• イベントレポート

100年先の未来を描く8プロジェクトが登壇 2022年12月 GARAGE Program実験報告会

これからの100年をつくる、U35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」。3カ月目の現役活動期間終了のタイミングで、どのような実験を行ってきたかを発表する実験報告会を実施しています。

2022年12月の実験報告会には、8プロジェクトが登壇。活動の報告と今後の方針や展望について発表しました。

Satoyama Wood Battery

日本の森林資源から産まれる「ウッドバッテリー」で、日本の山の問題を解決したい!

登壇者:倉田 慎

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/satoyama-wood-battery

「Satoyama Wood Battery」は、日本の里山の木質資源を使った「ウッドバッテリー」を生み出すことにより、日本の林業の再興や里山の復活、山林の水源涵養機能の低下、土砂災害のリスクなどの「日本の山の問題」の解決を目指すプロジェクトです。

倉田:100BANCHの3ヶ月間では、電池のプロトタイプを作ったり、自宅倉庫を改装をしてモノづくりをする会社を作る準備を進めたり、モノづくりの指針や製品コンセプトの検討などを行ってきました。プロトタイプを作ってみましたが、1つ作るのにも一ヶ月くらいかかってしまって、モノづくりには時間がかかることを痛感しました。また、最初は「Satoyama Wood Battery」をポータブルのバッテリーとして作ろうとしていたのですが、色々と考えていくと自分たちが使いたいものではなかったとわかりました。これからは自分たちがほしい・使いたいと思えることを大前提に、再生エネルギー発電導入過程やEV充電開発設置事業者向けの蓄電池を作っていこうと考えています。

「今後、食とエネルギーの地産地消を目指す中で、自分たちが発電したエネルギーを蓄える手段となるSatoyama Wood Batteryを作り出し、広めていきたいです。」と倉田さんは話しました。

 

Inzei Seikatsu corp.

廃れゆく日本文化をお洒落に、ポップにみせたい!

登壇者:鈴木 花実

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/inzei-seikatsu-corp

「印税生活社」は、Japanese Design について深掘り、よりお洒落にポップに表現しキャッチーに見せるプロダクトの作成およびSNS等での発信を行うプロジェクトです。

鈴木:100BANCHで取り組んだのが和菓子をお洒落にポップに見せる「アンドーナツ」です。きれいなビジュアルは作成できましたが、いざ発信しよう、というところで「自分たちは何をしたいのか?他の人にも伝わらないし、自分たち自身もよく分からない」と、血迷った3ヶ月となりました。制作過程を見てみたい、という声をいただいたのでポッドキャスト配信も試みましたが、自分たちは人を楽しませようというサービス精神がなく、内輪だけで楽しむ嫌な印象の配信になってしまって、向いていないことに気がつきました。現在、初心に戻ってひたすら面白いものを作ろうと再始動しています。3ヶ月で6ビジュアルができたので、これからの3ヶ月でさらに6ビジュアルを完成させ、計12ビジュアルでWebショップと個展を開くことを目標に活動しています。

「ここ3ヶ月は和菓子をどう見せるかに特化してきましたが他にも、より美しく、面白く見せたい Japanese Designがあります。エロくないエロ本、日本の食と色をかけた日本色のチャート、令和の都市伝説、といったものを制作していく予定です。クリエイターの大人たちがくだらないことを本気でやる印税生活社、覚えて帰ってください。」と鈴木さんは話しました。

 

RESTA

誰もが再挑戦出来る世界を創る

登壇者:松川 力也

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/resta

「RESTA」は「いい事業所があっても遠方の為通うことができない」といった現在の就労支援における課題に対し、オンラインを活用して障害当事者の社会参加を促進するプロジェクトです。

松川:ぼくが作りたいのはオンラインに特化した人材紹介のようなものでしたが、100BANCHに入って1週間後に同じようなサービスが出ました。とても焦りましたが、偶然その会社の社長が知り合いであるとわかり、その日のうちに打ち合わせをさせてもらったところ、「サービスも似ているしシナジーもあるから提携しよう」ということになり、1ヶ月後にワイズキャリアさんとレベニューシェアの契約を締結しました。この3ヶ月では、ぼく自身のビジョンを見つめ、自分はどんな人生を歩むのか、障害という概念を変えた世界はどんな世界なのか、と考え直してきたのですが、それに共感してくれたメンバーが増えたのがとてもよかったです。入居したときは自分1人でしたが、メンターとして乙武さんが参画してくれ、他に3人がジョインして4人のメンバーが揃ったことが大きかったですね。障害者の働き方改革、インサイドセールスに特化した障害者雇用をこれから進めていきます。

「現在、目標200万円の資金調達をおこなっていて、100万円の調達が終わっています。これからも、誰しもが再挑戦できる社会を創り、最高の人生を送りたいと思ってます。」と松川さんは話しました。

