farmatería
雑談からはじまる “対話”と“つながり”の医療を『日常』へ
日常にある「喫茶」から、健康があたりまえに話される環境や仕組みを作るプロジェクト「farmatería」。
ナナナナ祭2023では、オリジナルのバスボムや漢方シロップが作れるワークショップ「Chozai Jungle」と生薬スパイスをふんだんに用いた特製かき氷屋さん「farmatería-Kampo氷」を出展。昨年に引き続き、生薬を身近に感じ楽しめる空間を作りました。当日の様子を、farmatería石丸がレポートします。
我々調剤喫茶は「雑談からはじまる“対話”と“つながり”の医療を『日常』へ」をテーマに、触れられにくい話題(=医療コミュニケーション)を緩やかに日常に接続する活動を続けて参りました。
ナナナナ祭への初出店は、今でも継続して行っている「まちかど屋台のKampo茶」が、少しだけ注目していただけるようになってきた昨年の2022年のこと。(東京新聞 2021年12月31日 :https://www.tokyo-np.co.jp/article/151815)
まちかど屋台は、お客さんが「日常生活をしているそのままの姿にアプローチすること」を第一にする【ケ】の活動である一方で、ナナナナ祭は【ハレ】の場です。昨年に続いて今回も「ハレの場で調剤喫茶には何が出来るのか」が僕らの挑戦になりました。
昨年初めて【ハレ】の日の調剤喫茶を開催し、学んだことの一つは【静】のモデルでした。普段はコミュニケーションを通した働きを主に運営していますが、その反面でコミュニケーションが苦手な方を置き去りにしてしまったり、押し付けてしまうケースも考えられます。昨年企画した『薬剤師の解剖展』はそんな僕らが介在しない【静】のモデルとして、参加者の方が自分のペースで見て感じることのできる展示となりました。(ナナナナ祭2022イベントレポート: https://100banch.com/magazine/38391/)
これを受けて、今年は再び【動】のモデルを開拓することにしました。それもまちかど屋台が受動的なコミュニケーションを主体とする一方で、今回開拓するのは、能動的/積極的アプローチ=ワークショップの開催でした。
(ワークショップ: 今夜はこれでさっぱり。バスボム作成会(写真左)、どんな形にする?オリジナル蚊取り線香(写真右)、協賛:NPO法人薬育ラボ
この一年間で僕らは様々な地域イベントやマルシェに参加して参りました。その中でたくさんのメンバーに恵まれ、現在は総勢60名の多種多様な仲間たちと共に企画をしています。今回【動】のモデルに挑戦できたのは、そんな仲間たちに恵まれたからこそでした。
また今年もKampo氷の提供も行いました。
日常をテーマにしている僕らの活動は『お茶飲みませんか??』から始まりますが、炎天下で淹れたての健康茶に惹かれて立ち止まってくれる人はそうそう現れないでしょう。そこでナナナナ祭では、Kampo茶に替えてKampo氷を提供しています。アツい100BANCHメンバーが集まった真夏のナナナナ祭、コミュニケーションの最初の一言は『かき氷食べませんか?』で決まりです。
この一年間で集まったのは、個人のメンバーだけではありませんでした。NPO法人や企業なども協力が仰げる関係づくりが進み、今回は「保存食屋すがわら」さんからのシロップ提供、薬学生団体「調剤室 ー」さんからのメンバー派遣などの協力も受けました。
ハレの場で最も普段と違ったのは、たくさんの人が関わっていた事かもしれません。
たくさんの人のたくさんの想いが重なって創られていく調剤喫茶がこの上なく愛おしく感じられました。
今回のナナナナ祭には、実は裏のテーマがありました。
調剤喫茶の最終地点は文字通り「喫茶」です。ボランティアのような形で運営されている現在の活動を自立可能なものにしていくには、事業として利益を求めなければなりませんが、それ以前に調剤喫茶の理念に通じたメンバーが不可欠です。
僕らの理念と収益化には一見矛盾があります。その矛盾のバランス感が養えるような運営ができればよいなと思い、今回たくさんのメンバーを巻き込んで開催まで準備をしてきました。
自分の至らない点が多く、ほとんどの工程でメンバーを巻き込むことは適いませんでしたが、当日のメンバーの表情やお客さんとの会話から、唯一根気強く伝えてきた行動の意味だけは伝えられていたようで、心から喜ばしく、また皆に感謝しました。