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Kampo氷と展示を楽しみながら健康に思いを巡らす—ナナナナ祭2022を終えて

farmateríaは、ナナナナ祭2022にて イベント【Kampoかき氷】と展示【薬剤師の解剖展】を開催しました。私たちは日常で触れられにくく、どこかタブー視されている医療コミュニケーションをもっと身近にすることを目指しています。今回は体験型の【Kampoかき氷】屋台 と自由に楽しめる【薬剤師の解剖展】2つの異なるアプローチを用いて皆さんと気軽に医療について考える時間を作る実験を行いました。

Kampo氷と展示を楽しみながら健康に思いを巡らす~雑談からはじまる“対話”と“つながり”の医療を『日常』にするための実験会~


調剤喫茶farmateríaのテーマは「雑談からはじまる“対話”と“つながり”の医療を『日常』へ」です。僕らは、日常で触れられにくく、どこかタブー視されている医療コミュニケーションをあたりまえに日常の会話として交わされるような未来を描いて活動して参りました。

『お茶飲みませんか??』

普段は、商店街などの生活の場に屋台を引いて行き、意図せず出逢えた地域の方に対してkampo茶の提案をしています。

『この町のことや、住んでいる人たちのことが知りたくて、お茶会を開いているんです。』
普段の活動はこのような声掛けからスタートします。一見怪しく、どこか気になる。この声掛けに「なぜこんなところで?」「あなたは何者?」「お金かかるの?」と会話が始まります。

『実はすべて生薬を用いたお茶なんです。このお茶は…(略)』
徐々にお茶会が健康の話題にシフトしていきます。
この時点で話している方々は、ほとんど僕らを医療者だとは思っていません。
それが緊張することなく、自由に話してもらえるコツなのでそれでいいのです。

「今日も歩いてきたけど、すぐハァハァしちゃって困るね。歳かしら?」
「また薬が増えちゃって、病院通いがいつまでも続くし、もう行きたくない。」
次第に僕らが病院や薬局で聞きたくても聞けなかった本当の悩みが零れ出します。

医療機関等では短い時間や関わりの中で、診療や介入をしなければならないことが多く、「体調どうですか?」「悪いところはありませんか?」「気になる症状は?」などと質問攻めにしてしまいます。

人は初対面の人間に、いきなり悩み事からは話し始めません。
医療者相手でも同じです。だからこそ3分診療、3分投薬(お薬を説明してお渡しする薬剤師の業務)では本当の悩み事や困り事を引き出すことは難しいのです。

僕らの活動の価値は、医療者側の「引き出したいこと」と患者側の「話したいこと」の間に道をデザインすることだと考えています。如何に自然な会話の流れの中で、悩み事や困り事を‟聞き出す”のではなく、‟零してもらう”か。そこに、病院でも薬局でもない、僕らならではの価値があるのだと思っています。


今回のナナナナ祭においても活動の主旨は変わりありませんでした。

唯一変更したのは、アプローチ方法だけです。

普段のように健康茶を提供するには、夏祭りの環境はあまりにシビアです。炎天下で淹れたての熱いお茶は飲みたくなりません。普段であれば、淹れた後の蒸らし時間が最大のコミュニケーションチャンスとなりますが、来場者は一刻も早くその場を立ち去りたい一心になるでしょう。

そこで僕らは届け方をkampo茶からkampo氷に変更しました。僕らはお茶のスペシャリストではありません。お茶はあくまでツールでしかないのです。

会話のつかみとして機能して、実は健康的なエッセンスを持ちつつ、提供・飲食に少し時間がかかるものであればいい。ついでにお祭り感も演出できるkampo氷はまさに最適でした。

お腹を温める漢方薬=ツムラ「100番」大建中湯をイメージした、特製ジンジャーシロップのかき氷。お腹を冷やし過ぎず、口はひんやりお腹はぽかぽかな不思議なかき氷が完成しました。

『社会的つながりの有無で、早期死亡率は50%も違うらしい。』
『「1日2リットル水を飲みましょう。」 それ、デマです。』
 ※薬剤師の小ネタカードより一部抜粋

かき氷を通して、漢方薬や食養生を身近に感じてもらうお話を展開することが出来ましたが、「医療を自分事としてとらえてもらう」というもう一つの課題には、さらに工夫が必要だと考え、「薬剤師の小ネタカード(全8種)」を同時に配布することにしました。

一定程度の会話の中で僕らが薬剤師と明かした後には、かき氷とは直接繋がらないポイントへのジャンプツールがあると便利です。特に今回のナナナナ祭には多くの若い世代が足を運んでくださいましたが、医療者の介入や健康課題が縁遠い方も少なくありません。

そんな方に一つでも身近に感じられる話題が提供出来ればと考案したのが、「薬剤師の小ネタカード」です。カードは全8種類あり、友人や家族と交換して僕らがいないところで医療コミュニケーションを生み出すことにも成功しました。

僕らのいないところでどれだけの医療コミュニケーションが展開できるかは、これからの課題の一つと考えています。普段行っている屋台の活動も同様ですが、大部分をコミュニケーションで補ってきたfarmateríaの活動は、同時に僕らがいないと成立しない活動ともいえるようになってしまいました。

より多くの人たちを巻き込み、全国に活動を波及させることがある種のムーブメント形成には必要不可欠となる中で、この問題は今後僕らの首を絞めかねない問題です。そういった意味で、今回ナナナナ祭で連日開催していた【薬剤師の解剖展】は、僕らがいなくても成立する全く新しいモデルとなりました。

図や絵を展示することによって、今まで言葉で相手の想像力を引き立てて伝えていたストーリーを短い時間で相手に負担を掛けることなく伝えることができました。

実際に展示をみた方から「お薬の飲み方を薬剤師さんに気軽に相談して良いんだね!!」「子どもにお薬を飲ませるのに困っていて…パネルをみてアイスクリームに混ぜることができるのを知りました。」「残薬ってこんなにあるんだね….そういえば家にも余っているし今度薬局で相談します」などのお声や、高校生から展示をきっかけに進路相談を受けたり、調剤器具や教科書に興味を持ち話しかけてくださる方もおられました。

普段は生活の動線上に活動の場を設けることに注力して参りましたが、機会さえあれば薬剤師の頭の中というニッチな内容でも興味をもってもらうことが出来るという発見から、今まで届けなかった層にもアプローチが可能なのかもしれません。今回の展示を通して、“動”だけではない、‟静”の発信もあることを知ることが出来ました。

今回のナナナナ祭全体を通して、伝え方のレパートリーを再考することができました。また他のイベントや展示、それに関わる仲間たちと関わる中で「おもしろい」という感情の力を力強さを心に焼き付けられました。提供側が頭を使うのは当然ですが、自分たちも楽しんで、その笑顔の連鎖がゆくゆくは気軽な医療コミュニケーションの日常化に繋がっていけば、僕らの目指す100年後は明るく照らせるのかもしれません。

 

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