 

Kin-Kin

私たちにとって最も身近な他者である微生物をケアし、現代的アニミズムを実践したい。

登壇者:酒井 功雄

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/kin-kin

「Kin-Kin」は、微生物を中心に日常をリデザインし、他者との繋がりを思い出す「菌[kin]曜日」を実践して、現代的アニミズムの可能性を模索するプロジェクトです。

酒井 :この3ヶ月間では、ワークショップをやったり、酒蔵に行ったり、自分の体を使った微生物ケアの実験をしたりしました。実験では、微生物にとって良いものを食べてケアをしていった時に、自分のうんことメンタルヘルスがどう変わるのかをひたすら記録していました。実際に元気になった気はしましたがもともと元気だったせいで変化がわからなく、また菌は目に見えないので、微生物というよりうんこをケアしてる感覚が強くなってしまい、菌と共にいる感覚があまりないことが課題として見えてきました。

そこで、複数人で微生物ケアをしたら愛情や共にいる感覚が育めるのでは?と仮説を立て、Instagramで参加者を募り一日2食、腸内細菌にいい食事をしてアンケートに答えてもらう15日間の実験をしました。ただのアンケートではつまらないので、微生物botがおじさん構文やギャル構文など変わった形式のメッセージを送るしくみをつくったところ、楽しく参加してもらうことができました。LINEのオープンチャットで日々やり取りをしたのですが、メンターで腸内細菌の専門家である桐村里紗さんにも参加してもらったところ、参加者の疑問にすべて答えてくださる贅沢なこともあり、コミュニティがとても活性化しました。実験の結果として、微生物ケアを複数人でやると微生物と共にいる感覚を育むことができる、という仮説が立証されました。

「今後は論文の執筆や、長期的な実験に取り組んでみてサービス化の可能性を追求したり、菌をケアする人々のコミュニティを作ったりをできたらいいなと思ってます。」と酒井さんは話しました。

 

my doll

悩みや障害を抱えた子どものために差別や偏見のない社会を目指す

登壇者:坂田 莉心

プロジェクト詳細: https://100banch.com/projects/my-doll

「my doll」とは、身体・心身の障害を抱えた子どもに同じ容姿、特徴を持った人形を手作りしてプレゼントする活動を通じて、差別や偏見のない社会を実現させるプロジェクトです。

坂田:現在までの活動実績として、手作りで15体の人形をつくり、10都道府県の子どもたちに届けてきました。ダウン症や発達障害、自閉症など7種類の障害に対応しています。その子の好きな洋服を着せたり、顔や髪の毛、まつ毛などにもこだわって、人形がみんな違うことを大切にしています。今後、知名度を上げるためにクラウドファンディングの実施を考えており、現在は無料で人形をプレゼントしているのですが、メンターさんやその他のいろいろな方から、無料ではなく販売してはどうかとアドバイスをいただいたので、価格を設定して販売したり、寄付を受け付ける生産体制を考えています。また、メンターさんに紹介してもらった企画等にも色々と参加した結果、「TOKYO STARTUP GATEWAY」 ではファイナリストに選ばれ「TOKYO INNOVATION」賞も受賞しました。さらに、そこで出会った方に声をかけていただき、高校生企業インキュベーションプログラム「BLAST School」にも5期生として参加中です。

「高校3年生の受験の時期ということもあり大きな活動はできませんでしたが、様々な人に出会ったりイベントに参加したりしたことが、自分の活動をどんどん大きくしていく力になりました。良い方々に出会えてよかったです。」と坂田さんは話しました。

 

Unisocc

自分たちが大学サッカーを変えていく

登壇者:伊藤 凜聖

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/unisocc

ユニサカ は「自分たちが大学サッカーを変えていく」というフィロソフィーの下、様々な活動を通して、大学サッカーの価値を高め、魅力を伝え、盛り上げていくプロジェクトです。

伊藤:現在、進行しているプロジェクトのうち、メインとなっているのが「エキシビションマッチ」の開催です。大学のサッカーリーグに新規の観客を獲得できるよう、エンタメ寄りのイベントを開催しようと準備を進めています。その中で、そもそも大学サッカーになぜ観客が少ないのか?という分析が必要だと感じ、体育会生にリサーチを行いました。結果、ほとんどの人が、大学スポーツに注目が集まってほしいと思っているにも関わらず、注目を集めることについては考えたことがない人が多く、当事者である体育会生の意識が変わらないと大学サッカーは変わっていかないことが分かりました。ユニサカの組織に体育会生が入りたいと思ってもらえるよう設計して行く必要があると感じ、説明会を行ったりSNSでの広報活動もはじめたのですが、詳しく知りたいと思ってもらえないのか、人を集めることになかなか苦労しています。

