- イベントレポート
100年先の未来を描く4プロジェクトが登壇 2024年9月 GARAGE Program実験報告会
すべての人を対象とした、記憶に残るインタラクティブな体験ができる未来の博物館をつくりたい
私たちは、視覚障害やその他の障害を持つ人々を含むすべての人にとって、インタラクティブで記憶に残る博物館体験を実現するために必要なものは何か?を問うプロジェクトです。
目標は、視覚障害などの障害を持つ人々が利用できるインタラクティブで記憶に残る展示物を、博物館でつくることです。理想は年齢・バックグラウンド・身体能力・性別などに関係なく、すべての人が利用できることです。未来の博物館は、情報をインタラクティブに楽しく伝えられる、インクルーシブな場所になるべきだと考えています。異なる感覚的印象、例えばテクスチャーや音を使ってみたいです。ドイツの海事博物館で視覚障害者コミュニティとのコラボレーションを実施しました。日本でも協力してもらえるパートナーを見つけて、日本の人々と会話したいと思っています。人々が実際に試してフィードバックしてもらえる、説得力のあるプロトタイプを作りたいです。
大学で視覚障害者が日常生活を送るためのマーキングシステムを考案したことをきっかけに視覚障害者のニーズについて考え始めました。ドイツの視覚障害者コミュニティと接する機会がありましたが、視覚障害者向けの博物館体験がほとんどないことに驚きました。視覚障害者支援団体を通じてドイツの海事博物館と連絡を取り、インクルーシブな博物館体験の実現に向けて取り組んでいます。これは日本でも意義深い取り組みであり、みんなが楽しく記憶に残る博物館訪問の体験創造につながると考えています。
現代の博物館は退屈に感じられます。展示は視覚中心の情報が多く、多くの情報は文章で提供されているため、特に視覚障害者にとってはアクセスが困難です。私は、博物館がインタラクティブで楽しく、記憶に残る情報伝達を行い、そのテーマについてさらに学ぶ意欲を高め、人々を一堂に集める場所になることを望んでいます。
未来の博物館をおもしろく、楽しく、インタラクティブで、身体能力を問わず誰でも利用できる場所にしたいと考えています。
1. ドイツの視覚障害者と日本をつなぎ、よりよい博物館体験のための共通の文化的基盤を見つけ、フィードバックや印象に対する意見を収集します。
2. 記憶に残る、楽しくて持続可能な博物館体験を創造し、人々が再訪したくなるようにします。いくつかのコンセプトを組み合わせたインタラクションのサンプルとプロトタイプを製作します。それを展示して、幅広い人々からの反応とフィードバックを得たいと考えています。
3. この新しい未来のコンセプトのもと、一緒に働きたい協働パートナーを見つけます。
1. 東京の視覚障害者団体や博物館、協働への関心を持つ組織と対話します。プロトタイプのテストに協力してくれる人を見つけたり、フィードバックを収集するためのスペースを探索します。
2. 機能するプロトタイプとインタラクションのサンプルを1〜2点、製作します。
3.フィードバックを収集し、インタラクティブな博物館の未来ビジョンをつくります。
もし私のコンセプトが説得力を持つものであれば、博物館がこのプロトタイプのより高品質なバージョンに投資し、展示に組み込んでくれることを夢見ています。それが成功すれば、私のさらなるビジョンは、展示全体がインクルーシブかつ記憶に残る方法で制作されることです。そのためには、博物館の企画の専門家と共同で取り組むことが重要です。
Museum of the future LeaderSophie-Charlotte Bolinski
ドイツ出身のインダストリアルデザイナーで、私の夢は人々の日常生活をより良くすることです。誰もが利用できる未来の博物館を考えました。この博物館は、能力に関係なく誰でも利用でき、持続可能で楽しい方法で情報を伝えることを目的としています。
パナソニックホールディングス株式会社 執行役員 グループCTO小川 立夫
1964年12月、神戸市出身。1989年に松下電子部品に入社し、電子部品研究所に配属。デバイスや材料、プロセスなどの研究開発に携わる一方、米ジョージア工科大学への留学のほか、さまざまな技術部門や企画部門などを担当。高校、大学では合唱の指揮者を務め、その時の経験が今の自身のマネジメントスタイルにつながっており、「ヒトが思わずいい声が出てしまう瞬間とはどんなときなんだろう?」という問いを探求する。