ひとつの正解ではなく、NO WAVEなコーヒーを。みんなと。
- イベントレポート
新しいコーヒー体験で人々に驚きと感動を。「コーヒーって面白い!」NO WAVE COFFEE─ナナナナ祭2023を終えて
コーヒーを飲む人も、作る人も自由に楽しめる場をつくるプロジェクト「NO WAVE SHAREROASTER」。
ナナナナ祭2023では、スペシャルティコーヒーやカフェラテの試飲、オリジナルコーヒーバッグのプレゼントを通して、「あれ?コーヒーって面白い!」と驚くような体験を仕掛ける実験をしました。
「コーヒーじゃないみたい!」な味の多様性
こんにちは。NO WAVE SHAREROASTERの奥田です。100BANCHではコーヒー焙煎機のシェアリングサービス「シェアロースター」というプロジェクトで入居しました。普段はNO WAVE COFFEEとしてオンラインでコーヒーを販売したりしています。
今回のナナナナ祭2023では、NO WAVE COFFEEとしての新しいビジョン「新しいコーヒー体験で人々に驚きと感動を」を体現しようと思い、真っ直ぐにコーヒーの味で驚きを与える実験をしてみました。
具体的にやったことは、コーヒーの試飲提供とコーヒーバッグの配布です。
普段飲むコーヒーは日常に溶け込んでいて、味なんてあまり意識していないなんていう方も多いんじゃないかと思います。そんな人にも、コーヒーの味の多様性を体験してほしくて、この企画を考えました。ここからめちゃくちゃコーヒーについて語りますが、頑張ってついてきてくれるとうれしいです。
まずコーヒーの試飲提供はもちろん普通のコーヒーではなく、みんながびっくりするようなコーヒーを提供しました。じつは売値もひっくり返るくらいの高額だったりするので、試飲してそのコーヒーを買いたいと思ってくれた人に値段をお伝えすると気まずくなる、という場面も何度かあるほどでした。笑
コーヒーはインフューズドコーヒーといって、コーヒーを発酵させる過程でピーチやワイン酵母といっしょに漬け込んだコーヒーを提供しています。
コーヒーは通常、栽培のあとに発酵させ、その後焙煎してから抽出、という工程を踏んでいるのですが、その発酵の過程でコーヒー以外のものを加えたコーヒーを”インフューズドコーヒー”と言ったりします。
今回は発酵過程でピーチやワイン酵母といっしょに漬け込んだコーヒーを使用しているので、味は爆発的なピーチのフレーバーに、上品な紅茶のような軽やかさや質感をもっています。飲んでもらった方にはわかると思いますが、「コーヒーじゃないみたい!」「これすごいね!」と言ってもらえたりして、提供してよかったなーと思っています。(ちなみに試飲の原価も爆発的でした)
このコーヒーを選んだのは、単純にNO WAVE COFFEEのこれからのビジョンのど真ん中をいくコーヒーだったからです。
「新しいコーヒー体験で人々に驚きと感動を」。これは普段やっている焙煎機シェアサービス「シェアロースター」も、コーヒーの焙煎体験という新しいコーヒー体験として提供しているのですが今回のインフューズドコーヒーは飲んでもらえればそのまま驚きと感動を与えられるコーヒーでした。間違いなく、今後NO WAVEとして提供していきたい体験にかかせないコーヒーだと思っています。
そしてもう一つの理由は、これ自体がコーヒーの概念をゆるがしているからです。インフューズドコーヒーはコーヒー業界で物議を醸していて、否定的なコーヒーショップも少なくありません。
その理由は当然、普通の生産過程を経ずにコーヒー以外のものを上乗せしてしてしまっているから。今まで焙煎後のコーヒー豆にシロップを吹きかける「フレーバーコーヒー」というものはありましたが、コーヒー業界ではコーヒーとは別物として扱われてきたように思います。それがここにきて急に生産過程でフレーバーを上乗せする手法が出てきて、それが近年のコーヒーの進化の延長線上のように出てきているのがこのコーヒーの面白いところ。
僕はこのコーヒーがとても自由で、コーヒーとそうでないものの境界線をあいまいにしてくれて、コーヒーの可能性を大きく拡張してくれるんじゃないかと思っています。
