展示見て ゲーム作りに参加! “ ジスイ展 “

「自炊が続かない」と悩む層に向けて、ノベルゲーム形式のソリューションの提供に挑んでいるプロジェクト「Jisui」。自炊の動機づけを目的に、慣れ親しみやすいノベルを接点として、ネットを通じた他者とのつながりの半径拡大ギミックを掛け合わせた、新しい体験を提供することを目指しています。
今回Jisuiは、2026年1月25日に100BANCHにて「ジスイ展」を実施。全国から集めた「自炊にまつわる切ない実話」をもとにした物語の運命を選択していくゲームの体験や、ゲームの世界観のアート展示を行いました。その模様をJisuiの前田がレポートします。
2026年1月25日、100BANCHの3Fで「ジスイ展」=ノベルゲーム素材展と試遊検証のイベントを開催しました。

プロジェクト「ジスイ」とは、自炊ができない層に向けて、その腰が上がらない心理課題を掘り出し、反転させ、少しでも腰が上がるように、何か解決できないかと取り組んでいるプロジェクトです。原因を見つめ、原因を反転させる設計と手法を検討した結果、まさかの「ノベルゲーム」の形になりました。そしてこれから記載する、ノベルゲームの試遊検証「ジスイ展」の実施に繋がります。
ジスイ展の説明に入る前に、「ジスイ」の取り組みについて説明します。
自炊ができない原因仮説として、①レシピと構成食材の「記憶が焼き付かない」②個食では自炊の「使命が薄い」を見出しました。かつ、「記憶が焼き付かない」のは情報が多すぎるからではなく、覚える価値が薄くヒトの無意識が拒絶しているから。そして「使命が薄い」のは、個食が「自分やごく近い隣人に閉じた生存行為」という他者との半径が狭いままであることを放置した結果とも言えます。
ですから、①と②に対するアンサーとして①レシピと構成食材を「記憶に焼き付ける」②特殊な物語と新しい他者連接で「使命を高める」手法に関してあらゆる角度からトリックを試し、それらを内包したデジタルのノベルゲームに落とし込んでいます。
開催のジスイ展では、ゲーム「ジスイ」に搭載しようとしている①②のためのトリックを、限られた滞在時間で凝縮体験できるよう、オブジェやパネルなどリアル展示物の力も加えながらあえて分割・端的に再設計して、体験構築しています。
展示ブース1:全国からの「切ない実話の自炊エピソード」(600件から選抜の十数エピソードの人気投票検証)。「本当にあったの?」とご感想も頂くほど、出会ったらもう他人事ではいられない、逃れられない共感から使命を植え付ける

展示ブース2:自炊の使命を高めるために設計・背景設定された、主要キャラクターの原画展。「自炊話に神様たち?」記憶に無二の存在を焼き付ける

展示ブース3:実際の試遊機。その試遊機席は、ゲームの核を担う登場物のオブジェに囲われ、一目見たら忘れないデザイン。そして更に知る、その悲しい正体。


展示ブース4:香りの展示:ゲーム本編にはないですが、ゲームに写真登場する、推進者の私の手料理から蒸留抽出頂いた本物の香りで、試遊で登場したレシピを記憶に焼き付ける補強をする



説明動画全般:文明の進化に呆け、ココロを交わす自炊を忘れたヒトのせいで、とてもつらい被害を受けた妖精の少女が、それでもヒトのために身を賭して尽くす、そのお手伝いをしてほしいとせがまれるストーリーの演出説明。よって、使命感を高める。
物語をナビゲートする、神界の少女「妖精スプーン」は「文明進化とヒト自炊放棄の犠牲者」の象徴として登場し、ヒトのせいでつらい被害を負いながらも、ヒトの為に身を賭し、その手伝いをプレイヤーにお願いします。

彼女は、ヒトが見落とした『食に付属する他者連接の愛』そのものであり、抑圧された「誰かに救われたい」というヒトの強いココロの運び手をしながらプレイヤーに眠る「使命感」を発動させるトリガーとして立ち振る舞います。
自炊知識の記憶という煩雑なプロセスに対し、「見知らぬが放っておけない超時空の誰かの思い出」「妖精の少女の願いを叶える」という叙情的なロジックで煩雑さを相殺し、使命を醸成するトリックを形成しています。
試遊では、予め募集され、保存された他人の「切ない実話の自炊エピソード」を基に構築されたストーリーであなた(プレイヤー)が当事者に時空を超え憑依して未練の運命を辿り直します。運命の選択肢に重ねて、味付けや調理の選択をし、結末と共に記憶に焼き付けますが、「これから憑依するのは、今のあなたと同じように、誰かが実際に書いた未練の記憶」と自分事化と使命を強化するような演出を体験できます。

ゲーム化される前の、全国600件から選抜された約10の元ネタエピソードもリアル展示し、シール投票で人気検証しました。


試遊台はオブジェとなっており、前述の「ホゾンキ」をイメージしています。

ホゾンキの中に設置されたPCから、試遊が出来ます。
そのエントリー時に、「まずあなたの実話も聞かせて」と、通行手形として問われ、自分の記憶を通行手形に差し出し、代わりに『誰かの物語』を受け取ります。この瞬間によって、プレイヤー意識の中で、自炊は『個の単調作業』から『他者との連接』へ強く書き換えられる。そのトリックの儀式の為に、リアルとデジタル共に、ホゾンキを力を入れて作成いたしました。



