• イベントレポート

昆虫の生産者さんにフォーカスを。そして、昆虫の生産を産業に。——ANTCICADA TV 〜昆虫食の最先端を味わう90分〜

今年のナナナナ祭で私たち「Cricket ramen」プロジェクト(法人名:ANTCICADA)は、「ANTCICADA TV 〜昆虫食の最先端を味わう90分〜」と題し、90分間のテレビ番組のような形式で、お客様に私たちの商品を実際に食べていただきながら、その製造の舞台裏やこだわりをオンラインでお話ししました。当日の様子を、プロジェクトリーダー・篠原祐太がレポートします。

ご自宅にお届けした商品は、「おうちでコオロギラーメン」と「蚕沙タピオカミルクティー」の2点。いずれも、冷凍状態で届くので、湯煎して召し上がっていただけます。

今年はコロナウイルス感染拡大により、リアルな場に人を集める従来のナナナナ祭ではなく、配送と配信を組み合わせたオンライン開催になりました。一見ネガティブな状況の中でも、逆にポジティブに転じたものもあるのではないか、と模索している中で、リアルではなかなか会えないような生産者さんのお話を、多くの人に聞いていただけるチャンスだと思いました。

そんな理由から、今回は、昆虫の生産者さんとオンライン中継をし、昆虫の生産や業界のことなど、普段なかなか聞けないお話をしていただきました。

—当日お話いただいた山梨県の養蚕農家 「アシザワ養蚕」の芦澤洋平さん(左)

—当日お話いただいた徳島県のコオロギファーム「株式会社グリラス」の渡邉崇人さん(写真中央)

そして今回の企画を通じて、未来への仮説が2つ生まれました。

1 . 昆虫食が少しずつ普及した未来の、次のステージとして、昆虫の生産者さんにもスポットライトが当たる未来が来るのではないか。

2.  出演いただいた養蚕農家さんなど、日本の伝統産業の多くは、時代の移り変わりとともに厳しい局面に立たされている。そんな産業の、新たな道すじを作れるのではないか。

この2点です。

1つ目については、現在の世の中において、肉や魚、野菜など、多くの食品において、生産者にスポットライトが当たる空気感が醸成されてきていると思います。そんな食業界の当たり前が、今後昆虫においても当たり前になっていくのではいか。

お客さんの反応を見ていると、そう感じることができました。

—ANTCICADA食材調達担当の豊永(右)が実際に「アシザワ養蚕」に訪れてお話を伺ったときの様子

2つ目については、例えば今回でいうと、これまで絹糸でしか収入源がなかった養蚕農家さんに、「食品」という新たな収入源の光を見出せたのではないかと思っています。

蚕は絹糸だけではなく、現状では捨ててしまっている蛹(さなぎ)も、糞も、脱皮殻も、桑の葉も、全てに価値があると思います。お客さんのアンケート回答の中にも、「芦沢さんのお話し聞いて、蚕は衣食住の分野全てに可能性を感じる生き物だなと思い、学びになりました。」という言葉があったのが印象的です。

そしてこれは蚕だけではなく、あらゆる昆虫の生産現場(生産現場になりうる場所含め)において言えることだと思っています。そんな未発掘の可能性を、僕らは積極的に模索していきたいと、この企画を通じて改めて思うことができました。

—山梨県「アシザワ養蚕」で飼育されるカイコ。新鮮な桑の葉を食べ、すくすくと育つ

今後も引き続き、昆虫食の魅力を伝えていくと同時に、もっと昆虫の生産者さんにフォーカスが当たる社会を作っていきます。そして、昆虫たちの未発掘の可能性を積極的に模索し、衰退してしまっている伝統産業に新たな希望を見出せるような活動にも力を入れていきたいと、そう思っています。

私たち、ANTCICADAが何か協力できそうな方がいたら、ぜひ繋がることができたら嬉しいです。害虫に困っている野菜農家さんや駆除業者さん。虫がたくさん出てきてしょうがない木こりさん。他にも、まだまだ僕らが想像できていない人たちがたくさんいると思います。ぜひ一緒に新しい産業を作っていけたら、これ以上ない喜びです。

■関連リンク
・ANTCICADA:https://antcicada.com/
・オンラインショップ:https://antcicada.shop

 

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