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マテリアル×写真 〜 存在する写真で伝える自然のいま 〜—ナナナナ祭2022を終えて
マテリアル×写真 〜 存在する写真で伝える自然のいま 〜
ナナナナ祭2022でSHINONとして、”存在する写真”をテーマに作品展示を実施しました。
大量のデジタル写真に溢れるいま。
フィルムの写真一枚を大切にしていたように、写真を物質と融合し、それぞれのストーリーが交わり存在させることで、世界に一つだけの写真となるのではと考え、自然や原風景写真と、その土地で生まれた木やガラスなどの素材を融合した“存在する写真“を制作。自然と向き合い、“人と自然はどう向き合うべきなのか“をテーマに、作品は以下のテーマで3種類を制作しました。
“ナラ枯れの木と生命”
“文明と自然の融和”
“デジタルと存在する写真の比較”
“ナラ枯れの木と生命”は、近年、日本全国で被害が増加する樹木の伝染病「ナラ枯れ」を題材にして、東京大学の富士癒しの森研究所の協力のもとで制作しました。「ナラ枯れ」は、このまま被害が進行すると森林景観の悪化、木材資源の減少等が懸念されています。作品を通して、先ずは今起きていることを知っていただけたらという想いで、実際に「ナラ枯れ」の被害にあった木を輪切りにしたものに、その木と同じ場所に住む、まだ健在のナラの木と枯れたナラの木の姿を合わせて印刷しました。
“文明と自然の融和”は、UNOU JUKU by AGC株式会社・海馬ガラス工房 村山耕二氏の協力を得て、仙台市内の地下鉄工事のため、広瀬川に橋脚を立てたことで生まれた砂から、その土地の色を宿したガラス板を生成し、実際に橋脚が完成した姿の文明と自然が融和した景色を印刷しました。
砂から生まれたガラスは、その含まれる成分により土地の色によって異なるため、土地の色をしっかりと残すため、写真はモノクロで表現するようにしました。
“デジタルと存在する写真の比較”は、”存在する写真”のテーマに挑戦するために、デジタル上で見る写真との比較を楽しんでいただければと制作しました。写真がマテリアルに印刷されると、それは空にも同化したり、自然に同化したりと、表情が変わっていくさまを楽しんでもらえる作品となりました。
今回のナナナナ祭を通して、写真の魅力や自然の美しさをただ表現するだけでなく、今起きていることも含めて、さまざまな方とまた出逢い、お話することができました。一緒にこれから挑戦する仲間や、応援していただける方に出逢えたことが、何より今回作品を制作して良かったと改めて思っています。現在、”旅するスタジオ&カフェ”を開発しており、これから一層、人と自然に向き合い、写真家として、クリエイターとして、挑戦していきたいと思います。
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