• イベントレポート

渋谷のアートイベント「DIG SHIBUYA 2024」にAcademimicが出展——100BANCHコラボによる培養技術アートも

SHIBUYA CREATIVE TECH実行委員会が渋谷区と共に開催したテクノロジーとアートのイベント「DIG SHIBUYA 2024」。1月12日〜14日の開催期間中は、渋谷各所で様々な展示や体験イベントが行われました。

100BANCHからは、研究とポップカルチャーの融合を掲げる「Academimic」がDIG SHIBUYAの連携プロジェクトに採択されており、学術論文をアートで表現した「ロンブンアート」を展示。さらに、細胞培養に関連したプロジェクトを進めている「PxCell」、「A cultured energy drink」と連携し、バイオアートなどを展示しました。
最先端でディープ、そして未来のあり方を考えさせられるテーマに興味を示す姿が多く見られた当日の様子をお届けします。

学術論文をアートで表現した「ロンブンアート」

学術論文からインスピレーションを得て生まれたイメージを、人やAIとの合作によるグラフィックやインスタレーションとして作品化したAcademimicの「ロンブンアート」。論文や学会というフォーマットから飛び出した作品群はカルチャーの街「渋谷」に何をもたらすか。難解な研究をアートで表現する新たなカルチャーを提案しました。

渋谷区立北谷公園、勤労福祉会館、公園通りの路上など、渋谷のあらゆる所にロンブンアートが出現。「かわいい」「かっこいい」の先にある、論文の新たなアウトプットの形に触れて楽しむ人々の様子が見られました。

 

培養技術の未来を体験「あなたの人生の培養技術」

勤労福祉会館の和室では、「あなたの人生の培養技術」と題したインスタレーションを展示。これは、Academimic、PxCellA cultured energy drinkのコラボレーションで実現したものです。「愛する人との繋がり方」をテーマに「性交」「婚姻」「弔い」というライフイベントに焦点を当てながら、培養技術の可能性を掲示しました。

「弔い」のコーナーでは、培養されたニワトリの心臓の一部を位牌と捉えた祭壇や、心筋細胞の拍動を木魚の音に見立てた弔いの形を提案。何時間も作品の前から動かずじっくりと見ている方もいらっしゃいました。

「性交」のコーナーでは、「食べちゃいたいくらい愛している」という欲求が培養肉の発達で叶えられるようになった未来についての物語とプロダクトを展示しました。

「婚姻」のコーナーでは、世界初の細胞アクセサリー「PxCell Wear」を結婚指輪として身につける未来を提案しました。「PxCell Wear」には、アクセサリーの一部に人体の細胞が埋め込まれています。細胞のアクセサリーに驚きながらも、「ペットの細胞を身につけてみたい」「推し活で流行りそう」「母が生きていたらアクセサリーをつくりたかった」といった意見が聞こえてきました。

 

培養液育成中!?細胞培養パフォーマンス

渋谷公園通りの路上では、実際に細胞の培養を行うパフォーマンスを実施しました。「培養液育成中」と書かれたブースには、謎の液体を不思議そうに眺める人たちが。ここでは、飲むだけで身体の細胞を増やす「培養液エナジードリンク」がつくられる過程を紹介。未知に包まれた「バイオ研究」の敷居を下げ、培養技術の信頼性を高める公開実験となりました。

 

参画メンバーの声

Academimic(企画) 

浅井順也

今回、これまで3プロジェクトで別々に進めていた取り組みに「人生における培養肉」というコンセプトを立てて一貫性を持って見せられたことで、作品が持つ魅力とそれが織りなす世界観を感じてもらえたように思います。

また、「全部エビデンスがしっかりしててすごい」 という来場者の声があったように、論文や書籍などの知見に立脚した見せ方により、一見、空想的な作品と現実とが地続きであることを強調できたのではないかと思います。個人的にはもともと実体験から小説をつくり、空間をつくり、そして(人の細胞ではないですが)培養肉までつくれたことが良かったです!

 

A cultured energy drink(培養技術)

田所直樹

今回の展示が一般の方に受け入れられたのも嬉しかったですが、技術ギーク系のディープな方への刺さり方は凄まじく、数時間もそこで体験してくれた方がいらっしゃったのが驚きでした。また、初対面の渋谷のバイオベンチャーの方が展示に感動してくれて、私たちが野外イベントで離れている時に、代わりに中で展示説明してくれるなど、刺さる人にとても深く刺さりこんだことが印象的でした。

一般の人にも深くインスピレーションを感じていただけたようで、細胞の結婚指輪について語っているカップルや、アインシュタインの細胞リングを欲しがる物理学者まで、さまざまな方の倫理と願望が表れ、アートと技術への妄想が交差する点になってました。

 

PxCell(展示制作)

川又龍人

海外の方の反響が凄く良く、「Amazing! You are crazy!」と笑顔で言われました。展示をきっかけに、他の場所での展示やさまざまな細胞リングの製作の話が広がっています。愛の結晶である子供を一緒につくることができなくて悩んでいたレズビアンカップルが、2人の結びつきを残すためにお互いの細胞の入った金属製のウエディングリングを製作することになり、桜の花が咲く頃にそのウエディングフォトを撮影します。

アイドルの細胞を身につけられるリングに関しては、2024/3/11(月)〜3/24(日)まで、北海道最大級のコワーキングスペース「SAPPORO Incubation Hub DRIVE」と、大人のための秘密基地兼カフェ&バー「大人座」にて、北海道旭川市出身の歌手、和田輪さんの『PxCell Wear』(ピクセル ウェア)を展示します。Academimicの作品も同時に展示予定です。

 

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