむ すびお と おむすびパーティー』が完成しました。

主人公はおむすびの妖精、おむ すびお。

旅の途中で出会った、たろうくんと一緒におむすびパーティーを企画。友人たちが、山・海・町から持ち寄ってくれた様々な食材を使って、みんなでおむすびを楽しみます。

絵本『おむ すびお と おむすびパーティー』

おむすびパーティーの様子は、私たちが全国で行ってきたおむすびワークショップそのもの。物語には、私たちが全国で出会ってきたおむすびもたくさん登場します。

そしていよいよ絵本の販売を開始。たくさんの方が絵本を購入してくださり、感想も届けてくれました。

 

リアル × オンラインの可能性

ナナナナ祭のイベント当日、8月2日には「旅するおむすび屋ラジオ 『絵本、つくりました』」をYouTubeライブで配信しました。

この配信は絵本をお届けした方、そして絵本に関心を持ってくださった方に向けて私たちの絵本づくりの想いをお届けするためのイベントです。

実は、旅するおむすび屋の2人はオンラインでのイベントや発信がそこまで得意ではなく、当初はオンラインイベントについて少し不安もありました。しかし、実際に実施してみて感じたのは、リアル×オンラインの可能性。私たちはイベントを通して、オンラインイベントだからこそ得られた3つの良い点を見つけました。

1つ目は、コロナ禍の中でも拠点が違うふたりが同時に登壇できたこと。

2つ目は、場所を問わず全国の方に参加していただけたこと。YouTubeライブの最初に「どこから聞いてくださっていますか?」と問うと参加者から「愛知です!」「千葉からです!」など声をいただき、全国から聞いてくださることが分かりました。全国を巡ってきたからこそ、全国に知り合いがいるのですが、その方々が同じライブ配信を聞いてくださっていることがなんだか不思議でもあり、面白い感覚でした。

3つ目はゲストをお呼びできたこと。今回の絵本づくりには、3名の方にご協力いただきました。保育士の森田真琴さんと菅本香預子さん(私の母です 笑)には、絵本を読み聞かせる視点から、絵本に出てくる“音”についてなどアドバイスをいただきました。そして100BANCHでも活躍され、印刷のプロであり絵本づくりのご経験もある「PAPER PARADE」の守田篤史さんには、「印刷や製本において私たちのこだわりポイントをどこに持っていくのか?」「絵本を読みやすくするための文字や絵の配置について」などアドバイスいただきました。

そんな3名をゲストでお呼びできたことで、「絵本の裏側を覗けて楽しかった」という声を参加者からもいただくことができました。

なかなか踏み出せなかったライブ配信という機会を経験することで、「挑戦してみたら、新しい世界に出会える」ということを改めて100BANCHに教えてもらえた時間になりました。

 

絵本づくり、その先に描くもの

絵本が完成したことで、保育園での絵本の読み聞かせとおむすびワークショップを掛け合わせた企画など新しい動きも生まれはじめています。

想定外の状況になっても、想いは届け続けられる。

それがコロナ禍で学んだことでした。

社会に対して大きな声で発信できるような2人ではありませんが、じっくり丁寧に目の前の方に想いを届け続けることで、楽しい食卓の風景が増えたり日本の豊かな食に魅力を感じてくれる人が増えたり、そんなことが起きていけば幸せです。

地道な活動ではありますが、その先で、100年後の未来でも「食べるって楽しいな、豊かだな」と思える人が1人でも増えてくれたら、と思います。

どんな状況でも、丁寧に想いを届け続けること。

それが、100年後に向けて私たちにできることだと気づけた2020年ナナナナ祭でした。

 

■関連リンク

絵本の主人公「おむ すびお」インスタグラム

https://www.instagram.com/tabisuru.omusubio/?igshid=15qmv9po0olq8

旅するおむすび屋について更に詳しく知りたい方はこちら

https://note.com/kana314/n/nba716645fe2f

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野菜の定期便が、サスティナブルかつスーパーに次ぐ食材の安定供給の選択肢になるために、その第一歩である「2waybox」の活用をみんなで実験したい。

 

レポート公開中:新しい日常を支えるサスティナブルな配送のあり方とは?「Only greens don’t lose? -ゴミの出ないお野菜の定期便-」

 

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“未知の食材を味わう”経験を通じて、食の未来を考えると共に「動物も、植物も、虫も、分け隔てなく尊重される社会」へのきっかけを届けたい。

 

レポート公開中:昆虫の生産者さんにフォーカスを。そして、昆虫の生産を産業に。ANTCICADA TV 〜昆虫食の最先端を味わう90分〜

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