未来の「成績表」と「先生」を、子どもたちの元へ。教育更新への一歩を踏み出す!
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未来の「成績表」と「先生」を、子どもたちの元へ。教育更新への一歩を踏み出す!
2019年2月27日、100BANCH GARAGE Program応募者見学説明会と併せて、活動プロジェクトの実験報告会が開催されました。
あらためて、GARAGE Programとは———
これから100年先の未来をより豊かでおもしろい方向へと動かすために、常識にとらわれない35歳未満の野心的な若者リーダーのプロジェクトを支援するプログラム。
審査基準は、各界のトップランナーである総勢23名のメンター陣が1人でも“これからの100年をおもしろくするプロジェクト“として支援したいと思うか否か”。
毎月公募を行い、審査を通過したプロジェクトは活動スペースやイベントスペースの提供、トップランナーによるメンタリングなど、新たな活動のきっかけにつながる多様なネットワークなどが提供され、未来へ向けた実験を展開していきます。
これまでに100ものプロジェクトが採択されているなか、今回は2月に卒業を迎えた5プロジェクトの実験報告を100BANCH編集部の船寄がレポートします。熱さあふれる多種多様なU35の挑戦をご覧ください。
■lightful 田中あゆみ 塚田咲良
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/11183/
lightfulは学校にいる生徒1人ひとりが未来を照らし出す光となって新たな社会を作り出そうと取り組む教育系のプロジェクトです。
このプロジェクトの立ち上げには過去の経験があったと田中。
田中:もともと、私は人前で話すことが苦手で、学校生活もあまり活動的ではなく振り返ると何も生みだせていないと感じていました。その実体験を踏まえ私は、生徒一人ひとりが未来を照らし出す光になってほしいと考えこのプロジェクトを立ち上げました。
lightfulは3つのテーマをもとに活動。
1:「新しい」評価基準の創出
テストの点数だけではなく、グループワークや座学など他の指標で生徒を評価できる方法を研究。生徒や先生に授業のあるべき姿をヒアリングしつつ、授業中の動画を分析しその構造化を進めました。
2:教員と大学生をマッチングするウェブサービスの開発
学校教員の長時間労働が叫ばれていますが、生徒が輝くためには、まず先生が生き生きしていなくてはなりません。そのため、生徒にいちばん近い存在である先生の働き方改革にフォーカスしたウェブサービス「T-search」の開発を進めています。
T-searchの機能
T-searchによって、教員を志望する大学生の職業体験や、教職の二次情報の増加、教員の流動性と透明性がアップするという副次的な効果を期待しています。
lightfulの塚田咲良(右)田中あゆみ(左)
3:オフラインでターゲット層へのアプローチ
T-searchのオフラインバージョンとして、大学生と教員をつなげるオフラインコミュニティー「Edithon」を立ち上げ、そのイベントを昨年11月に100BANCHで開催。教員の視野を広げるとともに、教える側・教えられる側それぞれの考えを話し合える場所を創出しました。
上記の活動の他にも、大学生を対象にした一限前の「早朝活」を開催し、大学生同士のコミュニケーションのさらなる創出を目指しました。
生徒一人ひとりが未来を照らし出すlightfulの活動は続きます。今後の取り組みにもぜひ注目してください。
■TeaRoom リーダー:岩本 涼
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/11063/
変化の激しいこの時代、TeaRoomは普遍的な価値が介在する茶室をインストールすることで、茶の湯文化をもう100年後にも残る文化とするため活動しています。
「お茶の思想はどこにでも入ることができる」をコンセプトに掲げるTeaRoomは、100BANCHで「TeaRoomが在籍することにより100BANCHという場所をより和やかに調和する場所にする」「物質的な茶室をインストールすることで、茶の湯の概念をワークスペースに持ち込む」という2点を目標に活動しました。