試遊では、自分のエピソードの入力後、「これから憑依するのは、今入力したあなたと同じように、誰かが実際に書いた未練の記憶」と「自分事化」と「使命」を強調する演出を受け取りますが、同時に運営目線では一石二鳥で、入力されたエピソード傾向を、分析用に追加でサンプル取得しています。つまり、このジスイ展は、まるで展示イベントに見えて、運営から見たら全ての展示物が検証と収集の場(ABC比較テスト、試遊テスト、参考エピソード収集)になっている、というイベント設計でした。
ジスイ展にとどまらず、そもそも「なんで食のテーマなのに、ノベルゲーム?」という異端のゲーム「ジスイ」の “ 存在 ” から、既に、記憶してもらう 検証トリックは始まっています。とにかく自炊の「課題を反転し」「あなたの記憶に焼き付ける」。そのためにあらゆる手段を尽くし、織り込んでいます。




手段を尽くす一方で、食の課題であるのに、あえてキッチンで食材に触ることを取り扱わずに、その前後の心理トリックに注力する設計には、理由があります。ゲーム内のストーリーにも織り込まれるのですが、文明が進歩し、10秒メシや完全栄養食も存在できてしまうヒトへの未来洞察として、「社会性動物の食の最適化の果てに残るのは他者との社会連接だけ(≒使命・繋がりたい思い)」と予測しました。
そもそも、調理する食材を手に取らせる手法は、既に腰が上がってキッチンに立っている人が対象スコープであり、真に自炊できない人は、キッチンに立つことすらできません。その人たちに食材を手に取らせるようと思うことは、スコープミスであり、ステップの解離と矛盾があります。まずは腰を上げ、キッチンに立たせること。それは「記憶」と「使命」が成せること。
きっと完全栄養食が洗練されるほど、食事行為は短縮され、調理は無視され、生存のための栄養摂取行為は、無きに等しいものになるでしょう。そんな「100年後の未来」で、ヒトがわざわざ肉や野菜を包丁でさばき、自分や隣人にふるまうことが残るとすれば、どんな理由でしょうか。もし理由があるならば、もう生存行為から離れた、「誰かのために作りたい」「あの味をもう一度受け取りたい」「誰か何かを思い出したい」「あの日と違うトライを、辿り試し直したい」という、他者連接のココロの摂取。ココロの連鎖。100年後に残される自炊のモチベーションの柱は他者連接のココロだけかもしれません。「あの日の味を、愛を、皿の上に並べたい」という、他者連接の、ココロの連鎖。
ジスイは、キッチンを「調理場」から「ココロの連鎖を辿り直す場所」へと再定義します。私たちが提供したのは、食材を手に取る前の、最も贅沢で、最も皿いっぱいの「動機」なのです。だから、腰が上がらず、食材を手に取る前段階の人に、あえて食材を手に取るプロセスが不要なソリューションをぶつけます。記憶と使命とココロを増強するトリックを、たらふく皿いっぱいに詰め込んだ体験を提供します。開催した「ジスイ展」は、その凝縮となる、個展の顔をした、実験場でした。

半日の開催でしたが、25名近くの方々にご来展いただき、たくさん直接ご感想や、改善要望を伺う事が出来ました。全国選抜実話エピソードでは、シール投票を頂き、効果的に胸を打ち使命感を高められそうなエピソード選定に繋がるインサイトも得られました。
また、ゲーム「ジスイ」用にご依頼させていただいた主題歌も、解禁できました。難解なテーマの中、主題歌を担当して下さったシンガーソングライター様に、多大な感謝をしております。
さらに、ご来展者には、展示・試遊内容からの「続き物語」も配信させていただき、その後メールでも返信をいただいて、更なる追跡ご感想もいただけました。ご来展のイラスト関係、映像関係、声優業関係の方々とも、今後の展開につながる打合せや、後日アポイントの機会を成せました。
香りの抽出に関しましては、同じ100BANCHファミリーのBioCraft様に、当日蒸留実演も含め、素材提供をご協力くださり感謝申し上げます。そして、検証と展示の場を提供してくださりました、100BANCHの皆様に感謝申し上げます。
未練や負のココロも、プラスの半径へ転換できるトリックをつくる。さじをとり、すくい直し、フタしなければ、時空を超えて眠るココロに 本来バッドエンドはないのかもしれない。自炊が「自」に閉じこもることなく、自炊が「炊」の字の意味を脱ぎ捨て、時空を超えた他者連接の“ ジスイ ” に昇華できるなら、
「自炊はもはや生存行為でなく、他者に触れ
愛という形なきものを皿の上に結晶化させる儀式である」
という体現を、物語の核となる「ホゾンキ」はたたずみ、プレイヤーを包み、「妖精スプーン」と共に、語りかけます。ホゾンキを舞台に、妖精スプーンと実話の旅をするあなたは、自炊の記憶をめぐり、覚え、思い出し、その使命の手で本当に自炊を作り直してゆくのです。いてもたってもいられなくなる位、自炊の使命と他者半径を広げる。今後もデジタルゲーム・リアル展示共に、連動して、展開を進めてまいります。
― 明日も ジスイを 約束してくれますか? ―
“ なもなきココロのごちそう ” 達が、あなたの “ すくい(Spoon) ” を待っています。
今後とも応援のほど、よろしくお願いいたします。