Sadamaranai Obake
死にまつわる文化や価値観を、デザインのチカラで変えたい
これからの100年をつくる、U35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」。3カ月目の現役活動期間終了のタイミングで、どのような実験を行ってきたかを発表する実験報告会を実施しています。
2022年10月の実験報告会には、5プロジェクトが登壇。それぞれの活動の報告と今後の方針、展望についてお伝えします。
「死にまつわる文化や価値観を、デザインのチカラで変えたい」
登壇者:鴻戸 美月
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/sadamaranai-obake
「さだまらないオバケ」は死にまつわる文化や価値観をデザインのチカラで変え、誰もが自分の死生観を隠すことなく話すことができ、どんな考え方も批判されることのない社会を作っていくプロジェクトです。
鴻戸:100BANCHの活動では、死生観を気軽に語り合える場づくりとして「デス・スナック」を企画しました。10月15日に渋谷・道玄坂の小さな店舗を間借りして実施したところ、たくさんの方にご来店いただきとても盛り上がりました。作り手の死生観を文章化してつけた「コラボ死生観メニュー」を提供したり、死生観を表現する歌をカラオケで歌ってもらったり、問いかけのボードを設置して「どう生きて、どう死にたいか?」をお客さんに紙に書いて貼ってもらったりしました。楽しかったという反応や、はじめてのお客さん同士での交流があり、リアルな場づくりができたことであらためて、死生観を語り合うことの奥深さやおもしろさを感じました。
「今後は100BANCHの期間を延長し、反省を踏まえて、死生観を語り合う場づくりに再チャレンジしたいです。また裏の目標をメンターの横石さんと相談していて、デスガールズユニットとして自分たちをブランディングをしてファンを増やしていけたらなと思っています。」と鴻戸は話しました。
悪物キャラが永遠に輝く世界を目指して
登壇者:吉田 南翔
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/warumono-prod
「WARUMONO PROD」は、悪者キャラが永遠に輝ける、白か黒かではなくグラデーションのある世界の創造を目指すプロジェクトです。
吉田:100BANCHの3カ月間では情報収集と制作を7:3くらいの割合でやってきました。元々はNFTを中心としたプロジェクトの展開を想定していましたが、インタビューなどを繰り返すうちに、「悪者キャラ専門のキャラクター事務所」として「悪者VTuber」と「コミュニティ」を作っていく方向にプロジェクトを修正しました。何者かになりきることが本当の自分を出せるものになるんじゃないかと仮説を立ててキャラクターづくりを進めています。コミュニティづくりとしては、悪者だけの秘密結社のような「悪者パーティー」を12月に開催できるよう企画しています。
「今後はどんどんプロジェクトに共感してくれる関与者を増やしていきたいなと思っております。第二弾のキャラクター制作も進んでおり、次は悪者だけのリアルイベント実施のために動いていきます。我々のプロジェクトは現在2名で活動していて人手が足りませんが、応援や助けをくださる方たちがいるので、その応援をプロジェクトの推進力に変えて進んでいきたいです。」と吉田は話しました。
都市を瓶詰めして、解釈のギャップを捉える
登壇者:安藤 智博
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/gapcap
「gapcap」は、生活の中で自分だけしか知らない場所、自分だけが使いこなしているようなお気に入りの場所の特徴的なものを瓶詰めすることで、都市をもっと使いこなす社会を目指すプロジェクトです。
安藤:まずは、gapcap(人の視点のちがい「gap」 を瓶詰め「cap」) したものを評価するシートを作りたいと思い、手書きのラフ作成からはじめ、どんどん改善をしていきました。さらに、100BANCHでワークショップも開催しました。集まった参加者に渋谷付近を歩き回って瓶詰めをしてもらい、最終的には、参加者それぞれが集めてきた瓶の中身やそのお気に入りのポイントを説明・共有したり、展示も行いました。また、昨日まで滞在していた富士では、近隣の人たちと一緒に gapcapを実施しました。1週間の滞在でいろんな場所を回り39本の瓶でgapcapできました。静岡新聞さんのような地域メディアに取材をしていただくなど、地域の方々からもとても面白がってもらえました。
「今後の展開としては、gapcapのメソッドを確立させていきたいです。ウェブサイトを構築して、評価シートをアーカイブできるようにしたり、一人一人視点の違うgapを集めた「逸脱図鑑」のようなメディアをつくったりしたいです。また、教育ワークショップの展開や、国内の他の地域や海外でもgapcapを実施していきたいと思っています。」と安藤は話しました。
#空きコマ月 宇宙はどこも、わたしの大学だ。
登壇者:今村 柚巴