TeaRoomはビジネス環境における生産性向上を目指した茶室空間のコンセプトモデル「Chaspo」を開発。今後は動く茶室プロジェクトを進め、4月にはモバイル茶室の着工を予定。また、新規事業としてプロデューサーポジションで茶室をつくるプロジェクトに参画すると発表しました。
100BANCHの活動を振り返り、岩本はこう話します。
岩本:茶の湯という文化的な理想をどのようにアウトプットできるのか不安でしたが、100BANCHを通してコンセプトモデルを開発できたことによって、自分たちが何をしたいのか、また社会に対して何ができるのかを改めて発見できました。
一方、活動の反省点として、3か月間でアウトプットを出さなければと必死になりすぎ、それ以上のプロダクトを磨けなかったこと。また、コンセプトモデルという言葉に縛られ洗練する作業が後回しになってしまったことがあります。
3月には茶の湯の概念をプロダクトに落とし込むブランドも展開予定とのこと。
最後に、「100BANCHでの出会いによって、お茶と現代社会は非常に相性がよいことを改めて実感した」と岩本。
岩本:現代社会における全ての諸問題はお茶で解決できる。その目標を掲げつつ、お茶を通して世界を優しくしていきたいと考えています。
お茶の思想を取り入れることにより、生活や社会に潤いを与えられる。100BANCHの活動がきっかけでプロジェクトが大きく展開するTeaRoomの活動がますます楽しみですね。
■Clap 遠藤悠生
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/13996/
Clapは可能性を最大化するチームビルディングアプリを開発するプロジェクト。
もともとラグビー選手だった遠藤。引退したときに、セカンドキャリア問題に直面したことがきっかけで、このプロジェクトを立ち上げました。ちなみに遠藤はエンジニア養成学校「G’s Academy Tokyo」を昨年に卒業。現在は「筋肉エンジニアの会」の主宰者でもあります。
チームビルディングアプリ「Clap」は、アスリートの日誌や練習ノートを軸にチーム単位でデータを管理し、それらを活用しながら将来の選択肢を提供するサービスです。
100BANCHの活動に振り返り、遠藤はこう話します。
遠藤:プロジェクトメンバーであるエンジニアの脱退や資金面の問題が生じ、なかなか思うようにはプロジェクトは進みませんでした。ですが、100BANCHではサービス開発のために、環境整備やその種まきに注力したできたと感じています。
今後の活動として、3月にエンジニアやクリエイターに特化したシェアハウス「リバ邸麻布Applouder」をオープン。10月には2020東京オリンピック関連のイベントも開催予定だと発表。100BANCHでは3月に「筋肉エンジニアの会」主催イベント「筋肉もくもく会」も開催しました。
これらの取り組みを通して「Clap」の認知度を上げつつ、「アスリートのセカンドキャリア問題を根本から解決し、競技引退後の可能性も最大化さていきたいと」と遠藤は抱負を語りました。
■iKasa 丸川照司
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/13854/
iKasaは傘のシェアリングサービス「アイカサ」を開発・提供するプロジェクトです。
傘に関して、消費者は「必要な時に傘がない」「傘を常に持ち歩きたくない」「ビニール傘は買いたくない」という3つの問題点があると丸山は指摘します。一方、ビニール傘は年間に約480億円(スカイツリーの建設費に相当)も消費されているが、数回の使用後にはゴミとなる場合が多く、結果的に環境問題の一因になっていると説明。
これらの問題を解決するために、iKasaは傘のシェアリングサービス「アイカサ」を昨年12月からスタート。
このサービスはIoTを組み合わせた盗難防止機能を装備した傘を使用。街なかに複数箇所配置された傘をどこでもレンタルでき、好きな場所で返せる仕組みです。「雨の日は傘を持ち歩かないといけない」という常識を覆すサービスです。
