「もったいない」から生まれるNEWハチ公! by 渋谷てしごと部

「47WAZA KICKS」は、日本各地の伝統工芸の技を世界の日常に溶け込ませていくことを目指すプロジェクトです。伝統工芸の多くは身の回りのものを使い切る知恵から始まっていることに着目し、ナナナナ祭2026では本来なら捨てられてしまう「もったいない」に、てしごとの技で新たな価値を吹き込むプロセスを紹介しました。
会場では地域の技が詰まった雪駄(せった)や張子のハチ公などのプロダクトを展示するとともに、それぞれに込められたストーリーを通して、伝統工芸の新たな可能性を体感できる展示を展開。体験展示『「もったいない」から生まれるNEWハチ公! by 渋谷てしごと部』を47WAZA KICKSの藤本彩香が振り返ります。
こんにちは!「47WAZA KICKS(よんなな)」の藤本彩香です。
ナナナナ祭で応援してくださったみなさん、そして今この記事を開いてくださっている方へ、心からありがとうございます!私たちは「日本のてしごとが世界中で愛される未来」をテーマに、日本各地の技を組み合わせた新しいものづくりに挑戦しています。
先月のナナナナ祭では、地域の魅力が詰まった雪駄(せった)のプロトタイプや張り子ハチ公などを展示しました。今回の気づきと、私たちが描きたい未来についてお話できたら嬉しいです!

そもそも、プロジェクトのはじまりについて、少しだけ!
元々私は、海外向けに日本の魅力をSNSで発信していました(@sakura.traveljapan)。きっかけは渋谷の観光案内所でバイトをしていたころ。外国人観光客が触れている情報に、本来の文化とは違う「偽の日本らしさ」があふれている現実にモヤモヤしたからです。(よく聞かれるのですが、いわゆる日本教育しか受けてきておらず英語も得意ではないので、今も必死です笑)
転機となったのは、奄美大島で「大島紬」の職人さんの狂気的なこだわりを見たことで、「これこそが唯一無二の日本文化だ」と確信しました。
職人さんの想いと海外の方の熱狂を両方知る自分たちだからこそ届けられることもあるかもしれないと考え、SNSでの発信をきっかけにしながら、今は実際に手に取れるプロダクトを作って世界中の街角に届けたいと思い、プロジェクトを立ち上げました。
(さらに詳しいきっかけについては、過去にインタビューいただいた際のリンクを記事後半に載せているのでご確認ください☆)
私たちがやりたいことは、伝統工芸を「保護しよう」「素晴らしいものだから守ろう!」みたいなこととは少し異なると思っています。
展示を作るうえで意識したのは、説明の前に、パッと見で「ときめき」を感じてもらえるビジュアルです。何百年と受け継がれてきた技を「価値があるから」大切にするのではなく、もっと直感的に出会って魅力を感じてほしかったからです。
一方で、「見た目のかわいさ」だけでは安価な模倣品と同じになり、一過性のブームで終わってしまいます。私たちの目的はあくまで「てしごとの背景」を知ってもらうことなので、だからこそプロダクトだけでなく映像や解説でストーリーを深掘りしました。
世間からは「フェイクでも売れれば正義」「語らないのが美徳」という声もあります。それぞれの声はもっともなのかもしれないし、なにが正義かは人によって異なります。
ただ、事実として“海外産”の“日本の伝統工芸品”は飛ぶように売れて、最盛期に比べて伝統工芸の産業は⅕。何もしなければ衰退する未来は確実な中で、ほんの少しでも自分たちにできることを頑張りたいなという気持ちです。この矜持だけは持ち続けたいです。

今回は、47都道府県の技術とストーリーが「伝わる体験」を目指しました。共感していただき、短期間でプロトタイプを形にしてくださった職人やクリエイターのみなさん本当にありがとうございました!!
■奈良の雪駄 × 47都道府県の融合:
泥染(奄美大島)・抹茶レザー(宇治抹茶)・藍染(徳島)などを組み合わせた一足を制作。全国各地の多様な魅力を世界に届ける象徴としてのダイナミックな書道アート( @ankoromochi_art)や水引アート、3Dプリンターの張り子ハチ公なども集結させました。
■映像によるストーリー発信:
職人の手作業や風土を映した映像をブースで上映。実物と合わさることで、手仕事の奥行きを感じていただきました。
■お国自慢の絵馬企画:
来場者に地元や推し地域の魅力を書いてもらう企画を実施。47都道府県すべての熱いメッセージが集まり、地域への愛着があふれる空間になりました。

今回の展示では、嬉しいお声からたくさんの発見と手応えがありました!
説明を聞く前に「かわいい!」「これ履きたい!」と反応していただけたり、背景をお伝えすると「伝統工芸のイメージが変わった」「海外の友人にも贈りたい」など、ビジュアルとストーリー双方で魅力を届けられた実感がありました。職人さんや地域の背景に熱心に耳を傾けてくださる方も多かったです。
絵馬企画では、最初は「地元の魅力なんて思い浮かばない」と言っていた方が、「こんな魅力があったんだ!」と気づく姿も印象的でした。近くにいるからこそ、自分の地域の魅力って見えなくなったりしますが、それぞれの地元への愛着を高めてもらえるきっかけを作れたことは、大きな手応えになりました。横浜出身のはまっこは地元愛がつよかったり(みんな横浜市歌を歌えるらしい!笑)、各地の特色も出ていておもしろかったです。

