培養肉技術から生まれた、身体を育む培養液エナジードリンクをつくる
A cultured energy drink
培養肉技術から生まれた、身体を育む培養液エナジードリンクをつくる
「培養液エナジードリンク」の開発に取り組む「A cultured energy drink」プロジェクト。培養肉作りの経験をもとに、私たちの身体の細胞に必要な栄養素で設計した、本当の意味で身体の細胞を増殖させ身体を育むことができるのが、培養液エナジードリンクです。飲んで健康になりながら、敷居の高いバイオ研究に興味を持ってもらうことを目指しています。
ナナナナ祭2023では、世界中のバイオ研究者が古くから細胞を増やすのに使う「培養液」をエナジードリンクにして提供する『培養肉工房』という公開実験を実施しました。実験の様子を、A cultured energy drinkの田所がレポートします。
「細胞を増やす」とは何か?「培養肉」とは何か?
渋谷で培養肉を研究している市民研究団体のメンバーが100BANCHに集まり、怪しくネオンが照らす工房の様な空間で、各々の専門性を活かして開発した「細胞を育てられるエナジードリンク」を提供しました。
彼らは一体何が狙いだったのか?
私たちの怪しい取り組みの全てをここに記録します。
最先端でディープなバイオ研究の世界を記したレポートへ、ようこそお越し下さいました。A Cultured Energy Drinkプロジェクトリーダーの田所です。
ここまで読み進めた中で出てくる
「細胞」とか「培養肉」とかのキーワード、とても怪しい響きですよね。
でも大丈夫!!
このレポートを最後までご覧頂ければ、あなたは『細胞を増やして人工的に肉を創り出す』という遠くない未来に起こり得る1つの可能性にワクワクするはずです。
今回のお話は
まずは私たちの『自己紹介』から始まり、
次に「細胞」や「培養肉」の『最先端バイオ技術』のお話をして、
最後にナナナナ祭で『エナジードリンク』を提供した話で締めさせて頂きます。
是非、のんびりとお付き合い下さい \(^_^)/ \(^_^)/ \(^_^)/ \(^_^)/
そもそも私たちは何者か?
私たちはShojinmeat Projectという団体で活動しています。
(HP:https://shojinmeat.com/wordpress/)
コミックマーケット (通称、コミケ) での培養肉の同人誌作りから始まり。
培養肉に興味を持つ高校生から社会人まで、クリエイターから研究者まで、分野や想いを問わない様々なメンバーが集まり、趣味で培養肉の研究をしている有志団体・同人サークルです。
かっこいい言い方をするのであれば
企業 (産)・大学研究機関 (学) ・ 行政 (官) ではなく、
市民 (民) から技術発展を目指すCitizen Science (市民科学) やOpen Science (オープンサイエンス) をベースとした市民研究団体です。
市民研究団体としてアジアで初めて培養肉の研究を始め、培養肉のスピンオフベンチャーや培養肉普及に向けてルールメイキングを行っているNPOも派生で立ち上げております。
つまり
培養肉が大好きな集団で
学校や仕事帰り、休日に渋谷に集まり培養肉の研究をしています。
(定期MTGの開催をしたり、ラボや実験の見学、参加もOKな自由な団体です!)
それでさ、培養肉って結局…何だろう?