サービス開始から約3カ月余りでローソンやカラオケの鉄人、HUMAXシネマ、メガネスーパーなどにも設置が決定しています。現在はシェアリング傘の本数が約1000本、傘設置施設数が約100カ所、そして登録ユーザー数は約3500人とサービスが順調に拡大しています。週刊エコノミストや日本経済新聞、テレビ朝日など多くのメディアにも取り上げられ、日を追うごとに注目を集めています。
100BANCHの活動を振り返り、「事業として採算を取ることも目標だった」と丸山。
丸川:現状、まだまだ採算に見合う事業には至っていませんが、予想以上によい数字になってきています。今後はさらなるサービスの拡大を目指し、この目標も達成したいと考えています。
アイカサが提案する「傘を持ち歩かない生活」をぜひ体験してみてください。
■DIVEST SHIBUYA! リーダー:松尾沙織
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/divest-shibuya
DIVEST SHIBUYA!は持続可能な未来に投融資をする「エシカルバンク」の利用者を増やすプロジェクト。
松尾は開口一番「あなたの預けたお金はどこへ行くか知っていますか?」と参加者に問います。実は金融機関に預けている一部のお金が、途上国の人たちを苦しめるようなプロジェクトに投融資されていると説明。
松尾:たとえば、アメリカ・ダコタでは、石油のパイプラインを通すプロジェクトにより住民による反対運動が起こり、インドネシア・チルボンでは気候変動に悪影響を及ぼすと言われる石炭火力発電所を建てるプロジェクトが進んでいます。これらにより第一次産業が打撃を受け、そこから失業や犯罪につながるなど、世界中で深刻な問題となっています。
また、途上国だけではなく、国内でも30件以上の石炭火力発電所の新設計画が持ち上がっています。
これらのプロジェクトは大手銀行が主要な資金提供者になっているため、松尾は「私たちが銀行口座にお金を預ける行為は、間接的に温暖化活動を促進させている」と指摘。
このまま経済が進むと、2100年には地球の平均気温が産業革命前と比べ3度上昇する見込みであり、その影響で多くの自然災害が発生。大阪や東京の各所が地球温暖化による海面上昇で沈んでしまう可能性もあると懸念します。
松尾:DIVEST SHIBUYA!は化石燃料や原発に投融資がない銀行を応援する活動を応援することで、持続可能な社会を作る事業や企業にお金が流れる仕組み作りを作りたいと考えています。
このような、インベストメント(投資)の逆“ダイベストメント(投資撤退)”が世界はもちろん日本でもムーブメントになる中、DIVEST SHIBUYA!は渋谷でポジティブなお金の流れを作ることを目的に活動を続けてきました。
100BANCHではウェブサイトを制作。情報発信をスタートさせました。
また、メンターの長谷部 健 渋谷区長と面談を重ね、渋谷区が持つエシカルな銀行口座の割合が増えたと報告。2月にはSDGs金融商品アイデアソンも開催。現在は西武信用金庫と渋谷の金融商品プロジェクトを進めています。
100BANCHで活動する一部のメンバーがDIVEST SHIBUYA!の取り組みに共感して、エシカルな銀行口座に移行する場面も増えているとのこと。
これらの活動によって、個人では188人が、団体では14団体が参加し、約9億円のダイベストメントを達成しました。
松尾:ダイベストメントした人数や金額を自治体や金融機関などにその声を届け、投融資の変更の働きかけをする。それによって気候変動の解決の一助になりたいと考えています。ぜひ皆さんも地球に優しい銀行を選ぶことにご協力ください。
プロジェクトの実験報告が終わると、参加者は登壇者へ質問したり2FのGARAGEの見学したり、事務局メンバーにGARAGE Program応募の質問をしたりと、それぞれが思い思いに100BANCHの取り組みを知る時間となりました。
次回は【GARAGE Program応募者向け見学説明会&プロジェクト成果報告会】を3月27日(水)に開催します。
各プロジェクトの活動の様子を知りたい方や、GARAGE Programへの応募を考えている方は是非ご参加ください!