やさいの色彩や都市型農業の生産プロセスを通して
贈与経済文化の醸成・発信を目指す
- イベントレポート
食パンに野菜ペーストでお絵かき!「やさいのキャンパススタジオ」で新しい食育体感を
ナナナナ祭2020で「Yasai no Canvas」プロジェクトは「やさいのキャンパススタジオ」をオンラインで開催。野菜のペーストとはちみつでできた「みどり」「あか」「きいろ」の3色のクリームで食パンにお絵かきをするイベントで、新しい「楽しい食育」を子どもたちとご家族に体験してもらいました。
当日の様子を「Yasai no Canvas」プロジェクトの瀬戸山がレポートします。
野菜を好きになり、食育に繋げる「やさいのキャンパス」
今回、イベントで使用した「やさいのキャンパス」は、「Yasai no Canvas」が開発した野菜のペーストクリームで食パンにお絵描きするコミュニケーションフードです。このプロダクトは私が抱いた3つの思いから生まれました。
ひとつは、私自身、幼少期から両親が共働きのため朝食を一人で食べることが多く、小学校高学年になると朝食を食べなくなった経験があったため、朝食を「消費」ではなく「楽しみ」に変えたいという思いが強くありました。
もうひとつは、私は食べ物の好き嫌いが全くなく、それは両親が幼い頃から食育に励んでくれたことが大きかった、と大人になり知ったことです。それは当たり前のことではなく、同世代で親になった友人からに聞くと、離乳食後の食育について、特に野菜嫌いについて悩んでいるという声を聞くことが多々ありました。
そして、最後は私自身、7年前から複業的に農業を営んでおり、野菜に対する関心が高く、生産者の視点として子どもたちに野菜を好きになってもらいたいという思いがあったから。そのような思いや悩みの解消を目的に生まれたプロダクトが「やさいのキャンパス」です。a
食パンをキャンバスに見立てて、色をコンセプトにした野菜のクリームをチューブにセットし、ニョロニョロとお絵かきをする——。「食べ物で遊ぶな」と言われがちですが、積極的に遊ぶなかで野菜を好きになってもらい、食育に繋げていきたいと考えています。
「やさいのキャンパススタジオ」で楽しい食育を体験
今年のナナナナ祭では「やさいのキャンパススタジオ」と題し、「やさいのキャンパス」を用いて楽しみながら子どもと家族のコミュニケーションを生み出し、食育を体験してもらうイベントをオンラインで企画しました。
「やさいのキャンパス」で食パンにお絵かき
参加者には事前に以下3色の野菜のクリームをお届けしました。
「みどり」 ブロッコリー / ほうれん草
「きいろ」 とうもろこし / たまねぎ
「あか」 にんじん / ビーツ
野菜のペーストはそれぞれ、はちみつと米油を混ぜているので子どもたちの健康面にも配慮しています。ちなみに現在は瓶詰めではなくチューブに充填(じゅうてん)し保存性を損なわない方法を探っており、年内にはチューブ製品の「やさいのキャンパス」として販売をする予定です。
販売予定の「やさいのキャンパス」
いよいよイベント当日。まずはクイズからスタートしました。
子どもたちは「みどり」「きいろ」「あか」のクリームを見て、触れて、それがどんな野菜からつくられているのかを想像し、回答します。大人の発想ではなかなか出ないような、「たしかにその野菜でつくったらこの色になるかも…」という面白い意見が数多くあがりました。
次にチューブへの野菜のクリームの詰め方を伝え、お絵かきを実施。
1回目のテーマは「好きな野菜」。10分という限られた時間で、それぞれが思い思いに「やさいのキャンパス」で食パンに絵を描き、描き終わるとどんな絵を描いたのかを説明。子どもたちはさまざまな表現で、とても上手に絵を描いてくれました。
集中して描く子どもや、途中で飽きてくる子どもなどさまざまでしたが、ステイホームならではの自由な雰囲気だったのではないかと思います。
そして、2回目のテーマは「夢」。実は今回「夢を食べて腹落ちする」という表現をやってみたいと思い、それを裏テーマにしていたので子どもたちの反応や表現がとても楽しみでした。はじめは少し悩んだような表情をしていた子どもたちですが、鉄道や仮面ライダーなど、お母さんやお父さん、お兄ちゃんやお姉ちゃんと話しながら夢を描く姿は、思い描いていた以上に笑顔とコミュニケーションが豊かであり、関係性の深さを感じられる光景でした。
子どもたちの成長に寄り添う活動でありたい
お絵かき終了後は、保護者の方に向けて私が農業に関わり「やさいのキャンパス」を開発する理由について説明をさせていただきました。私自身の夢である、「Share Farm Studio」という多世代が集まり主観的幸福感を高める“なんでもできる畑”を街なかにつくる構想もお話しさせていただき、「やさいのキャンパススタジオ」は幕を閉じました。
Share Farm Studioのイメージ図
参加してくれた子どもたちや保護者の方からは、
- すごく集中する子どもの姿が見れた。
- お絵かきがすごく楽しかった!
- クリームがおいしかった!
- 毎日使ってみたい!
という感想をいただきました。
後日、参加者から「ワークショップが終わってからも、子どもが自分でチューブに残ったペーストを詰めてお絵かきしています」と連絡をいただきました。その内容はもちろん、わざわざご連絡をいただけたことも非常に嬉しい経験となりました。
現在、私たちが開発する「やさいのキャンパス」は、ただ商品だけ販売するのではなく、オンラインやオフラインでお絵かき体験の共有の場をつくり、ともに子どもたちの成長に寄り添うことを大切にしたいと考えています。
イベントでは、子どもたちが「畑」という場への関心が高いことも知れたことで、今後は食育の楽しさや体験性を高めるうえで、お絵かきというアプローチ以外にも、より生産の現場に近い体験の場もつくっていきたいと思います。
これからさらに進化するやさいのキャンパスの応を援よろしくお願いします。
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