ここまでご覧頂いた方はその様な感想をお持ちだと思います。
細胞を増やして肉を作るって、とても怪しいですよね。
実はこの培養肉は既に存在する技術で、国内外の企業が取り組んでおります。
2023年7月の段階ではまだ日本では販売されていませんが海外では販売もされています。
従来のお肉は牛さんを育てて、その牛さんから命を頂いて食しております。
ただ培養肉の場合は、牛の命を奪う必要はなく。細胞を取ってきて『栄養液』を与えることで細胞が増えて肉になります。
例えば、種を植えると土や水の栄養素で種の中の細胞が増えて野菜が出来るのと同じです。
SFやバトル漫画や映画で見る様な、カプセルの中で傷を修復する描写、あれも『栄養液』から細胞を増やしているので原理としては同じですね。
なので、肉を野菜の様に育てるのと同じ原理でありつつも。
『培養肉』は、狩猟や畜産に続く新たな食糧生産技術でもあります。
例えば、脂肪細胞と筋肉細胞の配合比率を変えることで赤身肉から霜降り肉を自由に設計し、肉の中の栄養素までコントロールして自分が食べたい肉を作れる可能性。マンモスの細胞を培養すればマンモスステーキが食べられ、机より大きな貝柱も作れます。筋肉は鶏肉で脂肪細胞を和牛にしたらヘルシーな肉も作れそうですよね。
また環境負荷も低く、動物を殺さずに作ることができるので文化的側面で今まで肉を食べられなかった方が肉を食べられる様になったり、食料危機にも活用出来る技術です。
この技術の要、それは『細胞を増やす』こと。
そして、その細胞を増やす役割を担うのが栄養液、研究の世界では『培養液』と呼びます。
私たちはその細胞を増やす『培養液』をエナジードリンクにしました。
そこに至った経緯や想いはたくさんありますが、「飲むだけで細胞増えるドリンクってめっちゃエナジー!」という雑談から生まれ、開発し、そして皆さんに振舞いました。
ここまで、細胞を増やして肉を作る技術の話ばかりしてきました。私たちは培養肉が好きな集団であることは間違いないのですが、少し別の想いもあります。
それは『研究をみんなで楽しめるカルチャーにしたい』という願いです。
現在の研究って敷居が高くて、企業や大学の研究者だけが話しているイメージですよね。ただそれはもったいなくて、より多くの人が知り、みんなが遊ぶ様に楽しむことで、その分野の魅力は深まり可能性は広がり発展すると考えています。
そこで私たちの今回の狙いはギークでディープな研究の内容は残しつつ、来場者に楽しんで近未来にワクワクして貰いつつ。気が付いたら研究者と話している様な空間を作りたいと考えて考えた末に…
闇市の工房をモチーフに、ガチな研究機材を並べて、怪しいネオンで照らされ、白衣を羽織った培養肉の研究者と来場者がエナジードリンクを片手に培養肉の話をする空間が生まれました。
細胞や培養肉の話をしながら、
培養肉技術を応用して作った『培養液エナジードリンク』を提供した時の来場者の反応。それはみんな違っててみんな良かったです。
定量評価が行えなかったので主観的な感想ですが
10%の方は、既に細胞や培養肉に詳しくて、
詳しく説明せずともワクワクに包まれながら試飲頂きました。
85%の方は、細胞や培養肉を初めて聞き始めは未知に包まれていたものの、
培養肉研究者と交流して話をする中で飲みたいとのことで試飲頂きました。
残り5%の方は、楽しんで頂きつつもやはり細胞や培養液という知らないモノは怖いなぁとの感想も。ただ食や個人の想いに正解はありません!
試飲の感想や、こんなことは出来ますか?との妄想も皆さん全く違って面白く、みんなの未来トークが捗っておりました。みなさんが望む未来、それが私たちの原動力になります。
そして、「未来にワクワクした」や「世界観が好き」、「美味しかった」という声がとても嬉しかったです。
そして、ナナナナ祭2023 2日目の「Science Fusion -科学とクリエイティブの融合-」というクロストークセッションにも参加しました。そこでは100BANCHで科学とクリエイティブの文脈で活動するメンバーが集まり、来場者含めて各々の挑戦や想いを語り合いました。
ナナナナ祭の様な、『祭り』では
普段は出会わない人々が1つの場所に集まり、
お互いの「好き」を語り合い、混ざりあって新たな「未来の種」が生まれます。
私たちの好きである「培養肉」も1つのテーマとして2日間
ご来場頂いた皆さんとひたすらに語り尽くし、妄想し尽くしました。
お会いでした皆様、本当にありがとうございました!!
本レポートで記載した想いや活動は今後も続けて行きますし、
培養肉や培養液エナジードリンクの研究は続き、ひたすら進化していきます。
ご興味ある方は下記にご連絡頂けると嬉しいです!
是非、一緒に研究の世界に沼りましょう。
Shohjinmeat Project SNS:https://twitter.com/shojinmeat_jp?s=20
執筆者 SNS:https://twitter.com/Tadona0