「伝統」「文化」の形はひとつじゃない。 日本茶を、もっと自由に楽しむために。
NODOKA- ORGANIC JAPANESE TEA
「伝統」「文化」の形はひとつじゃない。 日本茶を、もっと自由に楽しむために。
前編に引き続き、後編ではメンターの楠本さんが「NODOKA」のどこに惹かれ、洪とどのような未来を想像してプロジェクトを進めたのか?
後編ではそんな2人の思いに迫ります。
前編はこちら
楠本:はじめて「NODOKA」を手にとって、名前がすごくキャッチーだなって思いました。外国人もたぶん覚えやすいしね。私もちょうど、あるメーカーと「日本茶を世界茶にしていこう」って進めていたところでした。そんなときとき、ニューヨークに行っちゃって「これが抹茶バー?」「うーん、それだったら僕が本物を届けたい!」っていう洪さんの軽やかで朗らかな感じが気に入りました。このパッケージもいいよね。でも洪さんはグラフィックデザイナーではないでしょ?
洪:ちがいます(笑)。
楠本:でも、商品としてカッコよく仕上がっているからすごいなって思って。しかも飲んでみたら、すごく美味しかったんですよ。「これ、美味しいよ!」ってね。
洪:いちばん最初、そうでしたよね。
楠本:それから、とてもおもしろい商品だと思いすぐにうちの会社で「NODOKA」の試飲をしたんです。「ちょっと! ちょっと!」ってシェフとかパティシエとかに声をかけて自分で社内営業してね(笑)。試飲してもらったら、みんな素晴らしいって評価してくれました。
あるシェフは「これを抹茶塩で使いたい」って提案してくれてくれました。また、あるパティシエは「ほうじ茶のパウダーでティラミスを作ったらどうか?」となり、その場でティラミスを作ってくれました。できあがって食べたら「これすごく相性がいい」「めちゃくちゃ美味しい」って盛り上がりました。「じゃあ、LAND Seafood(100BANCH 1階のダイニングレストラン)でやろうよ!」って。その場でメニューにすることを決めたんだよね?
洪:そうですね。そのスピード感に本当にびっくりしました。最初にお会いしたときに「NODOKA」のサンプルをお渡しして、次に会ったときにはティラミスのサンプルができあがっていました(笑)。
楠本:早いっていうか、こういうのは思った瞬間にやらないとダメなんだよね。企画を温めている理由があんまりないく、温めていても結局は同じ答えが2か月後に出たり、下手すると1年後に「そういえばこんなのあったね」って感じになることが多いです。。うちの会社が早いっていうより、商品がすばらしかったから「その場で決めよう!」ってなりましたね。
洪:しかも、ティラミスはビーガンだったんです。でも、「これ本当にビーガンなの?」って思うくらい美味しいんです。ビーガンだから国を問わずいろんな人に食べてもらえることもうれしかったですね。「NODOKA」はスイーツで使っても味と香りが逃げないねってパティシエの方に評価していただいたことも自信にもなりました。
洪:この先、お酒をテーマに新たな取り組みを考えています。すでに100BANCHのメンターでもある田中 開さんが新宿ゴールデン街で経営するバー「The OPEN BOOK」では「NODOKA」の玄米茶を使ってお茶割りをメニューとして出してもらっています。お酒をテーマに活動の幅をを広げ、引き続きビーガンスイーツはの普及も継続していきたいですね。
楠本:「NODOKA」とお酒って絶対相性いいよね。お茶のリキュールってあるけど、人工甘味料がキツくて飲めたものじゃないから、オーガニックで無化調でお酒っていう市場はあるんじゃないかな。
洪:いまは静岡の日本酒と「NODOKA」をカクテルしたり、有機野菜を使ったスムージーに好みの「NODOKA」と合わせたヘルシーカクテルを考えています。お酒もスイーツもヘルシーで罪悪感がなく楽しめるってことも、ひとつのポイントとしていろいろできたらと思っています。
楠本:「パウダーだからこそできること」にこだわってメニュー開発をした方がいいかもね。
洪:そうですね。そこは「NODOKA」の強みなので、もっとパウダーとしての利点を追求していきたいです。
洪:最近、栄養補給とか生命維持のために、食べることが簡略化されてどんどん作業的になりつつあると思うんです。でも、それって「食べる」って言えるのかなってすごく疑問で。一日分の栄養素を取れるカプセルとか、これからもっと増えると思いますが、そこで栄養を得られても「食」とは言わないような気がします。茶園で生産者と一緒に茶摘みしたお茶ってすごく美味しいんですよ。結局、味覚以上にどこで誰とどうやってという体験的な美味しさを「NODOKA」は大切にしたいです。
楠本:すばらしい。本当に感心するね。
洪:いまはコンビニでペットボトルのお茶を飲むか、急須で淹れて飲むかの二極化になっていると感じています。コンビニのお茶もすごく美味しいし、時間がないときは気軽で便利だけど、それだけになってしまい他に選択肢がないと「食」に対してあまりにも考えなくなってしまいます。一度、「食」の原点に戻ることで、もっと美味しさは増えるし、それが豊かな「食べる」という行為につながると思います。
楠本:若いのにいいこと言うね、えらい!
洪:照れますね(笑)。
楠本:皆さんにもっと真剣に100年後を考えてほしいと思います。たぶん2050年くらいは人口がピークになり課題解決をどうするかってみんなが考えるんです。その課題解決を身近に考えられるいちばんのテーマは食じゃないかなと僕は思っています。
「食」って漢字を分解すると、「良」い「人」になる。良い人をつくり、良い人同士をつなげるのが食だとすると、逆にいうと食べるという行為を粗末にすると人は良くならない。平和や幸せに向かう象徴が食べることだと思います。もちろん2、3年後のことも考えるけど、100年先とか未来を想像する場合には、まず「食」というテーマを考えるべきじゃないかってね。
どこで誰と何を食べるかを人類みんなで丁寧に考えていくことで地球はきっとよくなる。そういう「食」の考え方を僕は100BANCHのみんなと提案していきたいですね
洪:もともと「NODOKA」は海外でブランドを立ち上げたので、人種とか年齢、性別とか関係なく、いろんな人を巻き込んでいけたらと思っています。本来、食は楽しいものだから、「お茶って楽しいんだ」ってことを「NODOKA」を通してもっと知ってもらいたいですね。この先もさまざまな場所で販売やコラボをしていきます。
楠本:洪さんは本当に軽やかに、でも一生懸命で。お茶を売ろうとしているんだけど、その背景にある文化や人をすごく大切にする人生を選んだように感じます。彼の人生に感動するたくさんの人たちが世の中には必ずいるので、僕はその可能性を繋げたいと思います。それが彼と一緒に携われる僕の楽しさだから。
撮影:岩本良介
NODOKAのような100年先の食文化をつくって行くようなプロジェクトを100BANCHでは随時募集をしています。GARAGE Programへ是非応募をして見て下さい。