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/university-of-universe
「大宇宙大学」は、大学のキャンパスという場と時間に縛られず、ゲストハウス、畑、海、などさまざまな「おもろい場」でオンライン授業を受け、あらゆる場所を大学に変えることを提案するプロジェクトです。
今村:最初は「大学です」って言い張ればいいのかなと旗を掲げ、とりあえずいろんな地域に行って若者を集めよう、と思っていた時期がありました。しかし、自分のやりたいことがよくわからなくなって、留学も兼ねて一年間プロジェクトを休止し、また100BANCHに戻って来ました。当時はノマド生活のよさを「伝えたい」という気持ちだけで突っ走ってしまいうまくいかなかったと考えています。
今回のナナナナ祭からは考え方を変え、「人生のターニングポイントマップ」という投稿型のウェブサイトをつくりました。地図上の、自分のターニングポイントとなった場所に、「この場所でこんなことが起こって、こんな素敵な場所でした」と投稿形式で写真とともに表現できるものです。ナナナナ祭では10日間いろんなお客さんにインタビューをし続けて150件の投稿が集まりました。その後、教育関係の方をお呼びして「100年後の学校」というイベントを開いた際には、参加者であるお客さんとの会話が多く生まれ、その場のインタラクティブさに魅力を感じました。結局私がするべきなのは「伝える」ことではなく、みんなに「感じてもらう」ことなのかな、と気づくことができました。
「本当に素敵なものとそれをつくっている人と、それをまだ知らない人とをくっつけることで、好奇心からの行動をもっと容認できる社会づくりを目指してこれからも活動していきたいです。1年以上、本当にありがとうございました。」と今村は感謝を述べました。
モリンガによって創造できる新しい価値観、未来を発信する!
登壇者:西谷 友孝
プロジェクト詳細:https://100banch.com/heal-the-world
「Heal the World」は、温暖化によって発生する「異常気象&気候変動問題」をモリンガのもつ強力なCO2吸収力で大気を浄化し、環境保全に役立つ社会性と高い栄養素をもつスーパーフード商品としての途上国における経済性を両立させるプロジェクトです。
西谷:2018年に100BANCHで行われた「無電化地域でスモールビジネスをつくる」というパナソニックさん主催のアイデアハッカソンがあり、そこでモリンガの存在を知って100BANCHに入居しました。モリンガはインド原産の熱帯地域などで生育する植物で、日本では沖縄や九州でも栽培されはじめています。栄養価が高くて、地球に優しく、生産地域の産業とすることで貧困を助ける、という特徴があると考えています。この三つを兼ね備えたものはなかなかないので、社会貢献とお金を稼ぐことを両立できるのではないか、とプロジェクトをはじめました。
ナナナナ祭では屋台でモリンガ入りのたこ焼きを出させてもらったり、未来の食のイベントに出させてもらったりしてきました。途中で「果たして一体自分は何をやりたいのだろう」とこじらせた時期もありましたが、モリンガスープの開発に着手することになりました。スープに使用しているリンゴジュースはぼくの地元・青森県のものということで、地元の新聞に掲載していただき、その流れでクラウドファンディングの実施にもつながりました。結果、たくさんのご支援をいただき目標を大きく上回る形でサクセスできました。クラウドファンディング後は、あらためてMIRAQL(ミラクル)というブランドをつくり、プロダクトの形にしていきました。モリンガを通して地球の環境を意識した新しい「ミラいをツクる」という意味が込められています。
一体どんな味なのか、ぜひ体験してみてください。
「ブランド完成後、ようやく体制が整い、ECサイトでの販売や、Instagram、Twitterのアカウントもオープンできました。ぜひフォローしていただけるとうれしいですと呼びかけ、西谷は発表を締めくくりました。
オンラインストア:https://milaql.base.shop/
Instagram:@miraql_moringa
Twitter:https://twitter.com/moringa2480
実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。
さだまらないオバケ https://www.youtube.com/watch?v=7Fut04ngRhQ
WARUMONO PROD https://www.youtube.com/watch?v=uUq-3EadzKU
gapcap https://www.youtube.com/watch?v=unP4qzXdXCI
大宇宙大学 https://www.youtube.com/watch?v=H1Vc96xLxGM
Heal the World https://www.youtube.com/watch?v=9d2XvpSd_Qw
報告ピッチ後は、各プロジェクトの登壇者とイベント参加者が輪になり、質疑応答や意見交換、今後のビジョンなどを語り合いました。
※登壇・集合写真の撮影時のみマスクを外しています