書道アート:@ankoromochi_art(Instagram)
一方で、職人さんの技や地域の魅力を熱を込めて語ったあとに価格を聞かれ伝えたときに「あぁ、そうなんだ高いね……笑」みたいな反応もあったりしました。正直な反応でありがたい反面、少し切なくもなりました。笑
職人さんへの対価は、かける想いや人生に対するものだから絶対に値切っちゃだめだと思っています。大量生産品と比べれば高価でも、「この手仕事なら妥当だよね」と納得してもらえる文脈をつくるのが私たちの役割のはず。今回「高いね」で終わってしまったのは、その価値を伝えきれなかった私たちの力不足だと痛感しました。
ただ、TV局・新聞といった伝統工芸メディアの方から「その価格は妥当。下げたら価値を落とすからむしろ大正解だと思います。」と言っていただけたことにも救われました。この正当な価値を正しく届けるための「国内外それぞれの伝え方」を、もっと突き詰めていきたいと思います。
今回のナナナナ祭に向けて準備を進める中で、海外経験や事業家としてのバックグラウンドがないことに気づく瞬間もありました。でも、これこそが、むしろ自分の強みのひとつだと思っています!日本のローカル文化のなかで生まれ育ったからこそ、職人さんや地域の方々と対話するとき「どこを守り、どこまで挑戦してみてもよいか」が、直感的に理解できている気がします。
もちろん海外からの視点で日本を再評価することも大切です。でも、それだけじゃ現状を変えられなかったからこそ、今の課題があるはず。 だからこそ、日本で生まれ育ったこのリアルな感覚を大切に地道にアプローチすることにも、同じくらい大きな意味があると信じていますし、そうであったほうが希望にはなるんじゃないかなと思います。
「実はパッション英語で必死に発信してる」と話すと、地域の方が共感して心を開いてくれました。「もうこの産業は終わり」とおっしゃっている方々が、「自分たちにも、可能性があるのかも」と気づいてもらえる瞬間に出会えることが、何より嬉しいです。メンバーは海外視点を、私は日本視点を、両方あわせもったチームだからできることを続けていきたいです。

今の資本主義社会・マーケティング一強の世の中では、どれだけ素晴らしいものを作っていても、届ける力がなければ知られないまま埋もれていってしまいます。実際、私もチームメンバーも、広告費を張れる大企業や外資が市場をとっていく現実をたくさん目の当たりにしてきました。
日本のてしごとには、歴史や想い、そして人の可能性が詰まっています。職人さんが歳月を重ねて身体に染み込ませた技術、地域ごとの素材や背景を活かして時代に合わせて形を変えながらも、ずっと私たちの暮らしと文化を支えてきた存在です。それは効率や合理性だけでは絶対に生み出せない、何よりもクリエイティブなものだと信じています。
今後は、ここで得た具体的なフィードバックをもとに、さらにストーリーとデザインを磨き上げ、海外市場を見据えたブランド展開や展示・販売へつなげていきます。
<一緒に協力してくださる方、募集中です!>
私たちはまだまだ始まったばかりです。意見交換や、みなさんと新しいコラボレーションのアイデアを考えていきたいです!少しでも興味を持っていただけたら、ぜひお気軽にお声がけください!
・日本各地の伝統工芸の職人さん
・地域活性化に取り組む自治体さん
・海外への販路を持つ企業やギャラリーさん
・デザイナーさん、営業さん
・少しでも興味をもってくださったみなさん
お気軽にご連絡いただけたら幸いです!
▶Instagram : @47waza.arts (https://www.instagram.com/47waza.arts/)
最後に、奈良の雪駄職人さんをはじめ協力・コラボしてくださったみなさん、一緒に走りきってくれた100BANCH メンバー、たくさんご迷惑おかけしながらもいつもあたたかくサポートしてくださっている事務局のみなさん、いつも応援してくださっているみなさん!
本当にありがとうございました!今後も頑張ります!
<関連リンク>
・47WAZA KICKS公式アカウント:@47waza.arts(https://www.instagram.com/47waza.arts/)
▶プロジェクトへのご連絡先はこちらまで!ありがたいことにさまざまな地域やてしごととお話させていただく機会が増えてきたため、“47WAZA ARTs”という名称を使用しています^^
・インバウンド向けに地域のローカルな魅力を発信しているクリエイターアカウント:@sakura.traveljapan (https://www.instagram.com/sakura.traveljapan/)
▶日本の有名な観光情報はもちろん、日本の隠れた魅力(地域文化・ものづくり・クラフトマンシップ)をストーリーテリングで伝えています。
・100BANCHリーダーインタビュー:https://100banch.com/magazine/77151/
▶プロジェクトについてインタビューしていただいた記事です!とても素敵な内容に仕上げていただいたのでぜひご覧いただけたら幸いです^^