NO WAVE COFFEEは自由にコーヒーを楽しむ人が増えていく世界を目指しているコーヒーショップなので、このコーヒーはまさに僕にとってワクワクする未来を垣間見せてくれるようなコーヒーでした。
コーヒーの未来を感じる?オリジナルブレンド
体験として提供しようとしたものはほかにもあります。今回はコーヒーの試飲提供にあわせて、お土産としてオリジナルブレンドのコーヒーバッグを配布しました。
ティーバッグのようにお湯に浸すだけで簡単においしいコーヒーを作れるものですが、このコーヒーは今回のナナナナ祭のテーマ「Future Jungle」をイメージして作っています。
当日来てもらってコーヒーの試飲を飲んでもらってから、自宅に帰って翌日このコーヒーを飲んでもらう。そんなイメージで作っているので、ナナナナ祭を思い返しながら飲んでもらいたいなと思って作っています。どんなコーヒーにするのか、開けた瞬間から飲み終わるまでにどんなにするかをすごく悩みました。
Future Jungleブレンドにすることは決めていましたが、そもそもフューチャージャングルってなに?となりますよね。
実際僕もそうだったのですが、この祭を開催するにあたって合宿をしたときのことを思い出しました。合宿のコンテンツの中で、朝瞑想してから、森の中を歩くという体験をしました。歩行禅、といったりもするそうですが僕にはそれがすごく新鮮な体験で、記憶に強烈に残っています。
このコーヒーのブレンドを作るときには、そんな森の匂い、土の香り、木漏れ日の明るさなどをイメージしています。
開けた瞬間に香りが一気に広がり、抽出すると暗く静かで、土の香りがしてきます。焙煎時にあえて豆の表面を少し焦がすことによって、土っぽさやコーヒー自体の最初の暗さを表現してみました。
土の香りは普通はコーヒー自体の評価を下げるもので、焙煎自体もあまりよい焙煎とはされていません。ただこのコーヒーにはこの要素が絶対に必要で、あえて取り入れてみました。ほのかにヒノキのようなフレーバーがあり、アーシーな(土っぽい)フレーバーのあと、時間が経って冷めてくるとコーヒーに徐々に明るさが出て、そのうちオレンジなどの果実感も出てきます。
イメージとしては、暗いトンネルをくぐったあとに明るいところにひらけていくような、そんな感じ。暗い森が徐々に明るく、木漏れ日が差し込むようなイメージです。未来に向けてのコーヒーなら、それくらいがちょうどいいんじゃないでしょうか。森を歩いたときの明るさはとても印象的でした。明るすぎず、かといって暗すぎもせず、おだやかな木漏れ日。だから今回は木漏れ日のようなおだやかな明るさになるように焙煎を調整しています。
ブレンドしたコーヒーはインドネシアとベトナム、そしてほんのちょっとルワンダを混ぜました。
これからのコーヒーの未来はアジアにあるような気が勝手にしています。て、生産地としてはやや遅れをとっているかもしれないけれど、いま品質がものすごい勢いで成長している地域です。ルワンダを混ぜたのは、ジェノサイドから立ち上がり、コーヒーの力で「アフリカの奇跡」といわれるまでに成長した国だから。約8割は農業に従事していると言われ、主要産業はコーヒーという国です。
僕なりに未来に対するほんの少しの祈りをこめてみたつもりですが、おそらく誰にも伝わっていませんね。笑
実験から広がる、コーヒー体験
ナナナナ祭を終えて、多くの気づきやつながりを得ました。
インフューズコーヒーを飲んで「一緒にコーヒーをやらないか」というお誘いをもらったり、ナナナナ祭のつながりから一緒に商品開発をするという話も出てきています。ブレンドコーヒーはここに書ききれないくらいのこだわりを詰め込んでいて、コーヒーで何かをデザインしていくような仕事も面白いかもしれないと思うようになりました。
「新しいコーヒー体験で人々に驚きと感動を」というビジョンはまだ掲げたばかりで、新しいコーヒー体験というもの自体も探っている最中ですが、これからも人を驚かせられるようなコーヒーを作っていければと思っています。
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