 「今後、ユニサカを知ってもらうため、自分たちから体育学部のある大学のゼミや体育会に対してアポを取って実際に対面で説明させてもらうことを積極的にやっていこうと考えています。」と伊藤さんは話しました。

 

gappcap

都市を瓶詰めして、解釈のギャップを捉える

登壇者:安藤 智博

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/gapcap

「gapcap」は、生活の中で自分だけしか知らない場所、自分だけが使いこなしているようなお気に入りの場所の特徴的なものを瓶詰めすることで、都市をもっと使いこなす社会を目指すプロジェクトです。

安藤 :100BANCHに入居後、渋谷を起点に様々な場所での瓶詰めをやってきました。人によって全然違うものが集まるので、なぜそこがお気に入りなのかをしっかり調べるためのワークシートをつくって参加者に配り、その場所のお気に入りの理由や、使いこなし方といったことを書いてもらいました。この100BANCHではワークショップや展示をさせてもらっただけでなく、静岡の「マイクロ・アート・ワーケーション」という事業にも採択され、現地の子どもたちと一緒にgapcapの瓶詰めや展示をしました。活動をしていく中で、医療系の専門学校からアートプロジェクトについて話してほしいと招かれ、我々のプロジェクトを紹介させてもらう機会もいただきました。今後は河口湖にあるアーティスト・イン・レジデンスに入居予定になっているので、そこでもgapcapのワークショップをやりたいと考えています。

「gapcapは、都市を瓶詰めするという特殊なアーカイブ方法ですが、街歩きの楽しいプレイツールとして多くの人に使ってもらいお互いの視点を共有したり拡張したりすることができます。子どもたちとgapcapをやってみて、教育的な側面も感じられ、またとても楽しかったので、今後も実践していきたいです。」と安藤さんは話しました。

 

Usta

創造的な『メタバース建築』を生み出す

登壇者:加藤 利基

プロジェクト詳細: https://100banch.com/projects/usta

Ustaはメタバース上で創造性溢れる建築空間(=「メタバース建築」)をデザインし、全ての人々に提供していくプロジェクトです。

加藤:例えば引っ越しの内見の際、家具・インテリアなど新しい暮らしをイメージするのに役立つサービスとしてUstaを開発してきました。iPhoneで部屋をスキャンすると誰でもカンタンに正確なサイズの部屋のメタバースを瞬時に構築することができます。好みのインテリアを選ぶと部屋のサイズと利用者の好みに合わせてAIが自動で家具とインテリアをメタバース上の部屋に構築してレイアウトできます。最先端のゲーミングエンジンを利用しているため、構築されるインテリアもとてもリアルです。このサービスは不動産屋を介して届けていく予定で、利用者は部屋の内見に行った後、物件のメタバースをデータとして持ち帰り、家でじっくり眺めながら検討することができます。部屋や家具の3Dデータをアセットとして我々が管理・保存していくのが重要なポイントで、ロードマップとしては、まず首都圏エリアから部屋を段々とスキャンしていき、最終的には全国エリア全ての物件をカバーしたいと考えています。

「今後は部屋や家具の3Dのアセットを活用して、不動産やインテリアの領域だけでなく、リノベーションやIoT、まちづくりなど、領域を横断したサービスを展開していきたいと思っています。」と加藤さんは話しました。

 

実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。

Satoyama Wood Battery https://www.youtube.com/watch?v=ErUQI4zSCyQ

 Inzei Seikatsu corp. https://www.youtube.com/watch?v=RAU4dFIZBDQ

RESTA https://www.youtube.com/watch?v=m7d4Kv4it60

Kin-Kin https://www.youtube.com/watch?v=FQcuqZbYsgw

my doll https://www.youtube.com/watch?v=Zv0DO2jy-Tk

Unisocc https://www.youtube.com/watch?v=tC8O60_SuuU

gappcap https://www.youtube.com/watch?v=SUoRZNN4H98

Usta https://www.youtube.com/watch?v=J6PqykgTZyg

報告ピッチ後は、各プロジェクトの登壇者とイベント参加者が輪になり、質疑応答や意見交換、今後のビジョンなどを語り合いました。次回の実験報告会は1月26日(木)に開催。ぜひご参加ください!

※登壇・集合写真の撮影時のみマスクを外しています

 

(撮影:鈴木渉)

<次回実験報告会>

「対立のない優しい社会を目指して TeaRoomの挑戦。」100BANCH実験報告会

【こんな方にオススメ】
・100BANCHや発表プロジェクトに興味のある方
・Garage Programへの応募を検討されている方

【概要】

日程:1/26(木)

時間:19:00 – 21:00 (開場18:30)

会場:100BANCH

参加費:無料(1ドリンク付き)

参加方法:Peatixでチケットをお申し込みの上、当日100BANCHへお越しください

詳細はこちらをご覧ください:https://100banch.com/events/42965/

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